九十九代目の内閣総理大臣が誕生したことを、昼下がりの外出先で知る。といふことは、記念すべき(?)“100代目”は誰になるだらう──?私の気持ちは、すでにそちらへ飛ぶ。そして昨日であったか、入閣が内定した忘政治屋が、報道屋の前で「いやいやいや……」と言ってみせるその口許が、すでに歓喜にヒクヒクしてゐたのを思ひ出してから、とんでもない事實に今さら気が付く。「つまりあの男、あ . . . 本文を読む
新宿驛より地下から地上へ上がると、雅楽の澄んだ調子(こゑ)が喧騒を縫って、私の耳に届ひた。はて……?謠曲「小督」の源仲國が、箏の音色を訪ねしごとく、私は主を辿り行く。やがて、ひとりの男性が龍笛を奏する姿を見る。主はここなり……。俗喧のなかで、雅びに逢ふ不思議さよ。街頭で津軽三味線を掻き鳴らす者は数多あれど、龍笛とはまた珍しい。これが今日いちばんの御縁。心洗はるる心地して、私はそのこゑ . . . 本文を読む