孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ミャンマー  軍事クーデターから4年 中国と接近する軍政は総選挙強行の構え 国民には無力感も

2025-02-01 22:53:18 | ミャンマー
(25日、ヤンゴンで開かれた新春祝賀イベントで踊りを披露する人たち。
****ミャンマー指導者、中国の支援に謝意****
ミャンマーの指導者ミンアウンフライン氏は25日、中国は近代化を実現させ、「一帯一路」共同建設構想を通じてミャンマーを含む世界各国にも幸福をもたらしたと述べ、ミャンマーの平和と安定、発展に対する確固たる支援に感謝を表明した。【1月28日 新華社】
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新春祝賀イベントではミンアウンフライン司令官と、駐ミャンマー中国大使が連れだって視察する様子も。軍政と中国の接近ぶりがうかがえます)

【人道状況のさらなる悪化】
国軍と少数民族武装勢力及び民主派勢力との戦闘が続くミャンマーでは、軍によるクーデターから4年が経過しました。

****ミャンマー クーデターから4年 人道状況のさらなる悪化 懸念****
ミャンマーで軍がクーデターを起こしてから2月1日で4年となります。

実権を握る軍と民主派勢力などとの戦闘が長期化するなか、国内避難民の数はことし450万人以上に達すると予測されていて、人道状況のさらなる悪化が懸念されています。

ミャンマーでは、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLD=国民民主連盟が圧勝した2020年の総選挙で不正があったとして、軍がクーデターを起こしてから1日で4年となります。

クーデター以降、実権を握る軍と、民主派勢力や連携する少数民族の武装勢力との間では、国境地帯を中心に依然、激しい戦闘が続いていて、現地の人権団体によりますと、軍の攻撃や弾圧による犠牲者は、31日までに6000人以上に上っています。

一方、戦闘が長期化するなか、多くの人が住み慣れたふるさとを追われ避難生活を余儀なくされていて、国連は、ことし国内避難民の数が去年よりもおよそ3割増えて450万人以上に達するという予測を明らかにしています。

現地では、食料や医薬品の不足も深刻化していて、国際NGOなどによる支援活動も行われていますが、戦闘の影響で避難民キャンプなどには支援が十分に行き渡らず、人道状況のさらなる悪化が懸念されています。【2月1日 NHK】
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戦況は国軍が少数民族武装勢力の押されており、劣勢の地上戦をカバーするために空爆を強め、住民に犠牲者が増えています。

“バングラデシュとの国境付近にあるラカイン州アンでは昨年12月、少数民族ラカイン族の武装勢力アラカン軍(AA)が国軍司令部を陥落させた。ミャンマーの司令部陥落は2例目。英BBCによると、国軍は空爆で抵抗したものの、現地司令官らが拘束され、州都シットウェ以外の州内はAAに掌握されそうだ。”【1月30日 産経】

内戦のために国民生活も逼迫しています。

****発電量激減で停電が常態化****
21年2月1日のクーデターでは、与党、国民民主連盟(NLD)の指導者アウンサンスーチー氏らが拘束された。NLDの議員らは民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」を発足させ、NUGは武装勢力と連携して軍政への抵抗運動を続けている。

欧米諸国などはクーデターを非難し、スーチー氏ら民主派の解放を訴えると共にミャンマーへの制裁を強めている。日本も国際機関などを経由した人道支援を除き新規の政府開発援助(ODA)を停止した。

ただ、民主政治への回復の兆しはなく、ミャンマーが加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)は、隣国の中国とインドの関与で事態打開の糸口を探っている。

中国は軍政と関係を緊密化させており、総選挙の実施を支援するとしている。しかし、NUGは軍政主導の総選挙を断固として拒否。NLDは解党に追い込まれ、排除されている。

内戦の国民生活への影響は大きい。国営紙の今月17日の報道によると、主要送電線14本が破壊されるなどし、発電量が激減。電力供給量は、最大都市ヤンゴンで48%、首都ネピドーで35%となった。各地では停電が常態化している。【1月30日 産経】
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【中国仲介の一部停戦合意の発表はあったものの実効性は不明】
上記記事にもあるように中国は軍政との関係を深めており、一方でかねてより少数民族武装勢力の一部とも強いつながりがあります。

