大阪府吹田市の萬博記念公園内にある國立民族學博物館の特別展「日本の仮面 芸能と祭りの世界」を觀る。
日本各地の祭禮などで演じられる藝能で用ゐられる、または用ゐられてゐた假面の數々を、豊富な分量で紹介した企画で、假面をつけて舞ひ、踊る活動をしてゐる私としては、是非とも觀ておきたかった。
ヒトが假面を付ける行為をいつから初めたのか定かではないさうだが、縄文時代の遺跡から、土を焼いて作られたかなり明確な姿の假面が出土してゐることから、ニンゲン原初からの行為であったことは確かだ。
現在に傳はる神樂など、假面をつけて藝能を演じる形態は中世から始まり、だいたいが猿樂(能樂)の影響云々、その最末端に嵐悳江(わたし)の“現代手猿樂”があるのだと、ちょっと自惚れてみたりする。
もっとも、昭和十年代には京阪で歌舞伎の舞薹に立ってゐたと云ふ元役者が、面と衣裳を素早く次々に付け替へて歌舞伎芝居を一人で何役も演じ分ける、「面劇」と云ふ藝能を四國で創始して大評判をとった例もあり、似たやうなことを考へる人はいつの時代にもゐるものだと思ふ。
(※案内チラシより)
展示の後半には、面を付ける人(演者)の側に焦點を當て、面は一點一點が造作を異にするためそれぞれに勝手も異なり、また面を付けると極端に視界が狭まり、呼吸も苦しくなることもしっかり紹介されてゐたのが、自身も演者の端くれとして、よくぞ紹介してくれたと、嬉しくなったひととき。
“第二の故郷”である大阪へ来た時には、必ず師匠と嵐家御先祖のゐる四天王寺へ挨拶に伺ふが、今回は生憎の大雨。
大阪に住んでゐた時代から通しても、こんな惡天候下に訪れたことはない。
風も強かったので、今回は略式な挨拶で失禮させてもらったが、旅の途中にはかういふ日もあらァね。