(インネパ【2022年7月6日 YAHOO!ニュース】)
【ネパール人 日本における外国人労働者数で第4位 「飲食サービス業」に特化が特徴】
****日本の外国人労働者は過去最多の200万人、ベトナム人が50万人超え****
厚生労働省の発表(1月26日)によると、日本における外国人労働者数(2023年10月末時点)は204万8,675人となり、過去最高を更新した。前年より22万5,950人(12.4%)増加し、伸び率も前年の5.5%から6.9ポイント上昇した。外国人を雇用する事業所数は31万8,775所(前年比6.7%増)で、同様に過去最高を更新した。
外国人労働者数を国籍別にみると、ベトナムが最も多く51万8,364人(前年比12.1%増)で、全体の4分の1を占めた。次いで、中国39万7,918人(3.1%増)、フィリピン22万6,846人(10.1%増)となった。ベトナムは2020年に中国を上回って以来、首位が続いている。技能実習生が20万9,305人と、圧倒的に多いのが特徴だ。
前年からの増加率が大きかったのは、インドネシア(12万1,507人)で56.0%増加した。次いで、ミャンマー(7万1,188人)が49.9%増加し、ネパール(14万5,587人)が23.2%増加した。インドネシアは技能実習生を中心に、建設業での伸びが顕著だった。
在留資格別にみると、前年からの増加率が大きかったのは、「専門的・技術的分野の在留資格」(59万5,904人)で24.2%増。次いで「技能実習」(41万2,501人)が20.2%増加した。一方、「特定活動」(7万1,676人)は2.3%減少した。(後略)【1月31日 JETRO】
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上記の数字を若干補足すると、国籍別でベトナム、中国、フィリピンに次ぐのが増加率3位のネパール14万5,587人。 在留資格別では、「資格外活動のうち留学」が27万人強。「資格外活動のうち留学」の34.7%が「宿泊業・飲食サービス業」となっています。【厚生労働省資料より】
全体的に増加している印象が大きいのがネパール人。
****急増ネパール人、留学生は2位に浮上 人手不足救うか?****
日本に在留するネパール人が急増している。2023年6月末時点で約15万6000人。留学生に限ると4万5000人を超え、国籍別でベトナム人を上回り中国人に次ぐ2位に浮上した。日本で就職する人も増え、介護やホテルなどの現場で人手不足を和らげる役割を担う。(後略)【1月11日 日経】
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増加率では、上記のようにインドネシア・ミャンマーの方が大きいのですが、ネパールの特徴は「宿泊業・飲食サービス業」が29.7%と際立って高いことです。他の国の場合、同割合はベトナムは10.4%、中国が14.0%。
建設業や製造業と異なり、人目につきやすい飲食業で増加していることで、ネパール人「急増」のイメージが強まっていると思われます。
【「インネパ」・・・コック招聘の手数料稼ぎビジネス化している面も 開店と呼び寄せの連鎖が拡大】
ネパール人の従事する飲食業・・・「インネパ」と称される「ネパール人経営のインドカレー店」「インド・ネパール料理店」です。
****ネパール人経営のインド料理店「インネパ店」、なぜ激増? 背景にある2つの歪曲(わいきょく)****
店舗数は有名チェーン店よりも多い
今や都市部では、1駅に2~3軒あることも普通。そう、「インネパ店」の話である。
インネパ店とは、「インド・ネパール料理店」の略で、ネパール人が手がけるインド料理店を指す。最近ではよく知られることだが、巷にある外国人経営のカジュアルなインド料理店は、実は多くがネパール人経営だったりする。
インネパ店には、共通する“テンプレート”のようなものがある。まずは、ナンとインドカレー、タンドリーチキンなどをメニューの中心に据えていること。中でも多くの店がウリにするのが、こってりまろやかなバターチキンカレーに、おかわり自由なナン。そして、チーズたっぷりのチーズナンだ。ちなみにこうした料理は北インド料理がルーツで、ネパール料理ではない
またインド料理店をうたいながら、よく見るとメニューにネパール餃子のモモがあったり、店の内外にネパール国旗やヒマラヤ山脈の写真を掲げていたりするのも、多くのインネパ店に共通する。
そんなインネパ店が近年、激増している。’22年現在、全国に少なくとも2000軒のインネパ店があり、軒数はここ15年ほどで5倍前後になっていると見られる。
