まちや館は、江戸時代末期の建物を修復しています。初代保安庁長官・木村篤太郎氏の生家です。お孫さんと同級生だったのと、実家が近かったせいもあり、時々遊びに来させてもらって、広い屋敷のあちこちは結構かくれんぼうに都合のよいお家だった印象が強く、ここがまちや館として開放されてからは、何度か訪れています。
奥行は表通りから、裏通りまで美しい曲線の板塀の路地となっています。
通りに面した格子は、江戸時代の伝統的な町屋建築の様式で、新町通りにはこのような建築がよく見られます。
大きな暖簾がスクリーンになって花火のような映像が映ります。ボランティアの方が、手を打って音を出してみてくださいといわれましたので、そのようにしますとスクリーンの模様がそのたびに変わるのです。観客参加型のアートというのでしょうね。
上の鯉の群れ泳ぐのは、足元に映し出される映像で、まるで畳の上が池になったようで、そこと同じ地点に立っている自分まで鯉の池の仲間入りをしたような錯覚を起こします。
下の金魚が1匹、これも畳の上(ひょっとしたら床の上だったかも)を、悠々と泳いでいます。暫くしたら津波のような水の流れが向こうから来て、金魚は流されていきます。画像の下の赤いのがさっきまで悠々と泳いでいた金魚です。
好奇心の強い私は映し出される映像が面白くて、このアートが光の作り出すものであるという原理などは、器械に弱いので理解できなくても、結構感動するものがありました。
この箱階段を登りますと二階に着きます。
ネコちゃんが海を眺めています。暫くしますと海に太陽が入ったようです。なんだか孤独なネコちゃんです。何を思っているのでしょうね。
上の黒い画面は、昔懐かしい蚊帳に映る映像で、蚊帳は立体的ですので、映像も階下の暖簾のスクリーンとはまた違った面白さがありますが、平面的な写真ではその妙は表現できなくて残念です。また障子には新町通りの名前が次々と光と共に動いていくのですが、それもこの画像ではだめ。動画で撮れば面白いだろうと思いました。
「はならぁと」は昨年はじめて開催されました。昨年のテーマは、町家と現代アートとの「出会い」でした。 今年のテーマは「つなぐ」です。昨年の出会いを大切にして、住む人・訪れる人・創る人・見る人たちのつながりが生まれることをと、主催者の方の挨拶文にありました。
光のアートに夢中になって眺めたり音を鳴らしたり、私も「つながり」の輪の一つだったのかもしれません。
土間に下りてみました。この2畳の部屋が、木村篤太郎氏が勉学を積んだ部屋だそうです。その横にはつるべ井戸があります。
これは外ではなくて屋敷の中で昔は蔵だったのでしょうね。公開されているこのような町屋を見学するのも当時への想像が広がるのじゃないかと・・・。