今日のヒーローは言わずと知れた「かぼちゃ」と「柚子(ゆず)」である。
ヒーローインタビューなどは行われないが、誰も文句は付けないであろう。
が、中には梅の一品種で、この頃にほころぶ「冬至梅」や、疫鬼を払うと言われる小豆(あずき)を入れた「冬至粥」などを上げる人や地方もあるかもしれない。
プロ野球のヒーローには、文句を付けたい選び方がしょっちゅうあるが、二十四節気の一つ「冬至」とくれば、やはりかぼちゃとゆずがもっとも無難なヒーローであろう。
北半球では、正午における太陽の高度は一年中で最も低く、また昼が最も短い一日。
つまり、今日を境に、明日からはわずかながら日が長くなっていく節目の日であり、いよいよ本格的な冬に入り、寒さも厳しくなってくるよという警告を与える日でもある。
そこで、あの香り豊かなゆずをお風呂に入れて、香りを楽しみながらゆっくり湯に浸かって身体を芯から温めなさい、風邪対策をしなさいという先人の教えなのだろう。
同じ「至る」という一字なのに、冬に至る時は「とうじ」と濁音になる。夏に至る時は「げし」と言って濁りが取れ清音になる。同じ読み方にするために、夏に至るを「げじ」と呼んではちょっと風流に欠けるな~。かといって冬に至るを「とうし」ではちょっと重みに欠けるし、なんかしらスースー風が吹き抜けるような・・・。やれややこしや、ややこしや。
今でこそかぼちゃもゆずも年がら年中スーパーの店頭に並ぶが、その昔は夏に獲れるかぼちゃをこの時期まで保管するには、あれこれ試行錯誤があったに違いない。
夏場の最盛期には蹴っ飛ばすほどの値打ちであっても、この時期になると希少価値が生まれ、ヒーローとしての値打ちがつくのである。たかがかぼちゃ、されどかぼちゃ。
それぞれに季節や需給バランスにおいて、誰もがいつかはヒーローたり得るのである。その時季や風向きを見極める眼力が、ヒーローを生み出すリーダーの資質ということかな。
その反対側で、任命責任がリーダーに問われるのは当たり前のことである。