20年くらい前、友人のS さんと、紫陽花園を通り越して、
どんどん山奥の方へ歩いたことがありました。
もうそこからは道がないところに、突然大きな池が出現しました。
周りを木に囲まれて、それ以外には何もない、あるといえば静寂のみのある大きな池でした。
その時のことを、音和舎さんの連れて来てくださった方に話しますと、
「行ってみますか? 今は周りが整備されて、ウォーキングロードもあるのですよ。」と
話してくれました。
大きな池の周りが整備されている以外は、20年前の寂しいような湖と言いたいような静かな池が、
目の前に広がっていました。
時々ウグイスの鳴き声がします。
20年前が元気だったのだなぁと、そういう過程を通って現在があることに、感慨深いものがありました。
対岸の森の木々、空に浮かぶ白い雲。
対岸の少し開かれた土地には、紫陽花が植えられているようです。
もし20年昔にカムバックできるなら、対岸までウォーキングをしていることでしょうね。
思いがけなく、「恋の池」まで連れて来てもらって池に映る雲の動きを
暫くは無言で眺めていました。
静寂以外に何もないからこそ、自然への想像が広がりますし、元気印だったころのあったことも
得難い思いであったのなのだと、加齢を悔やむのでなく、積み重ねて来て今に至ったことが、とても貴重なものとして捉えることのできる
「山の静かな湖」が、ここにありました。