花の数が減って、その分、赤や黄色や青や黒色の「実」が目立つ季節になりました。
庭掃除をしていたら、赤い実と目があいました。サネカズラ(ビナンカズラ)の赤い実です。採って花器に活けようとしましたが、つるばかり長くて、花器にはさせないので、掛け花に活けました。
赤い実のさきに、長い長いつるが伸びています。
さねかずら 後も逢わむと夢のみに 誓ひわたりて 年は経につつ(万葉集 巻11)
山高み 谷へに延へる たまかずら 絶ゆるときなく 見むよしもがな (万葉集 巻11)
ここにみられる かずら はつる草の総省で、さねかずらは びなんかずらともいわれます。
これらの歌は、このかずらのつるが伸びていって後に出会うさま、つるの絶えることなく伸びていくさまを「思い」に託したものです。出会いは当然 恋のそれですから「さね」に「さ寝」のひびきを感じ取ったことも必然でしょう。(中西 進・万葉の花)
赤い実にばかり気をとられて、「つる」の行方など気にも止めなかった私の感性とはちがって、花のさきに伸びていく「つる」を目ざとく見つけて、恋人との対面をイメージとしてとらえて言葉にかえた古代人のものの見方、感性の豊かさに、感じ入るばかりです。
クリスマス オーナメントに サネカズラ