(かんじき。これを履いて道を踏む)
雪道(その2)
それまでの間、十二月から二月の日の短い時期の朝は辛かった。
朝の暖かい布団の中で気持ちよく眠っているところを母に起こされる。
父と一緒に玄関を開ける。そこから道までの数メートルの間は雪の階段である。
屋根から下ろした雪が道路も埋め尽くし、道路は地面から随分と上になってしまう。
家の茶の間から通行人の足が見える事も珍しくはなかった。
人家と人家の間は低いため、人々は道路の勾配を登ったり下ったりしながら歩き、
誰も冬は当たり前の事と不平も言わなかった。
カンジキを履き、まずはその高い道までスコップか「コスキ」と呼ぶ木製の道具で、
さながら雨上がりの蟻のように、雪を撥ね上げながら上がる。
そこからは道に積もった雪を踏み固め、ゴム長だけで歩けるようにしなければならない。
(続く)