毎日新聞、はがき随筆はお馴染みの方も多いと思う。
その中で、春夏秋冬四季を通じた四季特集が組まれ、テーマが設定される。
今回は秋、テーマは「涙」であった。
嬉しい涙・悲しい涙・ほぞを噛むなみだ・雪辱を誓う涙。人は色んな場面で色んな涙を流す。
時は秋、母を見舞う切ない気持ちの一端を250字にまとめて投稿した。
病床に伏す母を見舞う。「来たよー」の声にわずかに反応する。
温めたタオルで目元、口元をゆっくり蒸す。
二筋三筋、乾いた涙の跡が目尻に光る。
言いたいこと、頼みたいことがいっぱいあるのだろうか。
言葉にならない、伝えられないもどかしさが枕をぬらすのか。
それとも住みなれた自分の部屋が恋しくて涙になるのか。
顔をふくたび心が痛む。
気を取り直し「べっぴんさんになったよ」。 耳元でささやくと、ほのかに顔がゆるむ。
「一人にさせてごめんね……」
か細いコスモスが風に吹かれ、右に左に揺れている。
(2008.10.30(木) 毎日新聞はがき随筆 四季特集「涙」掲載)
( 写真:風に吹かれ、右に左に揺れるか細いコスモス )
その中で、春夏秋冬四季を通じた四季特集が組まれ、テーマが設定される。
今回は秋、テーマは「涙」であった。
嬉しい涙・悲しい涙・ほぞを噛むなみだ・雪辱を誓う涙。人は色んな場面で色んな涙を流す。
時は秋、母を見舞う切ない気持ちの一端を250字にまとめて投稿した。
病床に伏す母を見舞う。「来たよー」の声にわずかに反応する。
温めたタオルで目元、口元をゆっくり蒸す。
二筋三筋、乾いた涙の跡が目尻に光る。
言いたいこと、頼みたいことがいっぱいあるのだろうか。
言葉にならない、伝えられないもどかしさが枕をぬらすのか。
それとも住みなれた自分の部屋が恋しくて涙になるのか。
顔をふくたび心が痛む。
気を取り直し「べっぴんさんになったよ」。 耳元でささやくと、ほのかに顔がゆるむ。
「一人にさせてごめんね……」
か細いコスモスが風に吹かれ、右に左に揺れている。
(2008.10.30(木) 毎日新聞はがき随筆 四季特集「涙」掲載)
( 写真:風に吹かれ、右に左に揺れるか細いコスモス )