イスラエルとガザ地区のハマス等武装勢力の間の攻撃の連鎖がこのところ一段と激しくなっています。
イスラエル軍は27日朝、ガザ南部でハマスのメンバーが乗った車を空爆し、5人を殺害。
これに対する報復としてハマスは、ガザ境界に近いイスラエルの町スデロトやその近郊に約40発のロケット弾を撃ち込み、イスラエルの男性市民1名が犠牲になりました。
ガザからのロケット弾によるイスラエル人の死亡は昨年5月以来。
イスラエル軍はその報復として、空からガザへのミサイル攻撃を繰り返し、ハマスの内務省ビルなどを空爆。
近くの住宅にいた生後半年の乳児1人を含む市民5人とハマスなどの戦闘員6人を殺害しました。
更にイスラエル軍は28日、ガザ地区を空爆。
少年4人を含む計12人のパレスチナ人が死亡したと伝えられています。
おりしも、以前イスラエルがロケット弾発射場所を狙った誤射事件に関してのニュースも入っています。
****イスラエル軍:ガザの民家砲撃、過失なしと結論****
06年11月、イスラエル軍の砲弾が民家を直撃しパレスチナ市民21人が死亡した事件で、軍当局は26日、砲弾の制御装置に不具合があったためと判断、砲兵隊の過失ではないとして法的責任は問わないと結論づけた。
軍当局は、パレスチナ武装勢力がイスラエル領に撃ち込むロケット弾の発射場所を狙ったと説明。「信ぴょう性のある具体的な情報に基づいて実行した」と述べ、砲撃の決定自体に誤りはなかったとの姿勢を強調した。【2月27日 毎日】
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来日中のオルメルト首相は武装勢力への空爆、ガザ経済封鎖による住民生活の困窮を問われ、「イスラエル国民を守る義務がある」と反論、「イスラエル側だけがロケット弾攻撃の脅威に苦しまなければならないのは道理にかなわない」と述べ、報復措置を正当化したとのこと。
一方、ガザ地区の武装勢力については、こんな報道も。
****「反占領」の大義と、報復の巻き添えになる恐怖の板挟み 攻撃拠点の住民***
パレスチナ自治区ガザ地区北部のベイトラヒヤ。
空き地の一角にパレスチナ武装勢力がイスラエル領にロケット弾を撃ち込む発射拠点がある。
ロケット弾攻撃はイスラエル軍の報復を呼ぶ。「つけ」を払わされるのは地元住民だ。
住民は「反占領」の大義と、報復の巻き添えになる恐怖の板挟みの中で暮らしている。
ベイトラヒヤで食堂を経営するアブビラルさん(26)、客が帰っても深夜まで店を開け、空き地を監視する。
武装勢力が来たら、追い払うためだ。
「イスラエル軍の報復を受けたら補償してくれるのか」。アブビラルさんの父アブシディクさん(53)は、ロケット弾に抱きついて攻撃を止めたこともあるという。
だが、アブシディクさんは「反対して『裏切り者』扱いされても困る」と胸の内を明かす。【】
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イスラエル軍によると、今年に入って、ガザから撃ち込まれたロケット弾や迫撃弾は既に800発以上。
イスラム原理主義組織イスラム聖戦メンバーは「イスラエルの『占領』が先にある。ロケット弾はその反動だ」と主張、攻撃の手を緩める様子はないとのこと。
百年河清を待つような水掛け論の繰り返し。
イスラエル、武装勢力の自己主張のかげで犠牲になるのはいつも住民たちです。
ロケット弾に抱きついて攻撃を止めようとする住民の気持ちが切ないです。
緊張しているのはガザ地区だけでなく、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラとイスラエルの関係もかなり危なくなっています。
きっかけとなったのは、ヒズボラの民兵組織指揮官の1人、イマド・ムグニエ容疑者がシリアの首都ダマスカスで12日夜、自動車爆弾による爆発で死亡した事件。
ヒズボラ側はイスラエルの攻撃による死だと非難しています。
ムグニエ容疑者はヒズボラの特殊作戦部隊の指揮官で、1992年にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで死者29人を出したイスラエル大使館爆破事件を含む数多くの攻撃に関与したとして指名手配されていました。
西側諸国の情報筋は、ムグニエ容疑者がイラン情報当局のために直接動いている可能性も疑っており、米国務省が作成した指名手配中の容疑者リストにも含まれていました。
イスラエル政府は「われわれがこのような事件に関与したとするテロ活動家の主張は受け入れられない」と異例(肯定にしろ否定にしろ、この種の事件に関する公式声明をイスラエル政府は通常ださないそうです。)の声明を発表。
なお、マコーマック米国務省報道官は「この男は各地で大量殺りくを繰り返したテロリストだ」と記者団に述べ、殺害を事実上歓迎したとか。【2月14日 時事】
