迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

今様仲國。

2020-09-16 20:23:00 | 浮世見聞記
新宿驛より地下から地上へ上がると、雅楽の澄んだ調子(こゑ)が喧騒を縫って、私の耳に届ひた。はて……?謠曲「小督」の源仲國が、箏の音色を訪ねしごとく、私は主を辿り行く。やがて、ひとりの男性が龍笛を奏する姿を見る。主はここなり……。俗喧のなかで、雅びに逢ふ不思議さよ。街頭で津軽三味線を掻き鳴らす者は数多あれど、龍笛とはまた珍しい。これが今日いちばんの御縁。心洗はるる心地して、私はそのこゑ . . . 本文を読む
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高嶺の花など見えやせぬ。

2020-09-15 19:23:00 | 浮世見聞記
百日紅の花が落ちてゐる様に、いよいよ夏の終はりを知る。そして秋から冬へ、“旅”の兆しを思ふ。どこへ………?どこかへ出掛けることばかりが、旅ではないぞよ。 . . . 本文を読む
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旅路の日和。

2020-09-14 22:44:00 | 浮世見聞記
晴れたり曇ったり。天気ばかりは、待つほかなしだ。さいはひ、待つ間の樂しみに不自由はない。急ぎ足は、そのぶん命を縮めるだけのこと。なれば地図をひろげて、昼寝してやらう。過ぎゆく夏空は心地良い。あとは自分が信じるものを、これまでのやうに信じ續けることだ。為政者代表の首をすげ替へたところで、なんの呪(まじな)ひにもならぬ。 . . . 本文を読む
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まずは今の範囲で樂しまん。

2020-09-13 19:25:00 | 浮世見聞記
早朝にラジオ放送で寶生流の「殺生石」を聴く。まだまだヒトの密集する場に出掛けるべきでないと決めてゐるなか、“本物”に接することの叶ふ大事な機會。重厚に揃った地謠に、水道橋の能樂堂でこの流派の能を安心して樂しめる日が早く来てほしいと、しみじみ思ふ。そのためには、支那發人災疫病との對峙が重要のはずだが、今やすっかり狎れに陥ったヒトの増へてゐるのが現實。それは角界とても例 . . . 本文を読む
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静雨の小波。

2020-09-12 21:19:00 | 浮世見聞記
一雨ごとに秋となる、そのときが来たらしい。陽が厚い雲に覆はれると、一日が止まったやうに感じる。聲(おと)も、止まったやうに感じる。なにも聞こえて来ないことの安心。おとは、いつでもヒトを不安に陥れる。厄介ものめ。 . . . 本文を読む
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ニ兎を追ってお土産を貰ふ。

2020-09-11 20:31:13 | 浮世見聞記
金曜日の夜とあって、散歩途中に通りかかった回転寿司店は、順番待ちのお客が外にこぼれるほどの繁盛ぶり。疫病予防と経済活性の両立など、およそ無理であることをはっきりと示した光景。私はもとより外食産業といふやつを信用していないので、かういふ場所に足を向けることはまず、ない。よって、ただ現状維持で生きるのみ。 . . . 本文を読む
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コロナ感染、全国的に減少続く専門家「行動に変化」

2020-09-11 10:37:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/asahi/nation/ASN9B65WWN9BULBJ006?fm=d減少傾向にあると云ふ今だからこそ、それを維持することが重要であり、また正念場だと私は思ふのであります。東京二十三区内の飲食店の時短営業を今月十五日で解除をはじめ、行樂の促進を十月から國策として實施予定だの、そんな色々な意味です . . . 本文を読む
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秋季行事への祈り。

2020-09-10 23:19:00 | 浮世見聞記
日没前の、気温が下がりはじめた頃を見計らって散歩に出るのが、この頃の流れ。ちゃうど浮世の帰宅時間に重なることもあり、道では何人もの人とすれ違ふ。──この頃はやけに“裸顔”が増へたな、と感じる。出来たら、顔の下半分を隠してほしい。その狎れきった不景気な表情(かお)、見たうもないゆゑ。下半分と云へば、地区センターのロビーに設置されたチラシ用のラックも、下半分には何も入ってゐない。これから秋に向けて、様 . . . 本文を読む
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GoToトラベル、10月から東京も追加へ政府関係者「紅葉には十分間に合う」

