滋賀県大津市坂本
坂本というのは滋賀県側の比叡山の麓の門前町です。
「穴太衆積み」の石垣を巡らした「里坊」の並ぶ街並みが特徴です。
「穴太衆」というのは、比叡山延暦寺の土木工事を古来より勤めていた人達で
その高い技術で里坊だけでなく神社、古民家などの石垣を造ってきました。
この石積みの特徴は加工しない掘り出したままの石を巧みに組み合わせ、
積んで行きます。
穴太衆が言うには、
『ここに積んでくれ。と石が話しかける。』 とか。
坂本にある日吉神社の参道には穴太衆積みの遺構がずらっと並んでいます。
「里坊・さとぼう」というのは比叡山延暦寺で修行を積んだ偉~いお坊さんが
天台座主から寺を賜り隠居生活をした、それが里坊です。
こちらはそのひとつ「滋賀院門跡」
延暦寺の本坊で、代々天台座主の御座所でした。
穴太衆積みの上に五本の線の入った門跡特有の白壁が風格を感じさせます。
こちらも滋賀院門跡です 。
徳川家光が小堀遠州に命じて造られた庭や、狩野派の障壁画が残っています。
織田信長による比叡山の焼打ち、廃仏毀釈などで、里坊もそれぞれ
過酷な道をたどって来ました。
80ほどあった里坊も今あるのは52となりました。
(明治維新後にそれまでの神仏習合を廃して神仏分離が進み廃仏毀釈が発生した)
千余年の歴史を秘めた比叡山延暦寺の山坊、麓の坂本の里坊、
共に戦国時代に焼失しはしたものの、江戸時代以降再建され、
今は国の伝統的建造物として、守られています。
坂本の町から東を見ますと、琵琶湖が。
空も湖も静かな一日でした。
乱世越え比叡里坊水澄めり
二つ三つ洞冷まじき穴太積