四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

中学生が句会に飛び入り

2015-11-26 18:55:22 | 俳句

 私たちの句会に孫のような中学2年生の男女二人が飛び入り参加して楽しい時を過ごしました。事務方の説明によると社会見学の一環らしく、とても良き体験なので大歓迎しました。職業を知る教育でもあるようです。常々私もアカデミックな進路指導のみでなく、将来の自分の職業、どうやって食べていくのか、どう社会に貢献するのかの方向を考えさせることは重要と思っておりました。何となく就職するのではなく個性にあった職種を探す、親の給料がどのような働きによって得られているのかに関心を持たせることは重要なことです。大人にはこんな遊び、楽しみが有ることを知らせたいとその場で句会に参加して、選句をしてもらいました。難しい漢字や季語など全句を読んであげて選句です。想像以上にフィーリングが良くてみんな驚きました。

二人が選んだ句は次の通りです。意味よりも何となく良いでいいのです。句を選ばれた仲間は大喜びでした。

 

◯何気なく過ごす幸せ栗名月

◯隙間風ピクリと動く猫の耳

◯丁寧にコーヒー淹るる今朝の冬

◯庭園の池より生まる秋の色

◯煤逃や放課後のような青空

コメント

横浜の遺跡の吟行

2015-11-08 20:36:11 | 俳句

 今から2千年前の遺跡(弥生時代)があり、竪穴式住居や高倉倉庫、侵入を阻止する土塁、巡らせた柵や木橋などが再現されています。近くにはお墓も遺されています。

横浜市営地下鉄のセンター北駅に近い国指定の「大塚・歳勝土(おおつか・さいかちど)遺跡」です。横浜市歴史博物館と一体となった公園になっています。

あかざ俳句会では30人が参加し晩秋の吟行を行いました。まず句友で歴史に造詣の深い雅雄さんが遺跡の概略を説明してくれました。横浜の傾きマンションの地層までマニアックな解説でした。

復元の環濠集落は快適な丘になっており秋日で暖かく、紅葉が囲みドングリが散らばるそこからなんと東京スカイツリーがのぞめました。昼からの句会ではよき作品が発表されました。


◯どんぐりや弥生の墓に眠る児も   香織

◯冬に入る遺跡を醒ます子らのこゑ  教子

◯木の実降る弥生遺跡の子守歌    好子

◯冬日透く弥生住居の息づかひ    満美

◯古民家の武骨な竈冬に入る     道生

コメント

第60回横浜俳句大会(その二)

2015-10-28 06:48:22 | 俳句

 素晴らしいお月さまが連日目を和ませる時節ですね。亡くなった両親はじめ、お釈迦さまも、聖徳太子も松尾芭蕉翁も見上げた月です。天皇皇后両陛下もむつましく見ておられるでしょう。横浜の港の見える丘公園の秋バラが素敵な香りを放っていました。神奈川近代文学館では柳田國男展を開催中です。


◯朝日新聞社賞

    呼びにきし母も踊の輪の中に    岩渕 直

◯神奈川新聞社賞

    夕焼の人を吐き出す造船所     浮田雁人

◯産経新聞社賞

    長生きを許されてまた敗戦忌    中島修之輔

◯毎日新聞社賞

    武者震ひして噴水の立ち上がる  杉山定子

コメント

三渓園の投句箱

2015-01-10 10:21:38 | 俳句

 横浜の名園、三渓園には全国からの観光客や和風を愛する市民が静かな時間を過ごすために訪れております。文明開化の生糸貿易で財を成した原三渓さんが遺してくれた憩いの庭です。

園内に設けられた投句箱の作品を三渓園保勝会と横浜俳話会とで選んで、三渓園観梅俳句大会(本年は2月22日開催)において表彰しております。もうその歴史も39回を重ねることとなりました。風雅を愛する先輩たちのお陰様なのです。

10位までの作品をご紹介いたします。素敵な作品がならびました。


 1位  秋風を聴けり土橋を渡るとき   時子

 2   万緑の中石棺の黙深き      みね子

 3   かなかなのさざ波となり暮れにけり  基之

 4   一塔を浮かべてをりぬ梅千本   純一

 5   手品めく投句箱より秋の蝶    正守

 6   古民家の足裏涼しき急階段    とく (私の特選)

 7   木の実落つ園の小径の観世音   敦子

 8   堂塔を見てをり梅の匂ひおり   善一

 9   観梅の一句残して逝かれけり   庫江 (私の特選)

