前から一度ちゃんと見たいと思ってゐた、川崎市高津區久地の「久地圓筒分水」を見に行く。
二ヶ領用水を上流から圓筒の下へ流し込んで上から溢れさせ、それぞれの水路へ均等に水を振り分ける画期的な装置は、昭和十六年に平賀榮治氏によって完成云々。
ヒトがクチでは云ふ「平等」を、しっかり具現化して見せたところに、氏と装置の偉大さがあることは、云ふまでもない。
この有形文化財にして土木遺産のそばの水門からは、二ヶ領用水が爽快な瀧音を奏でてゐる。
瞼を閉じて耳を澄ませば、
たちまち森林の癒し空間、
潤ひは今日も生きてゐる。