今日の日曜日。
勝負の世界で、挑戦する若者たちの姿が、輝いて見えた日だった。
1つ目は、最終日を迎えた全日本卓球選手権大会。
今日は、男女シングルスの準決勝と決勝が行われた。
準決勝は、NHKのテレビ中継と、パソコンを使ってのネット中継を使って、2試合を同時に見た。
女子シングルスは、予想通り早田ひなと張本美和の2人が、互いに準決勝の相手に1ゲームも与えずに決勝で対戦。
第1ゲームを5-9の劣勢から6連続得点で早田が先取すると、試合が進むほどに早田の強さが際立つことになった。
なんと、強敵張本にも4-0のストレート勝ち。
内容的には、これが女子の試合かと思うほど鋭い強打や、それを打ち返し合うラリーなどが見られ、2人の強さには感心した。
15歳の張本のボールは、他選手なら圧倒する強さがあったが、オリンピックの金メダルを目指している早田は、世界で勝つために技術を磨き練習しているので、打ち返す力強さがあった。
それでも、試合後のインタビューでは、早田は世界で勝つには、オリンピックまでにまだまだ練習が必要だということを言っていた。
すごいぞ、その覚悟。
がんばってほしい、と思った。
男子シングルスの決勝は、去年の決勝と同じカードとなったが、歴史に残る名勝負だった。
3連覇をねらった戸上隼輔と6年ぶりの優勝を目指した張本智和の対戦。
世界ランクで上位にいる張本に対して、戸上は対戦成績も互角か少し上回る印象。
そのせいか自信をもって、張本のコートにボールを打ち込み、ゲームカウント3-1とリードした。
だが、14歳で日本チャンピオンとなって以降、世界で実績を上げてきた張本もさすがで、第5ゲームを取り、逆襲に転じた。
第6ゲームは、戸上が2度マッチポイントを握ったのだが、張本はこれをしのいで、ジュースに持ち込み、14-12で奪い、ついに3-3のゲームオール。
最終ゲームに10-8と戸上はチャンピオンシップポイントを迎えるが、今日の張本は粘り強く、2本取って、このゲームもジュースにもつれ込んだ。
そこから6度戸上が先取し、勝利にリーチをかけたが、そのたびに驚異的な粘りを発揮した張本がしのぎ、逆にチャンピオンシップポイントを迎えた。
戸上も一度はしのいだが、ついに最後の1点を張本が奪って、16-14、張本が今回の王者となった。
いつも得点するたびに雄叫びを上げる張本が、最後の1点を取ったとき、声もあげずに崩れ落ちた。
言葉に言い表せない勝利だった。
立ち上がると、戸上と互いにたたえ合いながら2人がハグする姿が素敵だった。
インタビューでは、戸上と素晴らしい試合ができたことや、これからも切磋琢磨して日本の卓球を強くしていきたいという趣旨の発言をしていた。
そこに、様々な経験を通して、プレー的にも人間的に大きくなった彼の姿が見られて、なんだかとてもうれしかった。
2つ目は、大阪国際女子マラソンで。
卓球ではパソコン上で見て、テレビでは大阪国際女子マラソンに目を凝らした時間帯もあった。
マラソンは、すでにパリ五輪の第1・第2代表はきまっている。
残りひと枠の第3代表となるには、ファイナルチャレンジとしてこの大阪国際女子マラソンか名古屋ウィメンズマラソンで、設定タイムの2時間21分40秒を上回るタイムを出さなくてはならない。
だが、このタイムは簡単に出せるものではない。
だが、前田穂南選手は、20㎞から果敢に飛び出し、ペースメーカーさえ置きざりにして前に出た。
優勝したエチオピアの選手には抜かれたが、最後までその選手を追って粘り強く走った。
その結果が、なんと設定タイムを上回るどころか、日本新記録の2時間18分59秒をマーク。
野口みずきの日本記録2時間19分12秒を、19年ぶりに更新した。
東京五輪でも、9月のMGCでも、満足な結果を出せなかった前田選手が、強い意志をもって走る姿は、見ているわれわれに彼女を応援したくなる気持ちにさせた。
給水で2回失敗したのに、まったくめげずにレース後半も1位を追って走り続けた。
不本意だった今までの自分に別れを告げて、世界と戦いたい、そんな思いが感じられる熱い走りだった。
名古屋ウィメンズマラソンでこの記録を上回るランナーが出るとは到底思えないが、どうなるだろう。
ともかく、見ている人を感動させる前田選手の走りだった。
そして、最後に大相撲。
横綱照ノ富士と並んで2敗で千秋楽を迎えた琴ノ若。
本割で見事に、翔猿に勝って、13勝2敗で優勝決定戦に名乗りを上げた。
そして、優勝決定戦でも、横綱照ノ富士に気後れすることなく気合の入った仕切りを繰り返した。
そして、決定戦では、本割の反省を生かして有利な姿勢になれそうな場面も作った。
だがそこは、王者横綱照ノ富士に一日の長があった。
大きな体に似合わぬ(?)巧みさはさすがに横綱だ。
巻き替えてよい体勢を作り、大きな体で土俵際まで寄って行った。
琴ノ若もあきらめず、逆転の投げを打とうと最後まであらがった。
だが、さすがにそれはかなわなかったが、立派な熱戦であった。
そして、敗れて本気で悔しい表情で土俵を後にした。
取組後の「来場所しっかり鍛えて出直してきます」というコメントは、ここまで好成績を残してよかった、というものではなく悔しさをたっぷり感じるものだった。
厳しい勝負の世界に生き、もっと強くなろうとする若者の言葉であった。
こうして、今日は、来月67歳を迎えるジジには、勝負に生きる若者たちの熱き戦いに感動の連続となった一日であった。
彼らに大きな拍手