(【1月29日 FNNプライムオンライン】)
【夜間外出・入国規制が強化されたフランス “フランスらしい”抵抗・反発も】
フランスの新型コロナ感染状況は、1月30日時点で感染者累計317万人、死者は7万5千人と厳しい状況にありますが、一時期は1日あたり6万人ほどにも達した新規感染者は現在は2万人前後と、少なくはなっています。(日本に比べるとはるかに高いレベルですが)
また、感染力が強い変異型ウイルスへの不安も高まっています。
こうした状況を受けて、全土で夜間外出制限が行われています。
****フランス全土で夜間外出制限強化=「ウイルス、活発に拡大」―新型コロナ****
フランスのカステックス首相は14日、記者会見し、新型コロナウイルス感染防止対策として全土で実施している夜間外出禁止令について、16日以降、開始時間を現行の午後8時から同6時に繰り上げると発表した。同様の措置は既に一部地域で行われていたが、今回の規制強化でパリも対象となった。
カステックス氏は「ウイルスは活発に拡大している」と強調。夜間外出禁止令の強化は「少なくとも約2週間」継続すると述べた。また、感染状況が深刻化した場合、再度ロックダウン(都市封鎖)に踏み切ると明らかにした。
スーパーマーケットを含む全商店は午後6時に閉店となり、飲食店は夜間は宅配のみ営業可能。一方、休校措置は取らない。【1月15日 時事】
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フランス政府は29日、新型コロナウイルス感染抑制に向け3回目となるロックダウン(都市封鎖)は行わないと決定、代わりに入国管理と抑制措置違反の取り締まりを厳格化して対応することとしています。
****フランス、EU域外からの入国禁止 感染歯止めかからず****
フランスのカステックス首相は29日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることを目的に、欧州連合(EU)域外からの入国を31日から原則として禁じると発表した。
フランスでは連日2万人超の新規感染者を記録。英国などで猛威を振るう感染力の強い変異ウイルスも連日2千件以上確認され、拡大を続けている。
カステックス氏は、今月から全土で導入している午後6時からの外出禁止令について、「効果はあったが不十分だ」と指摘。入国を厳しく規制するとともに、夜間の外出禁止を守らない市民への検挙を強化すると明らかにした。
フランスに入国できるのは「絶対的な理由」がある場合に限られるとしたが、具体例には触れなかった。
昨年春と秋に課した24時間の外出禁止令については、「あらゆる面で影響が重大だ。避けられるチャンスがまだ残されている」として見送った。
フランスは今月から、全世界からの入国者に新型コロナ検査の陰性証明の提示を義務づけ、EU域外から入国した場合は1週間の自主隔離を求めている。【1月30日 朝日】
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フランスの場合、日本とは異なり自己主張が強く、政府の言うことを素直にきくような国民性ではない・・・というイメージがありますが、新型コロナに関しては、これまでのところ、そうした国民性にもかかわらず比較的従順にマスク着用や外出制限に従っているようにも見えます。それだけコロナへの不安が強いということでもあるのでしょう。
ただ、これだけ規制が続くと、やはり綻びや反発・不満も出てきます。
****仏、年末年始に外出禁止令で600人以上拘束 警官13万人動員****
フランスのダルマナン内相は1日、12月31日から元旦にかけて新型コロナウイルス対策の夜間外出禁止令に違反したとして、全国で662人を身柄拘束したと発表した。
政府は31日の夜から禁止令徹底のため、警察官約13万人を動員。西部レンヌでは、約2500人が集まった違法パーティが摘発された。現在は感染対策で午後8時から午前6時までの外出は禁じられ、室内の集まりは「6人まで」と定められている。
フランスで新年は、パーティを開いて祝うのが習わし。毎年、パリのシャンゼリゼ通りは祝杯をあげる人でにぎわうが、内相は「パリで禁止令は、おおむね守られていた」と述べた。(後略)【1月2日 産経】