イスラエル政府は否定していますが、テロ専門家の間では対外特務機関モサドによる暗殺との見方が根強いそうです。【2月15日 共同】
なお、レバノンでは親欧米の与党連合と、親シリアのヒズボラ率いる野党勢力の対立から大統領選出ができず膠着状態に陥っており、議会での大統領選挙の15回目(!)の延期が報じられています。
14日行われたムグニエ容疑者の葬儀で、ヒズボラの指導者ナスララ師は、同容疑者の殺害がイスラエルによるものだと非難し、イスラエルとの「開戦」を宣言しました。
ナスララ師は「シオニストが戦争を望むなら、望みをかなえよう」と述べるとともに、2006年のヒズボラとイスラエルとの武力衝突はまだ終わっておらず、ヒズボラは戦闘再開の準備ができているとも語っています。
一方、イスラエル軍のアシュケナジ参謀総長は、ヒズボラからの非難を受け、「事態の推移に注目しており、必要があれば適切な措置をとる」と語り、レバノンとの国境防衛のために全軍に対し警戒態勢に入るよう命令を下しました。【2月15日 AFP】
イスラエル軍はすでにレバノンとの国境付近に追加の陸軍部隊を派遣し、さらにパトリオットミサイルも新たに国境付近の都市ハイファに配備して、ヒズボラとの開戦に備え始めたそうです。
またレバノンでは親シリア・イランのヒズボラとそれに対抗するドルーズ派やスンニ派、マロン派キリスト教徒などとの間でも緊張が高まりつつあるとか。
06年のレバノン侵攻ではヒズボラをたたくことができず、ヒズボラに実質的勝利宣言を許す形になって忸怩たる思いのイスラエルとしては「やるならやろうじゃないか」といったところでは。
イスラエルとヒズボラがレバノンで衝突すれば、恐らくガザ地区でも連動してハマス等との衝突が本格化するでしょう。
先の“壁”の破壊時に、大量の武器がガザ地区に持ち込まれたとイスラエルは主張しています。
シリア、イランはどうするのでしょうか。
犠牲になる住民のことを考えると「なんとか、そういう事態にならないように・・・」と思うところですが、頭の片隅で「こういう形でしか、現状を打開することは実際のところできないんだろうな・・・」と考える自分がいて、なんとも・・・・。
それにしても、ガザ地区からロケット弾が飛んでくる、レバノンではヒズボラとの緊張が高まる・・・この現状で首相が日本くんだりを外遊中というのは、イスラエルという国も“凄い”というか、こんな事態など日常茶飯事にすぎない国のようです。
おそらくものごとの発想も、日本みたいな国とは全く異なるのでは。
それとも、“のんびり外遊”は陽動作戦で、帰国後は一気に電撃作戦でしょうか。
イスラエル軍は27日朝、ガザ南部でハマスのメンバーが乗った車を空爆し、5人を殺害。
これに対する報復としてハマスは、ガザ境界に近いイスラエルの町スデロトやその近郊に約40発のロケット弾を撃ち込み、イスラエルの男性市民1名が犠牲になりました。
ガザからのロケット弾によるイスラエル人の死亡は昨年5月以来。
イスラエル軍はその報復として、空からガザへのミサイル攻撃を繰り返し、ハマスの内務省ビルなどを空爆。
近くの住宅にいた生後半年の乳児1人を含む市民5人とハマスなどの戦闘員6人を殺害しました。
更にイスラエル軍は28日、ガザ地区を空爆。
少年4人を含む計12人のパレスチナ人が死亡したと伝えられています。
おりしも、以前イスラエルがロケット弾発射場所を狙った誤射事件に関してのニュースも入っています。
****イスラエル軍:ガザの民家砲撃、過失なしと結論****
06年11月、イスラエル軍の砲弾が民家を直撃しパレスチナ市民21人が死亡した事件で、軍当局は26日、砲弾の制御装置に不具合があったためと判断、砲兵隊の過失ではないとして法的責任は問わないと結論づけた。
軍当局は、パレスチナ武装勢力がイスラエル領に撃ち込むロケット弾の発射場所を狙ったと説明。「信ぴょう性のある具体的な情報に基づいて実行した」と述べ、砲撃の決定自体に誤りはなかったとの姿勢を強調した。【2月27日 毎日】
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来日中のオルメルト首相は武装勢力への空爆、ガザ経済封鎖による住民生活の困窮を問われ、「イスラエル国民を守る義務がある」と反論、「イスラエル側だけがロケット弾攻撃の脅威に苦しまなければならないのは道理にかなわない」と述べ、報復措置を正当化したとのこと。
一方、ガザ地区の武装勢力については、こんな報道も。
****「反占領」の大義と、報復の巻き添えになる恐怖の板挟み 攻撃拠点の住民***
パレスチナ自治区ガザ地区北部のベイトラヒヤ。
空き地の一角にパレスチナ武装勢力がイスラエル領にロケット弾を撃ち込む発射拠点がある。
ロケット弾攻撃はイスラエル軍の報復を呼ぶ。「つけ」を払わされるのは地元住民だ。
住民は「反占領」の大義と、報復の巻き添えになる恐怖の板挟みの中で暮らしている。
ベイトラヒヤで食堂を経営するアブビラルさん(26)、客が帰っても深夜まで店を開け、空き地を監視する。
