迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

逢ふあふぎ。

2022-12-04 09:03:00 | 浮世見聞記


ラジオ放送で觀世流「班女」を聴く。


客の男と再會を約束して扇を取り交はして以来、ボンヤリとなったがために美濃國野上宿を追ひ出され、都で狂亂して彷徨ふうちに帰京した戀しい男と再び巡り逢ふ──


能では典型的な狂亂物で、私も水道橋の能樂堂で一度觀てゐるが、曲趣そのものに特に感じるところはなかった。

それよりも、堂々たる体格をしたその演者(シテ)が、扇を構へた姿のときに、握った両手をピタリと体に付けて細身に映るやう工夫をしてゐたことが鮮烈な印象となって心に殘り、のちに自身で唐織を着る曲を創った際、その記憶が大いに役立ち助けられた有難い思ひ出のある曲である。









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