迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

言はせていただかせていただく。

2019-05-20 18:27:19 | 浮世見聞記
この頃の日本語として、

「〇〇させていただく」

といふ言ひ回しがやたら耳目に付く。


なんでもかんでも、

猫も杓子も、


「……〇〇させていただきましたが云々」


相手に対する謙譲のつもりなのだらうが、かう氾濫すると、却ってあざとく響ゐてうるさい。


おそらく、賞味期限付きの藝No人がいつ廃棄されるか分からない恐怖心から、権力者への過度なお追従で無闇矢鱈と、

「(番組に)使っていただいた」

だの、

「呼んでいただいた」

だのとTVで連発してゐるのを観た何の考へもない有象無象が、感染されるがまま外で口真似したのが、さらに浮世へ広く伝染したものだらう。





先日も、通販で購入した商品につひて販売先から、

“本日発送させていただきました”

と文書で連絡が届ひたときには、

「“発送いたしました”で充分だらう……」

と、苦笑ひしたくなった。



上着の襟を抜ひたマヌケな姿で外を歩く女性軍など、妙なことやみっともないことならすぐ傅播するのが、當世の常なり。



詐欺被害が根絶しないのも、道理なれ。




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