街によくあるチェーン店の国内店舗数を見てみると、たとえば松屋は977店、ドトールは1069店、CoCo壱番屋は1238店(すべて’22年1月時点/日本ソフト販売による集計)だ。インネパ店の多くが個人経営で2000軒の一大チェーンというわけではないものの、今やそうした有名チェーンの店舗数をはるかに上回っていることがわかる。(後略)【2022年7月6日田嶋章博氏 YAHOO!ニュース】
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この「インネパ」拡大の背景にあると上記記事も指摘しているのが、仲介手数料をとるコックの呼び寄せ自体がビジネス化し、開店と呼び寄せの連鎖がどんどん広がっていく・・・という現象。
****「カレー屋は貧困を固定化する装置です」借金まみれで日本にやってくるネパール人労働者が搾取から抜け出せないワケ****
(中略)
家や土地を売り、足りなければ借金してまでカネを作るネパール人たち
コックが独立開業してオーナーになり、母国から新しくコックを呼び、そのコックも独立し……という暖簾分け的なシステムのもとに「インネパ」が広がっていった経緯を見てきたが、ここまで爆発的に増殖した理由はほかにもある。そのひとつが「コックのブローカー化」だ。
「外国人が会社をつくるには500万円の出資が必要じゃないですか。ネパール人にはすごく大きなお金です。家族や親戚や銀行から借りる人もいますが、中には誰かに出させる人もいるんです」
こう語るのは、自らも都内でカレー屋を営むネパール人Rさん。この500万円を何人かのネパール人に分割して支払ってもらうのだという。
「たとえば、新しい店で3人のコックを雇うとします。この人たちはネパールでスカウトしてつれてくるんです。日本で働ける、稼げると言って」 そしてビザ代や渡航費、手数料などの名目で代金を請求する。仮に1人アタマ150万円を出してもらえば計450万円で、オーナー本人の出費は50万円で済む。日本行きのチャンスと考えた人たちは、借金をしたり家や土地を売ったりしてこのお金をつくってくる……そのあたりまではまだ、健全だったかもしれない。
やがて、カレー屋ではなく人を呼ぶほうが本業になってしまう経営者も現れた。多店舗展開し、そこで働くコックをたくさん集めてきて、もはや会社設立の500万円とは関係なく、1人100万円、200万円といった代金を徴収する。(中略)
それでも海外で稼げると思った人たちは、どうにかお金を算段して志願する。彼らを呼べば呼ぶほど儲かるわけだから、誰だっていいとばかりに調理経験のない人もコックに仕立て上げた。
本来、調理の分野で「技能」の在留資格を取得するには10年以上の実務経験が必要となる。しかし一部のカレー屋オーナーは日本の入管に提出する在職証明などの書類を偽造し、新しくやってくるコックのビザを取得していたのだ。カレーとナンのつくり方なんか自分が教えればそれでOKという経営者たちが、次から次へと母国から人を呼んだ。
「日本に来て初めてナンを食べたよ」というネパール人
だから現場にはスパイスのこともよく知らなければ玉ねぎの皮も剝けないコックがあふれてしまった。「インネパ」の中にはぜんぜんおいしくない店もちらほらあるのはそのあたりに理由がある。(中略)「これはもうビザ屋であって、カレー屋ではありません」(
工場で違法就労するネパール人
また、ネパールから呼んだ人間を自分の店で働かせるならまだしも、工場に「派遣」するケースもあったと聞く。コックの分野で「技能」の在留資格を取っているなら、工場で働くのは完全に違法である。
ちなみに経営者は、自分のツテでコック志願者を集めたり、ネパール側のブローカーと協力するなどしているそうだが、親戚筋であってもお金を要求することがあるようだ。そのあたりの額は人間関係にも縁戚関係にもよるという。
「でもふしぎなものでね。近い親族だから、あの人には世話になったからって、お金を取らずに日本に呼んでるいい人もいるんだけど、私が見る限りそういう人たちはみんな成功してない。元手の軍資金がないから。借金なしで日本に来たほうも、ハングリー精神がないからなのか、あまりがんばらない。だからうまくいかない」
なにが正しいのかわからなくなってくる話なのだ。
さらに、コックたちへの搾取も目立つようになった。約束したよりもはるかに安い給料で働かせるのだ。月に8万円、9万円程度しか払わないこともあるという。経営者の子供の送り迎えとか、家事までやらされているコックもいるそうだ。
「抗議をしても、じゃあ誰がコックのビザを取ってあげたの、と。やめてもいいけど、日本のことも日本語もよくわからない、料理もロクにできないのに、借金も背負っていて行くところあるの、と」
ネパール人がネパール人を搾取する構図
