『松下幸之助さんの言葉だったと思いますが、「年が新たまるからおめでたいのではない。年が新たまれば心も新たまる。心が新たまるから、おめでたいのである。したがってお正月だけがおめでたいのではなく、心が新たまったときには、いつでもおめでたいのである」といった意味の言葉があったのを覚えております。
心を新ためるのには、いつのまにか惰性に流れ、マンネリに陥っている生活態度を反省して、新しく出直すことが必要です。
心を新たにすることを一般的には「改心」と言いますが、仏教では、さらに深く自分の心のあり方を反省し、正しい信仰に心を向けるという意味で、「回心(えしん)」という言葉を使います。回心とは、世俗的な欲望追求に走りがちな心を、真理の教えの世界に振り向けることです。
これまでの自分を悔い改めて仏法に帰依して生まれ変わること、それが回心なのです。
常に自分を法に照らして改めることを怠らず、いつも求めて向上を心がける。そういう生活であってこそ、日々是好日(にちにちこれこうにち)の、なによりもめでたい日々になるのです。』
庭野日敬著『開祖随感』より