10   梅の枝かき分けてくるランドセル  大八



コメント

横浜俳話会みなとみらい賞

2014-10-18 21:53:00 | 俳句

 第4回みなとみらい賞准賞に、親友の表 邦彦氏(あかざ俳句会)が選ばれました。氏は現役のデザイナーで、あかざの編集長をされております。奥さまも息子さんも俳句をされ、色彩感覚の鋭い個性的作品を連発されております。同人仲間としておおいに喜んでいます。氏が応募された20句をご紹介いたしますので味わって下さい。

 

    「水」      

  虹といふあやふやな脚立ちにけり

  青しぐれ水の平を驚かす

  百選の水足してある金魚かな

  青葉風テナーの声の裏返る

  風鈴や沖に雲湧く無人駅

  夾竹桃空に深みのひとところ

  空蝉をのせて水面のへこみたる

  天瓜粉匂ひて時のはるかまで

  不可思議な呪文のやうにところてん

  凌霄花の吐き出す昼といふ媚薬

  日の暮るるまでに間のあり山法師

  待つまでの水はすべすべ蛍の夜

  身の内に満ちて晩夏の波の音

  闇あればこそ流灯の生き生きと

  さざ波に銀河のかけら紛れけり

  水槽に水の断面いなびかり

  人体は聖なる器水の秋

  流木のひときは白き焚火跡

  折れさうなこころに島の花便り

  堰の水落花をとどめ落ちにけり

コメント

夏は去りて秋来る

2014-08-30 08:38:36 | 俳句

 異常な暑さと山が崩れるほどの大雨の今年の夏から一変して冷たくて涼しい秋となりました。今月さまざまな句会で頂いた良き作品をご紹介いたします。

私は「俳句は簡単、誰でも作れる」と俳句入門を勧めております。4月に87才のお婆さんも入門されてこの炎天、月二回の句会に一度も欠席無く来ておられます。

普段使わない右脳を活性化させる俳句づくりはきっと心身の癒やし、医療費抑制に役立ちます。

いかがですかあなたも、非日常の新しい俳句の世界へ入りませんか。

 

☆草笛の天才少年遺骨なし   百代

☆2DKシンクで母に焚く門火  季三江  

☆八月といふ傷だらけのおほぞら  邦彦

☆黒焦げ麦飯わたしの広島二中生  ちしろ

☆蝉時雨もはや戦前かも知れぬ   好子

☆繰り言はそこまで泥鰌鍋たぎる  照子

☆氷水をんなの秘密もれやすく   翠

 

 

コメント

あかざ俳句会の大会

2014-05-22 06:00:21 | 俳句

 飯村寿美子主宰のあかざ俳句会が22周年の大会を横浜で開きました。諸行無常で病や高齢により参加できなくなる方もいますが、新しい仲間も増えて約70人が来てくださいました。

足の悪い祖母の付き添いで孫娘が来てくれて感動的でした。

 今年の「あかざ賞」は泰然自若の紳士、荻原照之さんが受賞されました。「あかざ新人賞」は井上ミヤコさんです。それぞれに額装した主宰揮毫の短冊と記念品が贈呈されました。

通信句会の互選結果が発表され、高得点句の披露と表彰です。おめでとうございます。

◯赤子泣く女雛の視線動きをり   好子

◯立ち上がる膝「コキ」と鳴り山笑ふ  恵美子

◯子を叱り悔いの色とぶしやぼん玉   英子

◯菜の花や園児の帽子浮き沈み   美津子

◯キューピーのまたたき知らず春の雷  満美

◯十薬をどれほど摘めば兄癒えむ  夢梨

◯蟇出てて今バリトンの調整中   邦彦

◯さくらさくらここら辺りが校舎跡  道生

◯母在らば白寿の母の日なりけり   翠

 

 

 

コメント

ちしろ先生に惚れて20年

2014-05-09 14:55:03 | 俳句

 横浜市金沢区は海あり山ありで鎌倉に近く、兼好法師ゆかりの称名寺・金沢文庫や江戸時代の観光地・金沢八景で有名でした。今は横浜市立大とラグビーと神学部もあるミッションの関東学院大、人工島シーパラダイスで名をはせています。横浜市の外れで隣は横須賀、逗子葉山、首都圏へ勤務する方たちのベッドタウンです。

 楷(かい)の木俳句の会は、仙人みたいで熱烈な女性フアンの多い鶴巻ちしろ氏の主宰で満20年を迎えました。ひょうひょうとして句会がわずか4人に縮小した頃も一度の休みもなく指導されたそうで敬服しました。真似をしない独自な感覚を引き出し個性を奔放に詠うことを勧められ、しかも俳句に対して謙虚な主宰です。得難き町のセンセイです。

