★元行革相・村上誠一郎の「国賊」発言騒動をほうふつとさせるのが自民党の参院議運委員長・石井準一の17日夜の発言だ。石井は首相・岸田文雄と会食し、同日の衆院予算委員会の感想を述べたという。本人が会食後に記者団に語ったには「17時1分で予算委が終わるなんて、野党側は緊張感がないねと。『瀬戸際大臣』の首とれんのか、野党がだらしないね」と披露した。瀬戸際大臣とは経済再生相・山際大志郎のことだが、間違ってもいないが口外する必要もない話で中立性が求められる議運委員長の発言としては軽口が過ぎる。

 ★だが立憲民主党がいきり立つほどだろうか。18日の衆院予算委員会で同党代表代行・逢坂誠二が野党への冒涜(ぼうとく)として「言語道断だ」と抗議する場面があった。だが、攻めきれずあっさりと質疑を終えて、多くの国民が「本気で攻めるつもりがないのだな」と感じた矢先の石井発言に違和感などなかったのではないか。提案型野党を標ぼうし野党への期待がしぼんだと同じように威勢はいいが本質的に攻め込めない体質は変わらず、「言語道断」「冒涜だ」というほど怒りに中身がない。つまり怒ってみせているだけではないのか。与党も国民をもうならせる議論や指摘、追及があったならばともかく、参院選後、散々メディアや国民の話題に乗ったこと以上の質問をしてこそ、石井に文句の1つも言えるのではないか。

 ★村上が国葬を巡り1年間の役職停止処分を受けたのは「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」発言だ。安倍派はそれこそ「言語道断」と騒いだが派閥の会長代理・塩谷立も「国賊はダメ」とした。党内では「国賊」以外は正しいという声も多く、村上を攻める声も少なかった。無用な挑発と不要に怒ってみせる小芝居は国会議員が好むパフォーマンスだが、予算委員会がつまらないから起きた演出にしか見えない。(K)※敬称略