如月の二月はスルリと飛び去りました。光陰矢の如しですね。この月に巡り合った感銘句は次の作品でした。
つけさげの白梅香る淑気かな
癌転移なしの診断梅真白
色町の余寒にくづる清め塩
朝日受くぱんの空洞春動く
春めくや付箋いろいろ地図の上
餅花を点す父・母・兄が来て
地球儀の直線の国境星冴ゆる
雪しづくしたたりつづく母の忌や
狐火のように老女となりにけり
もがり笛父の夜語り恐ろしき
蛤の椀にはみだすお食ひ初め
櫻鯛どんと置かるるお食ひ初め
早春や亜麻色といふ刺繍糸
かたはらに人ゐる安堵春の雨
母の手と同じ大きさよもぎ餅
酢海鼠や男の本音わかりません
句を寝かせパン生地ねかせ春の昼
蝶の翅閉づシンバルの一打より