全國で確認された人災疫病の感染者數が二百人台で日々推移するやうになり、いよいよ下げ止まりと極まる。これ以上はあっても、これ以下はないのである。この疫病は、ニンゲンをますます厭な生き物にした。 . . . 本文を読む
商業施設の壁に掲げられてゐた、作り物の女のコたち。雰囲気がよく似てゐるので、てっきり一人の作家の作品(もの)かと思ったら、四人が一點づつ手掛けたものと云ふ。現今の街中でうんざりするほど見掛ける同じ“顔”の女のコたちを、そのまま繪にしたかのやうだ。夏目漱石の「吾輩は猫である」にも、平凡な器量の若い女性につひて、“五分も外を歩ひてゐれば必ず會へる顔である”と云った感じの一文があった。しかし。私はこの描 . . . 本文を読む