「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「おはん」

2008年10月01日 | 晴耕雨読
天高く 読書に 燈火 馬肥ゆる … 秋を言い表す定番の言葉を並べてみた。
ついでに、人恋しくなる秋、を付け加えると完璧なのだろうが、今更、人恋しがっても相手にされなければ、空しさだけが残るので敢えて入れなかった、ということにしよう。

人並みに読書なるものを試みた。
かねてより是非一度手にしたかった本が、親しくして頂いている友人の手許にあることを知っていた。思い切って拝借を申し出て、燈火親しみながら読み上げた。

「おはん」の初版本である。 著者 宇野千代 挿画 木村荘八 昭和32年6月5日初版 定価 300円 という今では手に入らない貴重品である。

「よう訊いてくださりました。わたしはもと、河原町の加納屋と申す紺屋の倅でござります。生まれた家はとうの昔に逼迫してしまひ、いまではこのやうな人の軒先借りて小商ひの古手屋、もう何の屈託もない身の上でござりますのに……」から始まって、男と女の情愛を見事にえがいた「野間文芸賞」受賞小説。
先だって岩国で行われた「宇野千代顕彰会主催、13回忌法要事業」の一環でアンコール上映された映画「おはん」も見た。

ここで内容を説明しようとは思わない。読書感想文は、近く行われる宇野千代顕彰会読書感想文コンクールに応募される人にゆだねたい。

この季節にこのような貴重な一冊に巡り会えたことを喜びたい。
昭和32年で300円と言えば、単純計算で現在に置き換えると、8000円くらいに相当する。
しかも、生粋の岩国生まれで、娘時代を岩国で過ごした、その当時の地名や町並みの思い出がふんだんに織り込まれた「おはん」であった。

いいものは年を取らない。さらに、年を経ればその値打ちが益々上がる……。 羨ましいなー。
残念ながら、年を取って古くなるばかり、値打ちは下がるばかりの我が人生とはえらい違いだなー。まあ責めて、薬にはならないまでも、毒にもならないよう、静かに生きて行こう。 勝手気ままなブログでもしたためながら…。

        ( 写真:初版本の「おはん」ブックケースと本文 )

コメント (8)
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