「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「コスモス」

2008年10月30日 | 趣味・・エッセイ
毎日新聞、はがき随筆はお馴染みの方も多いと思う。
その中で、春夏秋冬四季を通じた四季特集が組まれ、テーマが設定される。
今回は秋、テーマは「涙」であった。

嬉しい涙・悲しい涙・ほぞを噛むなみだ・雪辱を誓う涙。人は色んな場面で色んな涙を流す。
時は秋、母を見舞う切ない気持ちの一端を250字にまとめて投稿した。

 
  病床に伏す母を見舞う。「来たよー」の声にわずかに反応する。
 
  温めたタオルで目元、口元をゆっくり蒸す。
  二筋三筋、乾いた涙の跡が目尻に光る。
 
  言いたいこと、頼みたいことがいっぱいあるのだろうか。
  言葉にならない、伝えられないもどかしさが枕をぬらすのか。
  それとも住みなれた自分の部屋が恋しくて涙になるのか。
 
  顔をふくたび心が痛む。
 
  気を取り直し「べっぴんさんになったよ」。 耳元でささやくと、ほのかに顔がゆるむ。
 
  「一人にさせてごめんね……」
  か細いコスモスが風に吹かれ、右に左に揺れている。

  
  (2008.10.30(木) 毎日新聞はがき随筆 四季特集「涙」掲載)

       ( 写真:風に吹かれ、右に左に揺れるか細いコスモス )
コメント (10)
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