時折蒸し暑い日があったり、暖房が欲しくなる冷え込みがあったり、掴みにくい晩秋の日和。まさに季節の変わり目、体調を崩しやすい厄介な時季である。
秋風が身に沁みる、などというとその後に続くのはあまりいい話ではないのが通り相場である。ふと思いつく写真がこのような、落ち目の一途を辿る枯れススキであるのも偶然ではない気がする。どこか気持ちの片隅に、切ない思いが宿っているのであろう。
長年勤めてきた我が社が、ついに大幅な人員削減に踏み切った。理由は色々ある。
3.11東日本大震災による東の主力工場の大打撃。壊滅状態から復旧さえ危ぶまれたが、なんとか一部操業再開にこぎつけた。
プロ野球楽天イーグルスの本拠地球場を「OOクリネックススタジアム宮城」という命名権を取得したのは昨年暮れこと。来シーズンは恐らく手放すことになるのであろうが、そんな宣伝効果を期待する以前の経営立て直し策としての人員削減。
西の主力工場である岩国工場も、相応な人数の希望退職者を募集している。
受付開始が昨日11月1日からである。今は他人事ではあるが、長年苦楽を共にしてきた仲間が対象になっている事を思えば、晩秋の風が身に沁みる。
そんな中でも「長年世話になった会社に恩返しをするつもりで、今回の希望退職に手を挙げる・・・」そんな一人の後輩がいることに、なんか救われる思いがしている。
会社を愛し、仕事を愛し、同僚はもちろん上司にも可愛がられた幸せな会社人生を全うした。実際には後3年あるとのことだが、「今が潮時」という爽やかな割り切りは、他の人たちに見せたいくらいである。途中退職など考えもせずここまできたのだろうに、会社に対する恨みつらみなど一切なし。むしろ爽やかに身を引き、これからの生き方に胸躍らせるいさぎよさ。見上げたものである。
果たして何人の後輩達が手を挙げるのだろう。
ただ、去っていく脚で砂をかけて行くようなことはしないで欲しい。
無理な注文であることは承知しているが、人生まだ長い。
前を向いて生きていくためにも、「感謝」のひとかけらを大切にしてくれると有り難い。
一回の生なればこそ思いっきり
言うは易し みんな違ってみんないい
ススキ野の静かな風は幸運びくる
思い切られた裏にはよほどの覚悟もおありだったでしょう。
社会ではこれからに何の保証もない日本ですが、これまでのご自分の人生を無にしないためにも、
「感謝のひとかけらを大切に」これからを堂々と生きていただきたいと願いますね。
こうした環境にはたくさんの方々がおられるのでしょうね。
「見極めの潔さ」と「見通しの明るさ」を持ち合わせていらっしゃるんでしょう。
枯れすすきには、来春必ず新しい芽が出ます。
今年の役割を果たした姿です。
でもね、今や世界的な不況の中で、淋しい思いをされる人が現実的にたくさんおられるんよね。
せめて上を向いて歩んでほしいですね。
吹く風が身にしみるようです。
本人の責任ばかりではないんですよね。なんとかもう一度みんなで支え合える世界になって欲しいです。
厳しい決断を迫られる局面は誰にもやってくるような気がします。
しかし、これまでの自分の生き方さえも否定してしまうような身の引き方はしないで欲しい。
これまでの会社生活、悪いことばかりではなかったはず。
それを思い起こして、感謝のひとかけらを持ってもらえれば、次の新たな人生も開けてくる気がしてなりません。
我がセガレの行く末も、今から少しの覚悟を持って見守らなければなりません。
辛うじてそこまで追い詰められずに定年を迎えましたが、果たして自分だったらそこまで割り切れただろうか、と思うことはあります。
ですが、枯れススキも来年は芽を出す。これですよね。
世の中、悪いことばかりではないと・・・。
その方の今後の人生にいいことがあるよう願います。
早く世界全体がもう少しは住みよくなってくれるといいのにね。
多分そういう人、自分の置かれた立場を幸せと感じられるのだろうと思います。