ピラタス蓼科ロープウエイは、信州蓼科高原の八ヶ岳にあり、標高1771mの 山麓駅から、北横岳と縞枯山の稜線にある山頂駅(標高2240m)までを約7分間で結ぶ100人乗りロープウエイで、いっきに2240mまで運んでくれる。
ほとんどの人は、スキーヤーかボーダーさんで、坪庭歩きの人は見かけなかった。
気圧が低いのか耳がツーンとして変な感じである。
標高2480mの横岳と、標高2403mの縞枯山の鞍部に広がる、坪庭は八ヶ岳最後の噴火で出来た溶岩台地で、地形の形状がすり鉢状になったそうで、日本建築の屋敷の中になる坪庭のイメージとは全く違って、自然が造り出した形状そのものにつけられた名前であることを知った。
1周が1000mと書かれているが、雪山でなかったらトレッキングコースとして、何とか今の体力で歩けそうだがごつごつした岩山があるとのことで、最初から私は引けていた。
散策コースは新雪ではあるが下は踏み固められているようで、コースさえ外れなければ、樹氷を撮りながらゆっくりと歩くことができそうだ。
コースをはずせばラッセルしなければなりそうで、こわごわ慎重に進んだ。
女性陣はスノーシューをを装着しているので、先にコースどおりに行きなさいといってくれたので、雪の道を歩くのが楽しくて平坦なコースに安心して歩き出した。
ただ、私の前にも後ろにも人のいないのが不安だった。
「暫く行くと急な坂があります」写真ではその急なのがあまり分からないが、ここに来て私にとっては大変な難関にぶち当たったような気がした。
後ろから来るはずの3人の姿がまだ見えなかったことが、私をパニック状態にした。
登っても登ってもずるずる下がってくる。
そんな悪戦苦闘しているところにhirateさんが追いついてくれて、登るようにサポートしてくれるのだが、
自分の状態が「目が回りそう」なので、そのことを伝えた。
心臓のドキドキも息切れもしないのに、「目が回る」様な感覚だけが、登ることにすっかり意欲を無くしてしまった。
登った分降りる場所がこの先にあると思ったら、「もうここから引きかえしま~す。」とギブアップしてしまった。
急坂の下に戻ってその辺りをカメラに入れながら、来た道を引きかえした。
上まで行きたいとは全く思わないで、今の状態に結構満足だった。
「自分で納得して引きかえすと決める判断は、それでいいのですよ。」hirateさんはそう言いながら、ついて来てくださった。
遥か上の黒々とした岩場から、元気な二人の女性の声がして、お手を振っている。
こちらも手を振りながら、あんなに高いところまでは到底いけなかっただろうとさらに納得した。
ここでの樹氷の美しさに堪能して、坪庭の降り口まで行って待ってみることにした。
ところがその出口に当たるところが散策路が崩壊して通行止めになっている。
ずいぶん待ったがなかなか姿が見えないので、来た道を引きかえしたのだろうかと、ロープウエーのところまで行って待つことにした。
スキーで下るかボードで山を降りる人ばかりで、駅には人影もなかった。
「寒いから先に下りて、下の温かい所で待っているように・・・」そう言ってもらって、次の下りのロープウエーに乗った。
たった一人の乗客の私に、乗務員さんは、「今日は山の状態もお天気もよくて、いい日でしたね。」と話しかけてくれた。
7分はあっという間だか、ロープウエーのなかから見える樹氷や遠くの日本アルプスの山々をしっかり頭に焼き付けてきた。
後で降りてきた二人の話では、崩落した道を降りてきたとのこと、天晴れ・天晴れである。