迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ニッポン徘徊──神戸の記憶遺産

2024-01-08 22:12:00 | 浮世見聞記


このたび兵庫縣の神戸へ来たらまず訪れたかったのが、「日本一短い国道」と云ふ、國道174號線。



三宮驛から縣道30號線“フラワーロード”を南下すること約10分、國道2號線との交差點を過ぎた先の高速道路高架下から件の國道は始まってゐるが、



道が湾曲した先で、すでに終點が見えてゐる!



神戸税關を右手に見ながら歩き始めて2分1秒後、



「第3突堤」交差點で、國道174號線はおしまい。

距離は187.1メートル。

國道2號線から港湾地帯を結ぶ道として設けられたこの國道174號線、かつて國道2號線が三宮驛前を通ってゐた時代はそこが起點だったが、その後國道2號線が三宮驛の手前から南下して海岸沿ひを通る現在の經路に変更されたため、「日本一短い國道」となった云々。


(で囲った箇所が國道174號線)

かつて中山道、日光道中、甲州道中、東海道と、ニッポンの長い長い旧道を歩き通したワシじゃが、この約187メートル所要2分の短い短い國道も、それに匹敵する濃い内容の道中じゃて。


大阪に住んでゐた時代から、兵庫縣の神戸へ来たら必ず訪れるのが、メリケンパークの震災メモリアルパークに現状保存されてゐる、旧メリケン波止場。



平成7年1月17日の阪神淡路大震災で崩壊した幕末開港以来の波止場跡、それ以上の説明は、もふ必要あるまい。


(※昔日のメリケン波止場)

このたび、同じ正月の朔日に、能州で痛ましい災害が發生し、またしてもおのれの無力を思ひ知らされる。



日本人として日本國に生きてゐる以上、どこでも紙一重な條件は同じであることを、十數年ぶりに訪れた私に、遺構は厳しく語りかける。








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