武装勢力が来たら、追い払うためだ。
「イスラエル軍の報復を受けたら補償してくれるのか」。アブビラルさんの父アブシディクさん(53)は、ロケット弾に抱きついて攻撃を止めたこともあるという。
だが、アブシディクさんは「反対して『裏切り者』扱いされても困る」と胸の内を明かす。【】
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イスラエル軍によると、今年に入って、ガザから撃ち込まれたロケット弾や迫撃弾は既に800発以上。
イスラム原理主義組織イスラム聖戦メンバーは「イスラエルの『占領』が先にある。ロケット弾はその反動だ」と主張、攻撃の手を緩める様子はないとのこと。
百年河清を待つような水掛け論の繰り返し。
イスラエル、武装勢力の自己主張のかげで犠牲になるのはいつも住民たちです。
ロケット弾に抱きついて攻撃を止めようとする住民の気持ちが切ないです。
緊張しているのはガザ地区だけでなく、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラとイスラエルの関係もかなり危なくなっています。
きっかけとなったのは、ヒズボラの民兵組織指揮官の1人、イマド・ムグニエ容疑者がシリアの首都ダマスカスで12日夜、自動車爆弾による爆発で死亡した事件。
ヒズボラ側はイスラエルの攻撃による死だと非難しています。
ムグニエ容疑者はヒズボラの特殊作戦部隊の指揮官で、1992年にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで死者29人を出したイスラエル大使館爆破事件を含む数多くの攻撃に関与したとして指名手配されていました。
西側諸国の情報筋は、ムグニエ容疑者がイラン情報当局のために直接動いている可能性も疑っており、米国務省が作成した指名手配中の容疑者リストにも含まれていました。
イスラエル政府は「われわれがこのような事件に関与したとするテロ活動家の主張は受け入れられない」と異例(肯定にしろ否定にしろ、この種の事件に関する公式声明をイスラエル政府は通常ださないそうです。)の声明を発表。
なお、マコーマック米国務省報道官は「この男は各地で大量殺りくを繰り返したテロリストだ」と記者団に述べ、殺害を事実上歓迎したとか。【2月14日 時事】
イスラエル政府は否定していますが、テロ専門家の間では対外特務機関モサドによる暗殺との見方が根強いそうです。【2月15日 共同】
なお、レバノンでは親欧米の与党連合と、親シリアのヒズボラ率いる野党勢力の対立から大統領選出ができず膠着状態に陥っており、議会での大統領選挙の15回目(!)の延期が報じられています。
14日行われたムグニエ容疑者の葬儀で、ヒズボラの指導者ナスララ師は、同容疑者の殺害がイスラエルによるものだと非難し、イスラエルとの「開戦」を宣言しました。
ナスララ師は「シオニストが戦争を望むなら、望みをかなえよう」と述べるとともに、2006年のヒズボラとイスラエルとの武力衝突はまだ終わっておらず、ヒズボラは戦闘再開の準備ができているとも語っています。
一方、イスラエル軍のアシュケナジ参謀総長は、ヒズボラからの非難を受け、「事態の推移に注目しており、必要があれば適切な措置をとる」と語り、レバノンとの国境防衛のために全軍に対し警戒態勢に入るよう命令を下しました。【2月15日 AFP】
イスラエル軍はすでにレバノンとの国境付近に追加の陸軍部隊を派遣し、さらにパトリオットミサイルも新たに国境付近の都市ハイファに配備して、ヒズボラとの開戦に備え始めたそうです。
またレバノンでは親シリア・イランのヒズボラとそれに対抗するドルーズ派やスンニ派、マロン派キリスト教徒などとの間でも緊張が高まりつつあるとか。
06年のレバノン侵攻ではヒズボラをたたくことができず、ヒズボラに実質的勝利宣言を許す形になって忸怩たる思いのイスラエルとしては「やるならやろうじゃないか」といったところでは。
イスラエルとヒズボラがレバノンで衝突すれば、恐らくガザ地区でも連動してハマス等との衝突が本格化するでしょう。
先の“壁”の破壊時に、大量の武器がガザ地区に持ち込まれたとイスラエルは主張しています。
シリア、イランはどうするのでしょうか。
犠牲になる住民のことを考えると「なんとか、そういう事態にならないように・・・」と思うところですが、頭の片隅で「こういう形でしか、現状を打開することは実際のところできないんだろうな・・・」と考える自分がいて、なんとも・・・・。
それにしても、ガザ地区からロケット弾が飛んでくる、レバノンではヒズボラとの緊張が高まる・・・この現状で首相が日本くんだりを外遊中というのは、イスラエルという国も“凄い”というか、こんな事態など日常茶飯事にすぎない国のようです。
おそらくものごとの発想も、日本みたいな国とは全く異なるのでは。
それとも、“のんびり外遊”は陽動作戦で、帰国後は一気に電撃作戦でしょうか。