2020-09-10 21:00:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/politics/mainichi-20200910k0000m010238000c?fm=d感染者數に「歯止めが掛かってゐる」からってさ、すぐにさういふ動きに出るのって、シロウト目にはだうよ? って思ふわ。オジサンたちがウラでどんな取り引き🕶してんの . . . 本文を読む
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季節は巡り戻る。

2020-09-09 22:45:00 | 浮世見聞記
陽は熱けれど、風の湿り気も弱まり、夏は着實に終はりへ向ひつつあることを實感す。窓から眺める町の景色にも、盛夏に見る気怠(げだる)ひ空気から、つぎの季節に移りつつある澄んだ空気を見る。私は籠城生活を始めたばかりの四月下旬の景色と、それがよく似てゐることに気が付く。時間は進んでゐるはずなのに──?人災病菌狎れした尻輕どもの“お仲間”に堕ちない用心はもちろんそのままに、時節 . . . 本文を読む
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浮世雲を聴く。

2020-09-08 21:30:00 | 浮世見聞記
午前中の空に、文字のやうにも、模様のやうにも映る雲を見る。これが古への人々ならば、おそらくは何かを讀み取ったことだらう。昼過ぎには、かなたに見ゆる富士山が、山容そのままにすっぽりと雲に覆はれた様を見る。霊峰のそれはなにを言はんとしてゐるのか、俗人の哀しさでその聲が聞こえぬ。先の見えぬ現今で、遠くの景色はよく見ゆる面白さは、つまり──……さう、さういふことなのだ。 . . . 本文を読む
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心の防災袋。

2020-09-07 23:00:00 | 浮世見聞記
台風十号が九州を通過した後も、日中の東京圏は相変はらず晴天と雨天が交互し、まったく落ち着きなし。さりながら、夕方の晴れ間を狙って外出す。まだまだ夏の續きなる日々なれど、手猿樂師として秋から先を見据へた“心の準備”に取りかかる。この頃は支那發人災病菌の感染者數が減少傾向にあるやうだが、しかしそれが再び人前で手猿樂を舞へる契機となるものではない。為政者の定めた防菌對策が何ら“護符”にも . . . 本文を読む
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空の顔色(きげん)を窺ひ日を暮らす。

2020-09-06 18:52:00 | 浮世見聞記
雨が降るやうな、降らないやうな、はっきりしない天氣に引きずられ、すっきりしない氣分のまま日が暮れる。ザッと雨が降り出したかと思へばすぐに陽が射し込み、そのくせ遠雷が唸って外出する氣分を牽制する。台風十号の影響によるものだから仕方がないにしても、どっちつかずはヒトの場合も含めて、御免蒙りたい。だが、相手は自然現象。お引き取りいただくまで、こちらが待つほかない。それから動ひても、まだ支障はないゆゑ…… . . . 本文を読む
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横浜でヨコハマ探し。

2020-09-05 21:06:00 | 浮世見聞記
息抜きのつもりで、昼過ぎから横浜へ出かける。「あぶない刑事」の映像を久しぶりに観て、ちょっとロケ地に行ってみようかな、といふ気持ちになったことも手傅ったのだが、現在でもまともに残ってゐるのは、もはや赤レンガ倉庫くらゐだらう。やはり、あのドラマに映ってゐるヨコハマが私のなかの横浜なのだと、帰らぬ昔日に溜息をつく。みなとみらいに移転した京浜急行本社の敷地内には、その車輌を模したボックスベンチが設けられ . . . 本文を読む
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幻惑城のお土産。

2020-09-04 19:40:00 | 浮世見聞記
新装成った小田急江ノ島線の片瀬江ノ島驛を見物す。もともと竜宮城を模した驛舎で有名だったが、このたびの新装でさらに美しい姿となる。近くで見上げると、つい手を合はせたくなるやうな、そんな神々しさを覺ゆるは私だけか……?この驛は江ノ島観光の玄関口なれど、かの島を訪ねるべきは今日でない氣を感じて、對岸より眺むるだけに留むる。そして彼方に望む白雲を、竜宮城の“お土産”と見立て、戸 . . . 本文を読む
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