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****警察署で歌って踊る送別会、コロナ対策を公然と無視か フランス****
フランスで新型コロナウイルス対策のソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を公然と無視するかのように踊る警察官らの動画が流出したことを受けて、当局が28日、捜査を開始した。
ニュースサイト「ループサイダー」に流出した映像には、パリ北郊オーベルビリエの警察署で今月22日、同僚の送別会に参加する警察官が映っていた。
レクリエーション室と見られる場所で、少なくとも12人がマスクなしで、ソーシャル・ディスタンシングも守らずに歌ったり、踊ったりしていた。(後略)【1月29日 AFP】
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****仏ニースの料理店、コロナ規制に抵抗し100人招いて昼食会 一時拘束****
地中海に面した南仏ニースのレストラン経営者が、新型コロナウイルス対策で政府がカフェや料理店に出している閉鎖命令に背き、約100人の客を招いてランチ営業をしたとして28日、警察に拘束された。
フランスでは新規感染者数の急増を受けて、10月30日から飲食店に閉鎖命令が出ている。だが、クリストフ・ウィルソン氏は27日、経営するレストラン「ポピーズ」を開店。集まった約100人はマスクを取り、テラスに陣取ったバンドの演奏を聞きながらプロバンスシチューなどの料理を楽しんだ。
ウィルソン氏は集まった報道陣に対し、大手スーパーチェーンがほぼ通常通りに営業している点に触れ、「カルフールやプリマなどの多国籍企業(の店舗)に多くの人が集まっているのを見たら、もう(営業禁止は)受け入れられない」と訴えた。「私は従業員に給与を支払い、家族を養い、客を歓迎しなければならない」(中略)
政府は、集会による感染拡大を阻止するため、少なくとも2月中旬までは飲食店の営業禁止を継続する方針を示している。だが、仏東部で活動するシェフのステファン・チュリヨン氏は、2月1日に一斉に店を開くよう全国のレストランに呼び掛けており、すでにシェフ数人や一般の数千人が賛同を表明している。【1月29日 AFP】
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まあ、こういう話の方が「フランスらしい」とも思えますが・・・
【ワクチン接種に懐疑的 ただ、ここにきて接種希望者が増加】
そのフランスでも、他の欧州諸国同様にワクチン接種は始まっていますが、そのペースは遅いことが報じられています。
****欧州で接種ペースに格差 進む英、遅れる仏 コロナワクチン****
(中略)一方、EUでは今月6日、米バイオ企業モデルナのワクチン販売が許可された。ファイザーのワクチンに続き2件目となるが、フランスではドイツなどに比べ「接種ペースが遅すぎる」との批判が出ている。
フランスは昨年12月27日、他のEU諸国とともに、ワクチン接種を開始した。第1段階は、対象を高齢者施設の入所者と職員に限定した。
ベラン保健相は7日、「これまでの5日間で4万5千人に接種した」と述べたが、接種を受けた人はドイツで37万人、イタリアは30万人を超え、大きな差がある。施設ごとのワクチン配分で混乱があったうえ、接種対象者への説明に時間がかかったためとみられている。
フランス政府は新たな接種計画を発表し、今月末までに100万人の接種を目指すため、接種対象を50歳以上の医療関係者や訪問介護員に拡大する方針を示した。【1月8日 産経】
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フランスで他国よりワクチン接種が遅れている背景には、運用上の問題のほか、ワクチン接種を不安視して抵抗感を持つ国民が少なくないことも指摘されています。
****仏、ワクチン接種進まず 政府の慎重姿勢に批判****
新型コロナウイルスのワクチン接種が始まっているフランスで、そのペースが遅いとして、研究者らや野党から政府を批判する声が上がっている。ワクチン接種に懐疑的な国民が多いことも、遅れの一因となっている。(中略)
世論調査会社イプソスが世界経済フォーラムと共に行った世論調査では、ワクチン接種を希望するフランス国民の割合はわずか40%で、英国(77%)や米国(69%)などの他の先進国に比べて著しく低いことが明らかになっている。(後略)【12月31日 AFP】
