街角の家に、サクラソウの苗が育っているのを見かけた。
それを見て、まだ働いているときに、冬休み中に教室の植物に感激したことがあったのを思い出した。
冬休み中は、室内に誰もいなくて、暖房もついていなくて、教室がとても寒くて寂しいものだった。
だが、どの教室の中でも、意思をもってしっかり生きていると見えるものがあった。
それは、各教室で育てていたサクラソウだった。
春になったときに、学校を花で飾ろうということで、当時はすべての教室にプランターを置いてサクラソウを育てていた。
そのサクラソウの様子を見て発見したことがあり、それに感激したのだった。
サクラソウの様子を見ると、明るい窓の方に1枚1枚の葉を広げていたのだ。
しかも、苗の後方の葉は、なんと立っていたのだ。
葉を広げること、葉を立てることは、少しでも暖かい太陽の光が当たるようにと、生きることに懸命な様子にほかならなかった。
だから、どの苗も、数日前よりも葉を大きく成長させていた。
そのうえ、つぼみの付いた花芽が育ってきていた。
その場所から動けないのに、大きくなろうとがんばっている。
そんなサクラソウが、一生懸命生きているすごさが伝わってきた。
見ていたら、なんだか、ジ~ンとしてしまった。
3学期の始めに久々に会った子どもたちには、私が見つけたこのことを話して伝えた。教室に戻ったら、教室にあるサクラソウをよく見てほしい、と。
一生懸命後ろの葉を立てて、太陽の光を浴びて成長しようとしているから、と。
子どもたちには、サクラソウに負けずに、心も体も大きく大きく成長してほしいと願ったのだった。
サクラソウは、その後の勤務先でもよく栽培されていた。
2月の今頃は、室内で育てていると、暖房で暖かいから咲くものもあったと記憶している。
花粉症のようなアレルギーになる子も増えたから、前のように教室で育てているのは少ないかもしれない。
でも、懐かしい「発見、サクラソウ」の思い出である。