町内で土方が土をほじくり返し、けっきょく買ひ手の付かない一戸建てを建て始めてから数ヶ月になる。
その影響なのか、新設された排水孔からは梅雨以降、つねに湧き水が流れ出るやうになった。
雨がやんで暫くしたらおさまるだらうと思ってゐたが、晴天炎暑の日に至ってもせせらぎを聞かせ続け、つひには路肩が沢のやうになった。
土方が地面をほじったがために、温泉が涸れたり、池の水が濁ったりする事例はよく耳にするが、湧き水が発生するやうになったのは珍しい気がする。
水に触れてみると、ひんやりとして心地良い。
かくして自然の意思は、
つねに人間の計算を超える。