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そういう事情もあって、フランスのワクチン接種の遅れはますますひどくなっています。
****各国のワクチン接種率 最高はイスラエルの30% フランスは1.8%にとどまる****
いよいよ日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が2月下旬にも始まる予定。 世界各国のワクチン接種回数を見てみると、ファイザー社やモデルナ社のお膝元、アメリカでは2,169万回。 また、世界で最初に接種が始まったイギリスでも700万回を超えている。
これが「接種率」となると、世界で最も高いのはイスラエルで30%。 これに対してアメリカはおよそ6%、イギリスも11.1%と低く、当初の想定より接種のペースが遅れている。
そして、今回FNNが取材したフランスは接種回数が124万回余り、接種率は1.8%にとどまっている。【1月29日 FNNプライムオンライン】
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もっとも、ワクチンに懐疑的だったフランスでも、ここのところワクチン接種に肯定的な声が増えているとか。
“ワクチン嫌い”だったフランス人 ワクチン「希望」なぜ増えた?”【1月29日 1月29日 FNNプライムオンライン】
TV放映内容を要約すると、ワクチン接種開始前は、「接種を希望する42%、希望しない58%」だったのが、接種開始2週間後には「接種を希望する56%、希望しない43%」と逆転したとか。
身近で実際に始まって不安感が薄れたのと、変異ウイルスという新たな脅威の前で不安がってはいられないという事情もあってのことのようです。
現在は接種者は100万人を越え、フランス政府は8月末までには7000万人を目指すとか。(フランスの人口は6900万人。2回目接種もカウントして・・・ということでしょうか)
【ワクチン接種懐疑論が世界的に後退するなかで、日本は依然として・・・】
ワクチンへの懐疑的な見方が減少して、より積極的になっているのはフランスだけではなく世界的傾向のようですが、そうした中で、日本だけが懐疑論が根強く、政府・専門家は「出口」を示すことなく、ひたすら自粛を国民に強要し、国民もこれを受け入れる不思議な状況が続いています。
****ワクチン懐疑論、世界で後退=接種希望急増、日本は停滞―国際調査・新型コロナ***
新型コロナウイルスワクチンに対する懐疑論が、世界的に大きく後退している。英調査会社イプソス・モリが主要15カ国で実施した国際比較調査によると、すべての国で昨年12月から今年1月にかけて接種希望者が増加した。ただ、日本は調査対象の中では強く希望する人の割合が最も低かった。
コロナワクチンをめぐっては、各地で接種が始まる中、争奪戦の様相を呈している。同社は「人々の当初のためらいは、すぐに接種したいという姿勢に急速に変化している」と指摘した。
調査は日米中など15カ国で16〜74歳の約1万3000人を対象に、1月14〜17日に実施。「もしワクチンを接種できるなら、接種しますか」との質問に対する回答を昨年12月時点と比較した。
それによると、「ぜひしたい」と回答した人の割合はすべての国で増加。特に接種が始まったイタリア、スペイン、英国などでは20ポイント以上の大幅な伸びを記録した。
「ぜひしたい」の割合はブラジル(68%)、英国(66%)などが高かった。感染者、死者が世界最多の米国は42%。日本は17%と調査対象の中で最低で、「ややしたい」の人を合わせると64%だった。
ワクチンの副反応については、日本で62%から懸念の声が上がり、米英中独もほぼ同じ水準だった。同社は「日本人が接種を最もためらっている。これは過去の調査でも見られた傾向だ」と述べた。【1月30日 時事】
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ワクチン供給に問題が生じ、EUと製薬会社が揉めているのは周知のところ。
世界中で接種が進み、日本が「じゃ、そろそろ日本も・・・オリンピックもあるし・・・」と重い腰を上げる頃に、十分なワクチンが入手できるのか?
