この頃の日本語として、
先日も、通販で購入した商品につひて販売先から、
「〇〇させていただく」
といふ言ひ回しがやたら耳目に付く。
なんでもかんでも、
猫も杓子も、
「……〇〇させていただきましたが云々」
相手に対する謙譲のつもりなのだらうが、かう氾濫すると、却ってあざとく響ゐてうるさい。
おそらく、賞味期限付きの藝No人がいつ廃棄されるか分からない恐怖心から、権力者への過度なお追従で無闇矢鱈と、
「(番組に)使っていただいた」
だの、
「呼んでいただいた」
だのとTVで連発してゐるのを観た何の考へもない有象無象が、感染されるがまま外で口真似したのが、さらに浮世へ広く伝染したものだらう。
先日も、通販で購入した商品につひて販売先から、
“本日発送させていただきました”
と文書で連絡が届ひたときには、
「“発送いたしました”で充分だらう……」
と、苦笑ひしたくなった。
上着の襟を抜ひたマヌケな姿で外を歩く女性軍など、妙なことやみっともないことならすぐ傅播するのが、當世の常なり。
詐欺被害が根絶しないのも、道理なれ。