『お姑さんにどこからも文句をつけられないようにとがんばりすぎて、ノイローゼになりかけたお嫁さんが、「家事は完全になんかできるものじゃないの。六十点満点でいいんです」と教えてもらって気が楽になり、「なるほど、そうだ」と心を決めてしまったら、お姑さんと気持ちが通い合うようになった、と話してくださる方がおられました。
ボロを出すまいと気張っていたときは、知らず知らずお姑さんに対して身構える姿勢になっていたわけです。それでは努力すればするほど、お姑さんとの間はおかしくなってしまいます。
人の上に立つリーダーの場合も同じなのですね。「下手なことを言って、揚げ足をとられてはならない」と、いつも身構えてばかりいるのでは、部下がついてきてくれません。少しの隙も見せないという人は、冷たそうで、近づきがたい人に見えてしまうのです。
六十点か七十点満点でいいのだ、と腹の中をさらけだせるようにならないと、本当に大勢の人の信頼を集めるリーダーにはなれません。』
庭野日敬著『開祖随感』より