「久しぶり」というのは、これまでにも何回かヨーロッパには行ったことがあり、そのたびにフランクフルトやデュッセルドルフやハンブルグなど、大きな街には立ち寄ったり、泊まったりしているのですが、ひとつの街にゆっくりと腰をすえて滞在し、「ああ、これがドイツなんだ」、と味わえたのは久しぶりのこと、ということです。
私が、初めてヨーロッパに行ったのは、今から丁度30年前のことです。
フランスから夜行列車に乗ってドイツへ。ミュンヘンに到着したのは早朝のことでした。列車を降り立って最初に目にしたのが、ミュンヘンの旧市街(マリオン広場)の光景でした。
突然、広場の古い時計台からオルゴールの音が流れ出し、人形たちがゆっくりとリズムに合わせて踊り出したのです。ヨーロッパの古い都市によくあるからくり人形の時計だったのですが、初めてそれを見た時、「ああ、いよいよヨーロッパにきたんだ」という感慨で涙がこみ上げてきたのを覚えています。
知識としては知っていたヨーロッパが、実感をともなって迫ってきた瞬間でした。その時も、ミュンヘンの家庭に数日間泊めてもらいましたが、その最初のミュンヘン経験が、私がその後、ドイツやドイツ人さらにはヨーロッパを考える時の原風景になっているような気がします。
今回、思いがけず30年ぶりにドイツでホームスティする機会に恵まれ、私は、ますますドイツびいきになって帰って来ました。 日本人にはあまり人気のないドイツ料理の、ザワークラウトやポテトやソーセージも気に入っています。
観光ガイドブックにも出ていないドイツの小さな街「クレーフェルト」で、等身大で見たり感じたりしてきた「ドイツ」について、レポートしてみたいと思います。(写真上は、クレーフェルト市の旧市街の教会下は、年代物のクレーフェルトの駅舎です。)
ではまた明日。