『物や自由ふんだんにあるけれども、社会も世界も先行きどうなるのか分からないという時代ほど、青年の生き方が難しい時代はないでしょう。
先ごろ『青少年白書』が出されましたが、街頭でのインタビューを聞いてみると、高校生は、ただ大学へ行くことだけで何を勉強するのかは考えていない。大学生は、卒業して将来安心な企業に就職することだけで、どんな仕事で自分の役割を果たすのかは考えていない。そういう人が大半だったといいます。
仏教では、総願と別願の大切さを教えています。総願とは、なんのために人は生きるのかという大目的です。別願とは、その人、その時の願いともいえましょう。
松下幸之助さんは、傘下の企業を合わせると数十万人という社員を抱える会社を築かれた方ですが、「人間として生まれたら、人間としての成功が大事。自分はまだまだだ」と言っておられたそうです。
自分の人生の目標をしっかりつかむと、人は行動が変わってきます。それによって性格も変わってきて、偉大なエネルギーが噴出してくるのです。』
庭野日敬著『開祖随感』より