まだ青い南天の實に、早くも年末年始に思ひを馳せる。その時も今のままの無事な生活が送れてゐれば、それだけで結構だ。忘醫學者いはく、ナントカ宣言が解除されて外國人も含めたヒトの流れが活發化すると、今冬にはインフルエンザが持ち込まれて大流行する危険あり云々。また外来種か……、といささかウンザリな噺。いちばんの予防とは、はやくワクチン接種を済ませることと、手洗ひ嗽ひの徹底ださうで、なにを今さらだ。醫者も報 . . . 本文を読む
昼間の陽射しは夏で、風だけが秋。外にゐると汗ばむことに変はりなく、いまだ衣替へに踏み切れずにゐる。十月でこの陽射しはやはりおかしい。確認された疫病患者の數がまだ四ケタ台で推移はしてゐるものの、たしかに減少してゐると見て良いやうだ。今後は、マスク着用は大前提として、二度のワクチン接種を済ませた者同士の接触ならば集團感染者の恐れはなくなる云々。この理屈によれば、感染爆發の第六幕を引き起こすのは未接種者 . . . 本文を読む
その名前だけは知ってゐた目黒區碑文谷の「圓融寺」に、初めて御縁を得て訪れる。平安初期の仁壽三年(853年)に天台宗三代目の慈覺大師圓仁により「法服寺」として創建され、鎌倉時代の弘安六年(1283年)に日蓮宗「法華寺」に改められ、いらい江戸中期には近在近郷の信仰を集めて繁榮するも幕府に睨まれて取り潰しの憂き目に遭ひ、元禄十一年(1698年)に再び天台宗に改められて復興されたのち、天保五年(1834年 . . . 本文を読む
ラジオ放送で、觀世流の「松虫」を聴く。親しい友が松虫の音をよく聴きたいと道端の草むらに入ったあと亡骸となって見つかり、以来友人だった男は靈となったのちも酒と松虫に親しみながら友を慕ひ續ける──今は靈となった男の慕ふ相手が同性であるところがこの曲の特徴だが、現在で云ふところの“同性愛”は室町時代にはごく普通のものであり──廢曲の「東尋坊」もさうした愛の形を扱ってゐると聞く──、主題はもちろん、廣い意 . . . 本文を読む
臺風一過の夏日な一日。今日は何も用事をつくらないと決めて、その通りに過ごす。昼食に寿司を食べやうと割り箸を割ると、その直前にたぶんさうなるだらうと予感した通りの結果になる。食事に支障はないが、かうしたちょっとした失敗がちょっとした不快で収まらないところに、私の性格がある。夕方に散歩へ出る。この時刻になるとさすがに秋の風、もっとも心の落ち着くひととき。秋は早足。私は秋をゆっくり生きる。 . . . 本文を読む
神無月と臺風の十六號が同時にやって来る。臺風の本体は幸ひ海上を通ったやうで、東京都内は昼前から昼過ぎにかけて強雨に見舞はれた程度で済み、夕方には強い風のみとなって日没後に雲が去り、地元では星が覗く。これから毎度か“週末臺風”に出食はす季節になるのかと思ふと、神無月の初日から疲れた氣分になってしまふ。初日と云へば、今日から酒類を出す飲食店が制限付きながら營業を再開す。隣町 . . . 本文を読む