『「開発」という言葉で樹木が伐(き)り倒され、自然がどんどん破壊されています。工場廃液は海に流されて海を汚(よご)し、海水中のプランクトンの量が激減しているそうです。
人間が生きていくのには酸素が必要ですが、その酸素をつくり出すには樹木と植物プランクトンの働きが必要です。
およそ全地球の酸素の30パーセントを樹木がつくり出し、70パーセントを海中の植物プランクトンがつくり出しているといいます。環境問題の専門家は、このまま自然破壊が進むと、近い将来、人類は戦争による危機よりもさらに重大な危機にさらされると警告しています。
外国では樹木を伐った場合、その数だけ樹木を植えることを法律で定めているところもあるそうです。
評論家の竹村健一さんは、事の実体を見極めるのには、地を這うように現実に即した視点で見る「蟻の目」と同時に、空を飛ぶ鳥のように大所高所から状況を見定める「鳥の目」の二つの見方を持つことが必要で、それでこそ道を誤らずに進むことができる、と言われています。そうした観点に立って自然との調和をはからなければ、人類は自らの首を絞める結果になってしまいましょう。』
庭野日敬著『開祖随感』より