こうして同国人の食い物にされているコックもいるのだとRさんは訴える。同じような境遇のコックが安いアパートで同居しているし、勤め先はレストランだから食べるものだけはあって月10万円以下の給料でもなんとか生きてはいけるが、きわめて苦しい。故郷での借金の利息もある。
それでも平均月収1万7809ネパールルピー(約1万7100円、国際労働財団による。2019年)の祖国にいるよりは、と耐え忍ぶ。
そんなコックたちも、いくらか日本の生活に慣れてくると故郷から家族を呼ぶ。妻や子供たちは「家族滞在」の在留資格を取得して日本で暮らすことになる。そしてこの「家族滞在」の場合、週に28時間までの就労が許可される。月にするとだいたい100時間、時給1000円なら10万円を稼ぐことができる。コックの夫の給料と合わせればどうにかやっていけるし、切り詰めれば故郷に送金もできる……こんな家庭が、実は日本にかなり存在する。(中略)
また社会保険に加入していない店、コックが非常に多いことも問題となっている。厚生年金や国民年金は、老後もこの国に住んでいるかどうかわからないからと加入しない。
さすがに国民健康保険は支払っている人が多いが、個々で手続きをしている。いわば個人事業主のような扱いなのだ。中には国民健康保険の存在すら知らず、あるいは知っていても加入しない人もいて、万が一のケガや病気のときに困るというのはよくある話だ。
ネパール人の貧困を固定する装置になったカレー屋
それでも耐え忍んで働き続け、数年たったある日、こんなことを通告されるコックもいるのだという。「ビザが更新できなくなったからクビ。とつぜん言われて、あとは自分で店を探せって」
代わりに経営者は違う人間をネパールからコックとして呼ぶ。もちろんお金を取って、だ。こうして定期的に人材を回転させることで、一定のお金が供給される仕組みをつくり上げたのだ。だがコックにしてはたまったもんじゃない。
「カレー屋はネパールの貧困を固定化する装置になっているんですよ」
それでも、なのだ。
こんなリスクや理不尽を負ってでも、ネパールを出たい。どんな形でもなんの仕事でもいいから、外国で稼ぎたい。そんな人たちがたくさんいる。一般的に貧しいとされる国に生まれ育ち、なおかつグローバル化とデジタル社会によって他国の生活を知ってしまった立場でないとわからない「お金」への強い渇望感が、彼らを突き動かしている。
「海外に出ないと豊かになれない」ネパール人の切実な思い
(中略)とにかく海外に出ないと、豊かになれない。ネパール人たちのそんな切実な思いが、日本のカレー屋大繁殖につながっていった。
だからブローカーの存在も一概に否定はできない。豊かさへのきっかけを与えてくれる存在でもあるからだ。はじめはコックとして搾取されながらもだんだんと要領を覚え日本になじみ、独立して成功する人も確かにいるのだ。【4月21日 文春オンライン】
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「インネパ」は決してネガティブな面だけではありません。
前出田嶋氏は・・・
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一方でインネパ店の存在は、ポジティブな面も決して少なくない。
「ネパール人による日本での就労が、経済的にも文化的にも、本国に寄与している部分は小さくないでしょう。来日してビジネスで成功するネパール人も多くいます」(著書『日本のインド・ネパール料理店』で、日本全国のインネパ店を巡ってその成り立ちをつづったインド食器販売店「アジアハンター」代表 小林氏)
「日本には、コックに敬意を払うすばらしい文化が根づいています。だから私は、ネパール人が日本でコックになること自体は、反対ではありません。ネパール人が来日後に困らないよう、ビザの審査時にせめて最低限の日本語能力と健康状態、そして受け入れ先の雇用環境をチェックしてもらいたいんです」(在日ネパール人コックの実情をつづった『厨房で見る夢』の著書があるネパール人臨床心理士ビゼイ氏)【前出“ネパール人経営のインド料理店「インネパ店」、なぜ激増? 背景にある2つの歪曲(わいきょく)”】
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【ネパールでは日本語学習ブーム】
かくして、ネパールでは・・・
****日本語学校が急増! ネパールの若者の間で「日本語」が流行る微妙な事情****
現在、ネパールでは日本語学習が大流行しています。街中では「STUDY IN JAPAN 」という看板があちこちに掲げられ、「はじめまして」と挨拶する若者によく出会うようになりました。この背景にあるのは「40万人の外国人留学生受け入れ」を掲げた日本の政策。海外に働き先を求めるネパールの若者にとって、この方針は渡りに船といえるのです。
なぜ日本へ?
