最近のテレビ放送は、スポーツ中継以外、これは見てみたいと思う番組があまりない。
夜など、地上波はバラエティばっかりだし、BSもドラマの再放送や懐メロとなってしまった歌番組ばかりで、食傷気味。
そんななかで、珍しく、放送があれば見たいなと思う番組がある。
BS12トゥエルビの番組で、このチャンネルはほとんど見ないのだが、これだけは別である。
それは、日曜夜9時30分からの「ザ・カセットテープ・ミュージック」という30分番組である。
紹介文は、
「80年代にカセットテープで聴いていたあの名曲。マキタスポーツとスージー鈴木の「音楽ずきおじさん」が独断で熱く語ります。
そう。この番組を気に入っているのは、音楽番組なんだけど扱うのが今日的な音楽ではなく、カセットテープで音楽を聴いていた時代つまり80年代の曲が中心なのが、理由の一つである。
2017年の秋から始まったということだが、何度か番組が終わったり再放送を繰り返したりしている。
とにかく、扱う曲は自分がよく知っているかつての時代のもので、その曲たちをマキタスポーツとスージー鈴木が、自分たちの独特な(独断的な)音楽の視点から分析していくので、見ていて(聴いていて)、非常に面白い。
昨日の夜は、「浜田省吾について」だった。
浜田省吾は、私が好きなアーティストである。
今回の番組では、マキタスポーツが浜田省吾の曲について、独自の分析をしていて楽しかった。
1つ目の視点は、メロディーライン。
歌い方に「ミファミレド」がよく使われているというのだ。
「愛という名のもとに」や「風を感じて」などを紹介しながら、歌じりに「ミレド~」が入り、こぶしのように歌うのが特徴的だというのだ。
そこにスージー鈴木が突っ込んで、単純に「ミファミレド」ではなく「ミファミレミレド」と歌っているなどとより正確にからんでいたのが、さすが音楽評論家と思った。
2つ目の視点は、浜田省吾の歌は、歌詞の発音が日本語も英語も大事にしてうたっているということ。
日本人のロックには、英文交じりの歌詞が多い。
そこを、サザンの桑田や他のアーティストは巻き舌風に歌うのが一般的だ。
だが、浜田省吾は、歌詞の日本語の部分ははっきりした音で歌っているし、英語の部分はしっかりと英語的な発音で歌っていると、マキタスポーツは指摘していた。
ああ、なるほど、確かにそうだ。
今まで自分では気づかなかったが、巻き舌風に歌うのではないから、浜田省吾の歌は聴きやすくていいと思っていたことは確かだ。
マキタスポーツは、浜田省吾には、日本語で正しく伝えたいという気持ちがあるのではないか、と言っていた。
そして、日本語も英語の音韻も大事にしたいというのだろうという意見に、なるほどと合点した。
3つ目の指摘は、浜田省吾の根底にある音楽的なもののことだ。
マキタスポーツは、浜田省吾の音楽は、無意識にだろうけど、アメリカ系の白人音楽の影響が強く表れていると言っていた。
具体的に言えば、それはアメリカのブルーグラスやカントリーの歌だと指摘していた。
その証拠として、1970年代のジャクソン・ブラウンの曲などを披露して聴かせていた。
ああ、なるほど、この曲調はよく似ていると思って聴いた。
見ていて、「へえ~」と思う、新たな浜田省吾の歌についての発見(?)だった。
マキタが悪乗りして「ハマショウ月」なんて「お正月」の替え歌を浜田省吾風に歌うのも、この番組ならではの楽しいところではあった。
それはともかく、この番組は真面目に見る必要はないのだが、毎回視点がユニークだ。
毎週ではなく、月に2回くらいの放送のようだが、見逃し配信はTVerでやっているというので、興味のある方は「ザ・カセットテープ・ミュージック」のホームページからどうぞ。