夏に繁茂して長らく視界を遮ってゐた堤道の草がやうやく刈り取られ、おかげで道幅も擴がり歩きやすくなる。秋口に地元民とおぼしき方が一部を刈ってゐる姿を見かけ、後ろを通りながら目礼したものだが、間もなく再び生え茂り、植物の貪欲な生命力には舌を巻いたものだった。行政が私たちの納めた税金で行なった草刈り、當然と云へば當然だが、「ありがたう」くらゐは思ふ。作業をしたのは「人」なのだから。空氣はすっかり入れ替は . . . 本文を読む
都内の地下鐵驛で見かけたポスター。マスクの下でつひ、けっけっけ、と笑ふ。働く人たちの悲哀がそこはかとなく漂ふかういふキャッチ、白々しい標語などより私はよっぽど好き。けっけっけ。 . . . 本文を読む
ラジオ放送で、喜多流の「小督」を聴く。平清盛を恐れて嵯峨野の賤屋に逃避した高倉天皇寵愛の小督の局のもとへ、天皇の御書を携へた源仲國が八月十五夜に琴の音を頼りに訪ねて来る──「小督」は忘流で二度観ており、一度目はシテの仲國が若い二枚目だったため、むしろ仲國と小督とが戀仲と錯覺しさうになり、それはそれで面白かった。一年ほど経た二度目の時は、シテは仲國の實年齢に近い年配の演者であったが、勅使からの宣旨を . . . 本文を読む
今朝、季節はずれの櫻に會ふ。十月に入っても夏日が續いたので花が季節を勘違ひしたのか、或ひはもともと秋に花を咲かせるヒマラヤ産の植物だった先祖の昔に返ったものか……?日本にも、はじめから秋に花をつける品種があるさうなので、私が今日に逢ったのはそれかもしれない。恐ろしいことではあるが、地球変異の前兆と云はれたはうが、いまの私には最も納得出来るかもしれない……。 . . . 本文を読む
今月末に衆院選の投票があることを、今日に掲示板を見て初めて知る。道理で!今日に至るまで一度も本人の姿を見たことがない地元選出と云ふ政治屋の、その手下どもが、先日に我が町内の驛前で紙っペラを撒ひてゐたのだな……。 . . . 本文を読む
全國で確認された感染者數が、十月三日以降三ケタで推移し、東京都のそれは十月二日以降ニケタが續ひてゐる、ことになってゐる。大阪府だけが相変はらず三ケタが續ひてゐるが、全國的に見ると日々で微増減があるくらゐで、決定的な減少傾向にあるとは云へなくなってゐる。これが學者たちが云ふところの、「下げ止まり」なのだらう。つまり、終熄の兆しは無いと云ふことだ。隣町にあるやうやく再開した居酒屋の店先に並んだテーブル . . . 本文を読む
今日は「鐵道の日」とのことゆゑ、これまでに東急線内で偶然に撮らえた二景を見せびらかさばやと、存じ候。池上線の五反田驛にて。地方鐵道へだいぶ賣り飛ばされて、いまやすっかり少數派となってしまった赤帯1000系。その赤帯同士が並ぶ光景を目にしたのはこの時が初めてだったので、發車しないうちにと急いで撮ったもの。池上線、または“目蒲線”を利用するときには、同形1500番臺と同じく待ってでも乗りたい、登場時か . . . 本文を読む
我が町は朝から小雨模様ゆゑ部屋で過ごすことに決めて、読みかけたままになってゐる本に手を伸ばしたり、途中回からで筋がよくわからない韓流ドラマを眺めたり──それでもなかなか面白い──、永遠の未完成となりさうな戯作に何度目だか忘れた手直しを加へたりしてゐるうちに、昼過ぎとなりぬ。空は相変はらず重い色をしてゐるが、まう雨の降る様子は見られぬゆゑ、散歩に出ることにする。秋は黄色の植物がよく映えるやうで、キバ . . . 本文を読む
先日、ラジオ番組「ひるのいこい」に投稿されたお便りで、“仕事が休みの日は遠くの街へ遊びに行ってゐたが、この人災疫病禍でそれが出来なくなった代はりに最寄り驛までの散歩を始めたところ、100kgほどあった体重が80kgまで減ったので、元に戻らないやう心掛けたい”、と。素晴らしい心掛けである!歩くことは、もっとも簡便な痩身術だ。元来、私は歩くことが大好きだ。古道探訪と云ふ樂 . . . 本文を読む
カレンダーでは今日は祝日となってゐるが、茶番大運動會云々のため、實は平日に変更されてゐる。このやうな印刷の混乱ぶりを見てさへも、いかに無能無計画な愚劇であったかが解らうと云ふものだ。時世とは全く無関係な、運動競技屋のごく個人的な名誉のため──實際、なにやら欣喜雀躍する彼らの姿に、國難下における強行と云ふ異常事態についての責任感や使命感と云ったものはまるで感じられない──、あらゆる事柄が振り回された . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20211010-567-OYT1T50069?fm=d13:00頃に埼玉縣蕨市の変電所で火災──はじめの計画では今日も午後にかけて外出の予定があったが、最近は長時間の外出が續ひてゐるのでそれを數日前倒して済ませ、今日の午後は我が城でゆっくり映画DVDを観て過ごさう── . . . 本文を読む
「翁」の“どうどうだらり……”の如く、古人の代にして既に意味が通じなくなってゐる古文古語はいくつもあるやうで、今日ラジオ放送された寶生流「女郎花」の主題“女郎花のくねる”も然り。通ひ婚の時代、男の足が遠のひたことを嘆ひた女は川に身を投げて命を絶ち、女を葬った跡に生えた女郎花が自分を避ける様を見た男は嘆きのあまり同じく川へ身を投げる──かくの如く、相手を信じたいがゆゑの究極の選択が、“女郎花のくねる . . . 本文を読む
橫濱そごうで初開催の鐵道イベント「ヨコハマ トレイン パラダイス」を覗く。中身は参加鐵道會社によるお子サマ向けなグッズ販賣が中心で、いづれもなかなかいいお値段、かういふのは全く私の好みにあらず。會場の両隅に申し訳程度な旧型車輌の部品展示、また驛辯販賣があったが、感染症對策で空間を廣く取ったぶん空虚な感じが漂ひ、一巡してすぐ出る。それでも入口そばに展示された懐かしい東急7000形の模型 . . . 本文を読む
神奈川縣が企画した「バーチャル開放区」に参加するため、先月ニ十九日に動画撮影した現代手猿樂「すゑひろかり」が、開催事務局の考査を経て、十月七日付で公開される。https://kaihouku.pref.kanagawa.jp/blogshuffle私などは元来が文明の利器に疎い人種ゆゑ、應募にあたっては事務局の手を煩はせる場面もあり、何事も實際にやってみなければ覺えられないものだと痛 . . . 本文を読む
22:41、突き上げるやうな揺れが始まった直後に城全体がガタガタと鳴る強い揺れに見舞はれ、やや遅れてスマホが緊急警報を鳴らすなか、佛前の水がこぼれ、また押し入れに積み上げた本の山が一部崩れ落ちる。震源は房州の北西部、東京圏の震度は5+-云々。夜更けに大地がしかけてきた奇襲に、久しぶりに怖い思ひをする。 . . . 本文を読む