茄子
南瓜
さつまいも
竹輪
ジャガイモ・人参・玉葱のかき揚げ
明日は買い置きの海老バーグ焼くか煮るかして
茄子の田楽
煮麺
ポテトサラダの予定です
茄子
南瓜
さつまいも
竹輪
ジャガイモ・人参・玉葱のかき揚げ
明日は買い置きの海老バーグ焼くか煮るかして
茄子の田楽
煮麺
ポテトサラダの予定です
北畠千早―初めて知った慧凛和尚の娘の名を繰り返し頭の中で呟く
仕事で会うのはタイプこそ違え女傑が多いので ひどく新鮮でもあった
仏像のナナちゃんは言う「わしらはな あのコに幸福になって貰いたいんや
その為やったら どんな暴飲暴食も仏像らしくないアレコレもするんやでぇ」
ミロちゃん センちゃんがうなづく
「なあんて健気なあたし達」
仏像のくせに本体は寺へあるくせに・・・焼き鳥喰うな チューハイ飲むな
可愛い娘がテレビで宣伝してるぶん―と銘柄まで指定するな
「まあまあ新田クン 君は千早が趣味ではないとでも」
千手観音のセンちゃんが眉つり上げる
「あ・・・いや」
「そうよね~ あたし達は新田クンの恋の応援部隊 縁なき衆生を救うのは あたし達のお仕事」うふんと焼き鳥囓りながら
弥勒菩薩のミロちゃん
う~~~ん 縁なき衆生の解釈と使い方間違っていると思うぞ
「つまりわしらは 新田クンの為におるのやがな
遠慮はいらんて
ラクにしなはれ」
どうも問題をすり替えられた気がするぞ
いつのまにか どうやって千早さんへ思いを告白するか させるかーという話題に仏像達は移っていた
そりゃ~千早さんは可愛い
あの慧凛住職にも似ず・・・性格もいいように思える
「ほんま あの千早ちゃんは おすすめだっせ」
とナナちゃんが 揉み手しながら言うのだ
揉み手する仏像・・・・・余り見たくない
「新田クンは頭の格好もいいから 坊主頭にすると素敵だと思うのよね」
流し目するミロちゃん
ちょっと待て!坊主頭?つんつるてん・・・・・・
「いいこと千早ちゃんはお寺の一人娘なのよ お坊様になるのは当たり前じゃない」
とミロちゃんは言う
「昔では考えられんけど 今は二足や三足の草鞋はく住職も少なくない
坊さんなるなら早いうち 慧凛和尚が元気なうちに あれこれ教わらなあかんやろ
経は読めなあかんさかいになあ」
「お・・・俺はそこまで考えては」
「なんやい 遊びのつもりなんかい」とナナちゃんは凄むのだった
しかし夢があるじゃないか 恋とかデートとか
「お前な トシは幾つや 現実を見んかい 堅実に生きる 男はな夢も大事やけど現実も大切や
生活できてなんぼーやなんかい よう考えるんやで」
「ナナちゃんはいいこと言うわね かっこいいわ」とミロちゃん
黙って頷くセンちゃん 背後の千手が拍手をしている
幼い頃 父は風呂場で死んだ
寝室へ上がってこない父を心配した母が捜すと 風呂場で倒れていたのだ
倒れた時に割ったのか 風呂場の鏡が 父の全身を覆うように粉々に散っていたという
転勤して僅か数日のことだった
その頃保育園だった俺は余り父のことを覚えてない
背の高い よく笑う人だったように記憶している
父が死んでから 余り笑わなくなった母は・・・会うたびに 「お父さんソックリになって」と言うようになっている
姉の美結(みゆ)と 母の両親の家で暮らしているのだった
俺は・・・そこが昔 住んでいた地域とは知らずに・・・行った
教師になって初めての学校・・・
姉は覚えていた 父と最後に一緒に行った食堂 スーパー
それがヒントになった
食堂もスーパーもまだ営業していたのだ
どの家かは分からなかったが近所を歩いてみた
子供の頃の自分が父と最後に一緒に歩いた場所
懐かしさが先に立つ
父の職場と同じ地域で働くようになったことが何故か嬉しかった
不思議な父の死にざま
母が最後に見た父は笑顔で 疲れているだろうから先に休めーそう言ったのだと
優しい夫でもあったのだろう
よそ見しながら歩いていたせいか ある家の前でつまずいてこけてしまった
ちくり・・・何かが足に刺さった
気にも留めずにアパートに帰ったが ちくちく痛み赤黒く腫れてきたので 翌日病院へ行った
古い鏡の破片のようなものが傷口に入り込んでいたらしい
だが数日経っても 腫れはひかない 痛みはますのだった
食欲も湧かないが それでも何か食べるものが欲しくて コンビニへ出かけ ふっと細い道へ心ひかれ そちらへと足が進んだ
わ道具屋・・・そんな看板が目についた
和道具?古めいた品が外に並んでいる
店の中へ入ると あねさん被りをした女性が座っていた
てぬぐいの為 鼻から口 顎しか見えない
随分と色が白い 年齢は見当がつかなかった
「タチの良くない傷のようです おかけになりませんか」
そう声をかけてきた
「あ・・すみません」
足へ触れてくる
「これは・・・よくないですね」
言葉に困っていると「こういう仕事をしていると 色々な道具を見るのです
ねえ 古い鏡がありましてね そうした鏡にはたいてい何か憑いていることが多いのです」
彼女は語り始める
ー殺された女がおりました ええ随分と昔のことです
男は女の首を絞め・・・・・あちこちで戦いのあった時代のこと
女が殺されて死体がそこにあることも・・・誰も気付いてもらえなかったのです
女の思いは鏡に残り・・・・・・
鏡の中の女は 自分を殺(あや)めたのと同じ顔の男を鏡の向こうに見つけました
女は・・・・その男を自分の世界へ引き込み・・・男の肉体は滅びました
気の毒な話です
顔がそっくり同じと言うだけ その男には何の罪も無かったのですから
鏡に閉じ込められた男の死体の周囲には 鏡が散らばっていたそうです
それで女も満足していればよかったのに・・・・・・・
女は又見つけてしまいます
自分を殺した男と同じ姿の男を
鏡の破片 しつこくこの世に留まっていたかけら
それは狙った男に突き刺さり 又連れて行こうとしてるのです
自分のいる暗い世界へー
そこまで聞いて気がついた これは自分のことだ
「大丈夫 それは欲張りというもの だからお呼びしました
任せてください」
女は微笑むと その左手を 俺の傷口の上へかざした
何かが抜けるのが分かった
それは女が右手に持つ瓶の中へおさまる
女は蓋をした
その時 確かに 悲鳴のようなものが聞こえた「ぎゃあああああ~~~~ オノレ ヨクモ・・!」
「もう大丈夫ですよ」
女は微笑む
「あ・・・有難うございました」
不思議な気持ちのまま店を出て・・・・・・・翌日そこをコンビニ目標で探しにいったが あの細い道はどうしても見つからず
俺は あの不思議な店「わ道具屋」を見失ったままだ