(大量に積もった雪で電線が頭に触れるようになり、竹竿で持ち上げている)
雪道
我が家は集落の中心部から、信号場から駅に昇格したばかりの国鉄の小駅の前に家を移転新築したので、
道踏みの分担が多くなった。
二百メートル余りだったと思うが、道幅を広げそして足が沈まないように踏み固めるには何回も、
往復することが必要だった。
雪道にも良いところがあり、踏み固めたらどこでも道になった。曲がった道も真っ直ぐになる。
道踏みが終わると、雁木と呼ばれた本屋に付属した小屋根の雪を下ろす。
それでやっと冬の朝の行事は終了。大概小一時間はかけていたように思う。暖かい家に体の雪を払って入り、
暖かい母の味噌汁で朝ご飯を食べてから登校となる。
みんなが他人のために眠い目を擦りながら暖かい布団から起き出し働いた。そして私も一番列車に乗る人のため、
雪道を踏むのは当然の事と思っていたのだ。
雪国の人々は大人も子供も辛抱強く、そして勤勉なものだったと思う。今考えると夢のような話だ。
(終わり)