その中国の仲介で少数民族武装勢力の一つと停戦が合意されたと中国は発表していますが、(以前も似たような話はあったものの、戦闘は継続したというように)その実効性は不明です。
中国にとってミャンマーは一帯一路や事業展開にとって重要な地域で、国内安定を望んでいると言われています。

****“ミャンマー軍と武装勢力の1つが停戦合意” 中国外務省****
中国外務省は、ミャンマーで実権を握る軍と、対立する少数民族の武装勢力の1つが、中国の仲介で停戦合意に達したと発表しました。ただ、ミャンマー軍とほかの武装勢力との間の戦闘は激しさを増していて、情勢の安定につながるかは不透明です。

中国外務省の報道官は20日の記者会見で、4年前のクーデター以降、実権を握るミャンマー軍が、中国の仲介で少数民族のコーカン族の武装勢力と停戦合意に達したと発表しました。

この武装勢力は2023年10月以降、ほかの複数の武装勢力とともに軍への攻勢を強めていて、ミャンマーに原油などのパイプラインを敷く中国は、エネルギー輸送の重要ルートの1つと位置づけ、停戦の仲介を続けてきました。

2024年1月には、コーカン族の勢力を含む3つの武装勢力がミャンマー軍と停戦合意に達したと中国外務省が発表しましたが、その後戦闘は再開されました。

2月1日でクーデターから4年となりますが、1月もミャンマー軍が西部で空爆を行い、市民およそ40人が死亡したと報じられるなど戦闘による犠牲者が後をたたず、ASEAN=東南アジア諸国連合は近く特使を派遣し、暴力の即時停止を求めることにしています。

ミャンマー軍と少数民族の武装勢力などとの間で戦闘が激化するなか、今回の停戦合意が情勢の安定につながるかは不透明です。【1月20日 NHK】
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コーカン族は中国から移住した漢族で、中国雲南省に隣接する地域に暮らしています。そうした事情もあって中国と密接な関係があります。

【総選挙を強行する方針の軍政 非常事態宣言の7度目の延長 国民には無力感も】
軍政は政権の正統性をアピールするため総選挙を年内に行うと主張しています。。

****ミャンマー総選挙実施見通せず 内戦激化、国軍は中国接近模索 クーデターから2月で4年****
(中略)
国民の海外脱出で人口減
一方、軍政は昨年12月末、10月に行った国勢調査の暫定結果を発表した。9月30日時点の人口は5131万6756人で、10年前の国勢調査結果より約20万人減少した。結果は有権者名簿の資料となる。

人口の減少は、内戦状態による混乱で国民の外国への脱出が続いていることを示す。しかも、一部の調査結果は「重大な治安上の課題」を理由に推計となった。約1910万人分は、外国民間プロバイダーから高解像度の衛星画像を入手して分析し、実際はさらに少ないとの指摘もある。

軍政トップのミンアウンフライン総司令官は、今月4日の独立記念日に、総選挙を実施する方針を改めて強調した。年内の投票の可能性が報道されているが、最近は来年にずれ込むとの見方も伝えられており、時期は不明のままだ。
【1月30日 産経】
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1月31日に期限切れとなった非常事態宣言は7度目の延長となっています。

****ミャンマー軍事政権、非常事態宣言を延長 「総選挙の準備」****
ミャンマー軍事政権は非常事態宣言をさらに6カ月間延長した。国営メディアが31日報じた。

ノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチー氏率いる民主政府を国軍が転覆させたクーデターから2月1日で4年が経過する。

軍事政権は年内の総選挙を計画しているが、反対派は国軍が権力を維持するための見せかけの選挙だと非難している。

国営メディアのMRTVは通信アプリ「テレグラム」で「総選挙を成功させるために、まだ対応すべき課題が残っている。特に自由で公正な選挙のためには、安定と平和が必要だ」とし、非常事態宣言の延長を発表した。

