3月29日に訪れた「新宿御苑」、 名前は聞いていましたが、
いったいどういった所なのかなと思っていたのですが、
ここにはたいへん長い歴史が刻まれていました。
天正18年(1590)
豊臣秀吉から関八州を与えられた徳川家康が、江戸城に入城した際、
家臣「内藤清成」 に授けた「江戸屋敷」 の一部でした。
江戸から西に伸びる街道と鎌倉街道の交差する要衝の地の警護や
軍事目的の場所とされました。
明治5年
新政府は上納された内藤家の土地を、農業振興を目的とした「内藤新宿試験場」 としました。
明治12年
宮内省所管の「新宿植物御苑」 に変わります。
鴨池、養魚池、動物園が造られ皇室の御料地、農園として運営される様に
なりました。
明治39年
福羽逸人が今までの植物御苑を庭園形式に整えます。
昭和24年 皇室庭園から「国民公園 新宿御苑」 となりました。
この様な歴史があるからか、御苑内には「絶滅危惧種」 に指定された植物を
幾つか見ることが出来ました。
絶滅危惧種のシロヤマブキ: 花はまだでした。案内板を写してきました。
落葉性の低木で春に白い花を咲かせる。
花弁は4枚、葉は対生。
黄色い花の咲くヤマブキは、花弁は5枚、葉は互生。
公園や庭に植えられているが、元々の自生地は限られる。
分布地: 福井 岡山 広島 香川
シロヤマブキの隣には、ヤマブキが、もう黄色い花をつけていました。
ヤマブキ
” 七重八重 花は咲けども山吹の みのひとつだになきぞ悲しき ”
後拾遺和歌集の中の、兼明天皇の歌ですが、太田道灌の「山吹の里」の伝説は
有名ですよね。
絶滅危惧種のタイワンホトトギス、こちらも案内板で、
タイワンホトトギス:山地自然林内の滝の崖面に生える常緑の多年草。
花は淡紫色で斑点が散生している。
分布: 沖縄
この斑点が鳥のホトトギスの胸毛に似ているから、ホトトギスという名が付いたそうですが、
私は、「犬のポインターみたい」 と思ってしまいました (^_^;)
シデコブシ:少し時期を逸した感がありましたが、いくつか花が残っていました。
準絶滅危惧種のシデコブシは湧水湿地周辺に生える落葉性の低木。
日本固有種で伊勢湾周辺の限られた地域だけに分布する。
湿地の埋め立て、土地造成が減少の原因。
分布地:岐阜 愛知
ゲンカイツツジ:こちらはきれいな花を見ることが出来ました(^^♪
準絶滅危惧種、ゲンカイツツジ:山地の岩場に生える落葉性の低木。
他のツツジより早く咲き、葉のないうちに花をつける。
分布地:中国地方 四国 九州
新宿御苑は長い歴史の中で、明治時代に植物の栽培や
研究を担う所となったからこそ、
こうして絶滅の恐れのある植物を今も、大切に守りながら、
且つ、そのことをみんなに伝えるため
御苑に植えてみんなが見ることが出来るように努力されて
いるのだなあと思いました。
江戸時代、徳川家康が交通の要衝であったこの辺りの
警護と軍事目的にために用意された土地が、今は
花木でいっぱいの、国民の憩いの場所なのですねえ~(^^♪