****日本へのワクチン供給不透明 新型コロナ、承認申請はファイザーのみ****
新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、政府は2月下旬から医療従事者に接種を始め、重症化リスクを考慮して高齢者や基礎疾患のある人らに対象を拡大していく方針だ。だが、承認手続きが先行している米製薬大手ファイザー社からの供給量や日本に届く時期の詳細は不明で、国民に円滑に行き渡らせることができるのかは見通せない。
政府は医療従事者に続き、3月下旬に高齢者、4月以降に基礎疾患のある人や高齢者施設の従事者らに接種することを想定している。「今年前半までに全国民に提供できる数量の確保を目指す」のが政府方針だが、一般の人への接種スケジュールは未定だ。
ファイザー、英アストラゼネカ、米モデルナの3社から計3億1400万回分(1億5700万人分)の供給を受ける契約をしているが、厚生労働省に承認申請したのは現段階ではファイザー社だけだ。
そのファイザー社とは、6月末までに1億2千万回分(6千万人分)の供給を受けることで基本合意していたが、契約では年内に1億4400万回分(7200万人分)に変わった。同社の増産に向けた製造工程の変更が伝えられる中、先行きは不透明といえる。【1月28日 SankeiBiz】
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「6月末まで」が「年内」に先延ばしされたというところが重要です。
1~3月に3000万回分を供給するとされているアストラゼネカは、今欧州で供給の遅れから炎上しています。日本国内生産することで安定供給を目指す方針とのことですが、供給には時間を要するのでは?
“河野太郎行政改革担当相は27日、新型コロナウイルスワクチンについて、65歳以上の高齢者への接種は早くても4月1日以降になると全国知事会などに伝達したことを明らかにした。政府は3月下旬の開始を想定していたが、ずれ込んだ格好だ。”【1月27日 共同】
大丈夫なのでしょうか?
【国民のワクチン理解に重要なメディアの報道姿勢】
国民のワクチン接種への懐疑論はメディア報道の姿勢が大きく影響します。
****ワクチン不安を煽る報道の問題****
米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が世界各地で開始されてからひと月以上経った。そのなか多くの国でワクチンへの不安を煽る報道が止まない。
もちろん、副反応の事実については透明性のある報道としっかりとした検証が必要だが、因果関係を示さず、ただ不安を煽るだけの記事には注意が必要だ。(中略)
◆メディアの役割、読者の役割
日本ではオリコンニュースが20日、新型コロナワクチンについて、女子高生100名を対象に行ったアンケート結果を発表。6割超が「受けたくない」と返答したという内容を、毎日新聞や朝日新聞、中日新聞などの全国紙や大手地方紙がこぞって転載したことに批判が集まった。
これに関しては、産婦人科医の宋美玄さんのツイート「コロナワクチンについて充分な情報提供もなしに取ったアンケートをニュースにすることに何の意味があるのか。 目先のページビューは稼げるかも知れないが、世界中で日本だけコロナを克服できない未来にしたいのだろうか」が代表するように、メディアがまず果たすべき役割はワクチンに関する正しい情報をわかりやすく伝えることではないのか、と感じた人も多かったはずだ。
メディアはセンセーショナルなタイトルで人の目を集め、早合点し拡散する読者を作り出しているのではないか。
一方でセンセーショナルなタイトルに頼るだけのメディアを作り出しているのはそういう読者でもある。良質な記事よりもデマのほうが拡散しやすいネット時代において、賢く情報を取捨選択することは、メディアを育てることにもつながることを覚えておきたい。【1月29日 NewSphere】
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接種が始まれば、必ず副反応事例は生じます。副作用のない薬など存在しません。すべてはリスクとベネフィットの比較です。
そのときセンセーショナルに煽るのか、冷静・客観的に報じるのか・・・そこらが非常に重要になります。