朝から情緒ある数寄屋で240回目の句会をしてから宴席です。足の悪い句友は娘夫婦の車での送迎で参加されました。親子で有難いことです。

 

★燦燦とアルツハイマーあおみどろ   ちしろ

★母の手の赤い風船だれも居ない   量子

★返事する友は若布の暖簾から     千施子

★たんぽぽのぽぽーのひびき古時計  とし子

★道づれを厭ふてをりぬ芍薬苑    駿

コメント

初句会

2014-01-13 18:01:21 | 俳句

 新年が明けて最初の俳句会は初句会、皇居での短歌の会は歌会始(うたかいはじめ)と申します。和歌は貴族クラスの上品でみやびな短詩で、なにせ「古事記」にあるようにスサノウノミコトから始まり、天皇の命による歌集・勅撰集(古今和歌集など)が編まれるほど正当な伝統を誇っています。天皇皇后両陛下もなされます。

一方、俳諧は酒席でのおふざけ、下品な連句が母体で、明治以降は連句から俳句として独り立ちしました。下々の庶民歌なのです。初句会で選の多かった作品をどうぞ。


◯ぽかんといのち元朝の火にうずくまる  ちしろ

◯どの窓へ行く新年のしゃぼんだま   量子

◯ひとり出で天籟を聞くお正月     としみ

◯笑っていたような気のする初寝覚   律子

◯嵌まりたき年酒あやなす薦かぶり   駿(一点も頂けなかった、クスン。大伴旅人をイメージ。)

コメント

師走の句会

2013-12-22 17:38:38 | 俳句

 いよいよ2013年も土壇場、年の瀬の雰囲気となりました。皆さまにはこの1年はいかがでしたか。私は手帖を調べないとかく思い出せませんが、地球温暖化がもたらす異常気象の年、自民圧勝の年でしたね。ただ、わが家族に災厄が無く無事に乗り切れそうなことに感謝するばかりです。

 この師走を風流に句会をエンジョイ出来てありがとうございました。仲間の佳句をご紹介いたします。


★箸の国俳句のくにや初山河  好子

★幸せは庭の隅より実千両   寿美子

★星空に狩りの伝説くぢら喰う   邦彦

★焚火して背中の留守をつかれけり  土太郎

★初暦家族ひとりの増へさうな   駿

★生まるるも逝くも湯を浴ぶ白障子  夢梨

★すが漏りや秘密保護法がやってきた  ちしろ

★ひよこをねふんわりつかむ冬陽です  としみ

★愛想良き媼ほまちの冬菜売る   春枝

★新蕎麦やすとんと暮るる奥会津  春枝

 

コメント

第58回横浜俳句大会(その3)

2013-10-09 19:45:16 | 俳句

 当日の句会の兼題は「海」か「草の絮(くさのわた)」、いずれかを句に詠み込んで正午までに投句します。全員でそれぞれ好きな句を3句選び選句用紙にて提出しました。選ばれた十位までの俳句が表彰されました。

6位から10位までの作品は下記の通りでした。仲間のあかざ句会・池田恵美子さんが入賞されて嬉しかったです。秋麗(あきうらら)が素敵だ。

◯朝日新聞社賞   海底の静けさに似て菊枕    金子 弓湖

◯毎日新聞社賞   遠き日の花いちもんめ草の絮  福原 乃婦

◯読売新聞社賞   象と行く象の尻尾の草の絮   川名 将義

◯横浜俳話会賞   どの路地を抜けても海へ秋麗  池田 恵美子

◯新俳句人連盟賞  自由という退屈な日や草の絮  鴫原 さき子

コメント

横浜俳話会主催 第58回横浜俳句大会(その2)

2013-10-05 12:33:46 | 俳句

 今回の講演は鈴木貞雄先生(「若葉」主宰)が立たれ、「俳句とことわざ」を題にお話を頂きました。青少年俳句の部の表彰では小中学生の入賞者が父母や兄弟、縁者の同席を得て表彰されました。表彰の途中、乳母車の赤ちゃんが急に泣き出すハプニングも。

当日句会130人参加者全員での互選結果は下記の通りでした。今回の兼題は「海」「草の絮」となり正午までに一句を提出して、3句選の互選で決まりました。

まず、高点5句をお読み下さい。(つづく)


◯横浜市長賞      双眸はまだ海の色初さんま   菅原 輝子

◯神奈川県議会議長賞  海晴れて飛ぶかも知れぬ曼珠沙華  相川 玖美子

◯横浜市議会長賞    死ぬまでは人その後は草の絮  中岡 昌太

◯横浜市教育委員会賞  月天心鎮まりていま地震の海  名和 美知子

◯横浜俳話会長賞    草の絮山のホームに父残す   菅沼 葉二

 

