今日は朝からこの天気に、
踏んだり蹴ったりもここに極まれり、とつひに笑ふ。
今年に積雪景色を見るのは、如月初旬に現代手猿樂を舞ふために訪れた米澤以来。
外出自粛令云々など関係なく、これでは外に出る氣にはならぬ。
平日も東京都心への外出自粛令を発令する県知事が現れるに至り、つひこの間までそのトウキョウで、よく茶番大運動會を強行する氣でいたものだと呆れる。
しかも「延期」発表直後、なぜか首都圏では支那疫病の感染者数がハネ上った。
志村けんの感染がそれまで隠されてゐたやうに──ただこの人だけは必ず回復してほしゐと心から願ふ──、実際にはとっくに増加してゐたにも拘はらず、茶番大運動會を強行するためにわざと黙ってゐた、としか考へられない。
そのやうな危ない状況下で、ギリシャから本當に付け火を持って来たのだから恐しくなる。
しかもそのために現地へ派遣されたお役人が、「感染」といふお土産を持ち帰って来るオチまで付けて!
為政者にかうした度重なる“前科”があっては、一般國民への外出自粛令も迷惑にしか聞こふない。
まう一度言ふやうだが、「ここへは出て来るな!」と宣ふまさにその場所で、茶番大運動會を『完全な形で』華々しく強行するつもりだったのだから!
鳴物停止令もやはり四月にまで及び、珍しく地元の自治体が企画した、狂言の公演も中止となった。
残念無念もいい加減ここまで来ると不感化し、それはそれで恐ろしい。
かくして今は舞台を観ることも、立つことも叶はない。
しかし、“稽古”として自宅で舞ふことは、叶ふ。
たとへ人前でなくても、手猿樂を舞ってゐることには、何ら変はりはない。
「何事も無いことが一番の幸せ」──
すなはちここじゃ。
そして、
『能樂師は扇さへ手にすれば、いつでもどこでも舞ふことが出来る』──
金春流前宗家の言葉を、いま改めて噛みしめる。
また今日の「笑点」は無観客で収録したものが放送されるに及び、
「こりゃ只事ではないわえ……」
笑ひのなかに初めて緊迫感を見る。