選挙の日程は未定。国内は内戦状態にあり、経済は疲弊。多くの政党が選挙への参加を禁止されたり、参加を拒否したりしているが、軍事政権は総選挙を行う方針だ。

反対派は国民の意思に反して行われる選挙だとして、投票の妨害を計画。海外諸国に選挙結果を認めないよう呼びかけている。【1月31日 ロイター】
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まともに選挙を行えばたアウンサンスーチー氏率いる政党が圧勝するのは確実ですが、その政党を排除して行う総選挙ですから、軍政のためのみせかけの選挙です。

ただ、長引く軍政のもとで、国民の抗う力も弱っているのが現実です。

****ミャンマー政変4年、市民無力感 抗議の投稿ほぼ確認されず****
ミャンマー国軍による2021年のクーデターから、1日で4年が経過した。

民主派団体は昨年、軍事政権に抗議の意思を示すために外出や社会活動を停止する「沈黙のスト」を呼びかけたが、今年はネット上で関連投稿がほとんど確認されなかった。団体メンバーは「市民は無力感を募らせており、安全にも配慮した」と説明した。

クーデターではアウンサンスーチー氏の民主政府が転覆。内戦状態が続き、混乱は長期化している。ヤンゴンに住む女性は「長時間の停電や徴兵の恐怖で、抗議どころではない。抵抗の意思を示すより、どうやったら国から出られるかを必死で考えている」と語った。ネット規制も強化されている。【2月1日 共同】
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【兵員補充に躍起になる国軍 少年兵も】
一方、国軍の方も、国民の国外脱出、軍からの兵士の脱走・投降などで、兵員を確保するのに躍起になっています。

****ミャンマー軍事クーデターからきょうで4年「未成年でも関係なく徴兵」 “深刻な人権侵害”懸念****
ミャンマーの軍事クーデターからきょうで4年。内戦が続くなか、軍事政権は未成年の子どもたちまで徴兵していて、深刻な人権侵害が懸念されています。(中略)

JNNは先月、北東部シャン州での戦闘中に撮影されたある映像を入手しました。民主派側の捕虜になったのは、14歳の少年。

「(Q.武器を扱うことができるか)はい、使えます」

少年は、軍事政権の傘下組織の一員として、武器を持って戦っていたといいます。

長らく軍事政権による支配が続いたミャンマーでは多くの子どもたちが少年兵となり、国際人権団体は2002年、ミャンマーを「世界で最も少年兵が多い国」と指摘しました。

2011年の民政移管後は、少年兵らは段階的に解放されてきたものの、4年前の軍事クーデターで、状況は再び深刻化しています。

私たちは、16歳でミャンマー軍に入隊し、クーデターの翌年に脱走した元少年兵の男性に話を聞きました。

ミャンマー軍の元少年兵 ハイン・ソー・ウーさん(22)
「クーデター後は、入隊希望者が減り、軍は未成年でも関係なく徴兵していました」

男性は高校生のころ、駅で無賃乗車を理由に当局から拘束され、「逮捕されるか軍に入るかを選べ」と脅されました。軍の訓練施設には、14歳の少年兵など、多くの子どもたちがいたと証言します

ミャンマー軍の元少年兵 ハイン・ソー・ウーさん(22)
「軍に徴兵されたせいで、私は教育を受けられず、自由をすべて失いました」

クーデター以降、内戦の長期化と抵抗勢力の攻勢により、ミャンマー軍は3万人以上の兵士を失ったとされています。

兵力を補うため、去年から徴兵制を導入し、18歳以上の男女を対象としましたが、国を出る若者が後を絶たず、本来、対象ではないはずの子どもたちが次々に徴兵されているとみられます。

ミャンマー軍の元兵士
「子供の生年月日を偽り、身分証明書などを偽造して登録している。たばこの吸い方を教えたり、酒を飲ませたりして、より大人らしく見えるようにもしている」

ミャンマー情勢に関する世界の関心が薄れるなか、軍事政権下で繰り返されている“子どもたちの人権侵害”も国際社会が目を向けなければならない深刻な問題です。【2月1日 TBS NEWS DIG】
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