コメント

第58回横浜俳句大会の作品です(その1)

2013-09-30 04:01:12 | 俳句

 秋日和の9月29日、半世紀を超える伝統を誇る第58回横浜俳句大会が開催されました。あらかじめ全国から投句頂いた1400句の中から選ばれた入選句は下記の通りです。さすがに視点が斬新、うまいなぁ!( )の句は重複入賞により辞退。


神奈川県知事賞     紙魚あとに検閲の印学徒の記   大須賀 善和

横浜市長賞        風音も刈つてしまひし草刈女   中嶋 文枝

神奈川県議会議長賞  耕して耕して母逝きたまふ     大西 昭舟 


横浜市会議会長賞   八月やいろんな音の靴が来る   前田 千恵子

横浜市教育委員会賞  どこよりも涼しき家に帰りけり   小林 比奈子

横浜俳話会長賞     しんがりは見たことはなし蟻の列   鴫原 さき子

               (この墓に兄の骨なし昭和の日   大西 昭舟)


朝日新聞社賞     シンバルが最後に鳴つて雲の峰   山本 一歩

神奈川新聞社賞    薄れゆく虹少年の喉仏    小野 隆志

              (終戦日水から動きはじめけり    中嶋 文枝) 

  

産経新聞社賞     蟇一言居士の面構え  林 満子

毎日新聞社賞     茅の輪くぐる鏡の中に入るやうに   家田 あつ子

              (定年の君の麦藁帽子かな    山本 一歩)


読売新聞社賞     天高し何から忘れはじめよう      川名 将義

              (合格子のきれいになつてゐる机    小林 比奈子)

神奈川県現代俳句協会賞  浅蜊売りひょいと小石をつまみ出す  北村 とおる

                  (自分史の残りを生きて目刺焼く    大西 昭舟)


日本伝統俳句協会協会賞  人生は流れ解散冬紅葉  菅沼 葉二

横浜文芸懇話会賞      春ショールまとい風より軽くなる  松田 圭子 

 

コメント

俳句のある暮しをおすすめします

2013-09-19 09:24:16 | 俳句

☆   俳句の10のよろこび

 

➀自然や自分の発見のよろこび

四季と共に暮らすよろこび

 

③日本の伝統美(古典や詩人)に会えるよろこび

④新しい言葉にめぐり合うよろこび

 

⑤感動を言い止めた時のよろこび

⑥作品に共感を得るよろこび

 

⑦いつでも どこでも、ひとりでも遊べるよろこび

⑧自他の癒しになれるよろこび

 

⑨故人への供養(献句)になれるよろこび

⑩友だちが増えるよろこび

 

   「あなたの生活習慣と人間関係に潤いをもたらす俳句を共に学びませんか。」

  

@ご参考  認知症予防十ヶ条(財団法人 認知症予防財団)

一、塩分と動物性脂肪を控えたバランスよき食事

二、適度の運動で足腰を丈夫に

三、節酒、禁煙で規則正しい生活

四、生活習慣病の予防と早期発見

五、転倒に注意

六、興味と好奇心

七、考えをまとめて表現する習慣

八、細やかな気配りをしたよき付き合い

九、おしゃれ心を忘れない

十、くよくよしないで明るい気分で






 

 

コメント

ゆれてゐる私

2013-09-11 22:27:51 | 俳句

俳誌「つぐみ」の俳句交流欄に下記の文を掲載して頂きました。有難いことです。さて、陽暦に換算すると「おくのほそ道」の芭蕉さんは昨日から山中温泉に滞在中です。 

               

  『好句の古きより、悪しき句の新しきを俳諧の第一とす。』(山中問答) 芭蕉さんのお言葉です。句材の範囲や言葉、表現や韻律に安住して思い切った冒険、実験をしない態度を戒められております。句作りの技法ではなく人の生き方、心の姿勢を指摘されていると鶴巻ちしろ氏は述べておられます(「実作の芭蕉」現代俳句協会)。私には耳が痛いご指摘です。

     ゆれてゐる私

☆西日射すダリの時計のやうな坂

 

☆変体仮名のまきつく授業日の盛り

 

☆とびきりの忘れものあるやうな虹

 

☆マニキュアの小貝ほどなる素足かな

  

☆アカンサス模様いふて清水を掬ひけり

 

☆ゆれてゐるアルトやきみの目涼し

 

☆縁づかぬ姪つ子五人プラム買ふ

コメント