ネパール人の海外出稼ぎ者の数は累計で約600万人。人口の5分の1が外国で出稼ぎをしていることになります。最大の出稼ぎ先といわれるインドは、ネパールとの国境の往来が自由であることから、この統計には含まれていません。大勢の人たちはアルバイトや卒業後の就業を目的に学生として海外に渡ります。
実際は600万人を優に超えると思われる、働く世代の国外流出が止まらない大きな原因は、ネパール国内で経済成長を後押しする産業が育っていないからです。
国内に若者向けの成長産業が少ないとはいえ、多くの人が出稼ぎ先として選んできた中東やマレーシアは、安全面や職場環境面で不安が払しょくできません。そこで、安定した出稼ぎ先や留学先を求めるネパール人が選んだ国の一つが日本。東日本大震災やコロナ禍の影響で日本への留学生が激減していたため、日本政府が呼び込みに力を入れたことが奏功したといえます。
就学中もアルバイトができ、ビザ手続きが比較的簡単といった日本の特徴は、ネパール人のニーズにぴたりと一致。将来は家族を呼び寄せられる可能性があることや、留学初期費用が150〜200万円程度と欧米に比べて安いことも大きな魅力です。取得に時間はかかりますが、30万円程度で済む特定技能ビザも社会人に人気があります。
日本語をちゃんと勉強しないと…
多くの若者が日本への留学や就職を目指すようになり、留学を仲介する日本語学校は大人気。数年前までは日本語学校が1校もなかった田舎でも、今では数百メートル以内に5〜6校がひしめきあっています。
筆者がそのうちの1校を訪問したところ、特定技能ビザにも挑戦可能な学校ということもあり、経営者でもある先生が1人で5クラス、計100人ほどの生徒に教えていました。現地の日本語学校の先生たちはほとんどが日本からの帰国者です。
日本語学校に行かずに日本語を学ぶことも可能ですが、学校には日本の学校や派遣会社とのコネクションがあります。学習目的だけでなく、日本に行く橋渡しをしてもらうために、多くの人は日本語学校に通うことを選びます。
ある日本語学校の事務員によると、生徒の望みはとにかく手っ取り早く日本に行くことで、学校の評判を上げたい先生も多くの生徒を送り出したいと思っているそうです。そのため、日本語を学び始めて数週間でも日本語学校の面接試験に参加させ、なかにはこっそり答えを教えている先生もいるとか。
結果的に、日本のことをよく知らず日本語の勉強も不十分なままで来日してしまう若者が増加。日本の文化や習慣、人間関係に戸惑ったり、思うように稼げず多額の借金をしたり、精神的に追い詰められたり、悪質な仲介業者や学校に搾取されたりという人たちが増えていくことになります。
ネパールの若者たちが日本に熱い思いを抱いてくれるのは、とてもうれしいことです。それが失望で終わらず、「憧れの国日本」が本当に住みよい場所となるために、政府だけでなく迎える私たちも真剣に考えねばならない時代が来ているようです。【2023年12月19日 GetNavi web】
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