【台湾 「重症者をゼロに、軽症者を効果的に管理する」】
中国と同様に「ゼロコロナ」を目指し、感染者も抑え込んできた台湾ですが、「ゼロコロナ」に固執する中国と異なり、3月から「重症者をゼロに、軽症者を効果的に管理する」方針に切り替え、感染者増大は一定に想定したうえで入境制限・行動制限の緩和を進めています。
****コロナ対策「優等生」の台湾で感染急拡大…入境制限緩和後に増加****
台湾で新型コロナウイルスの感染者が急増し、14日には過去最多の982人の感染が確認された。中国と同じように「ゼロコロナ」を目指していた台湾は、感染の封じ込めは困難として、重症者を抑える対策を取りながら、経済との両立を図る戦略への転換を始めた。
台湾はこれまで、感染者を施設で隔離し、接触者を徹底的に探して感染の広がりを防ぐ対策を取ってきたが、衛生部門は14日、軽症者や無症状者に対して、自宅での隔離も認めた。
蔡英文ツァイインウェン総統は6日、「重症者をゼロに、軽症者を効果的に管理する」との方向性を示しており、今回の措置はその一環だ。労働力不足も問題となっており、海外から台湾への入境についても、経済発展の観点から適切な時期に緩和していく方針を示している。
台湾はコロナ対策の「優等生」として知られ、世界各地でオミクロン株による感染が広がる中、今年に入っても感染者を抑え込むことができていた。
ところが、3月上旬にビジネス目的の入境制限などを緩和して以降、感染者が増加。4月1日には台湾内だけで100人を超え、急速に拡大した。14日の感染者は874人が台湾内で、108人が空港検疫などで確認された。
オミクロン株は感染力は高いが、重症化しにくいとされ、台湾でも感染者の99%以上が軽症や無症状のため、社会的な混乱は起きていない。【4月14日 読売】
***********************
感染者数は連日増加していますが、制限緩和で経済との両立を図る戦略は変わっていません。
****台湾、感染者が連日最多を更新 緩和策も推進、中国と違い鮮明****
台湾の陳時中衛生福利部長(衛生相)は26日の記者会見で、新型コロナウイルスの新たな市中感染者が6295人確認されたと発表した。感染者の発表数は今月中旬に千人を超えて以降、連日最多を更新。
ただ、今年の感染者の99%超が無症状か軽症のため、接触者の隔離期間を短縮するなど緩和策も推進し、中国との違いを鮮明にしている。
台湾政府は26日から感染者の濃厚接触者らを対象とする自宅隔離の期間を現行の10日間から3日間に短縮した。隔離後の「自主防疫」期間は7日間を4日間とし、抗体検査が陰性の場合は外出が認められる。入境者の隔離期間は10日間のままだ。【4月26日 共同】
******************
****「ロックダウンはしない」感染者“急増”の台湾 接種会場には行列****
台湾では4月中旬から感染が急拡大し、感染者数が連日最多を更新しています。
行政院長は「上海のようなロックダウンはしない」と発言しました。
ただ、衛生当局のトップは、新規感染者数について「1日4万5000人に上る可能性がある」と警戒感をあらわにしています。
接種会場には、慌ててワクチンを打とうとする住民の列ができているものの、接種率を上げることが課題となっています。【4月27日 日テレNEWS24】
*****************
台湾の人口は日本の約2割ですから、「1日4万5000人に上る可能性がある」というのは、日本で言えば10万人弱のレベル、2月上旬の第6波ピーク時レベルに相当します。
実際、前出【4月14日 読売】では982人、【4月26日 共同】では6295人でしたが、27日には1万人を超えています。ただ、感染者ゼロではなく“重症者ゼロ”を目標にしています。(もちろん、感染者数が増大すると、重傷者も一定に増加しますので、感染者数を抑えることは依然として重要ですが)
****台湾 コロナ新規感染者が初の1万人超え****
台湾で新型コロナウイルスの新規感染者数が初めて1万人を超えました。コロナ対策の変更が影響したとみられます。
台湾当局によりますと、27日に確認された市中感染者数は1万1353人で過去最多となりました。1万人を超えるのは初めてです。
台湾では厳格な隔離などを行う“ゼロコロナ政策”が続いていましたが、経済への影響などを考慮し、今年に入って入境制限を緩和したほか、条件を満たせば自宅での隔離を認めるなど、“ウィズコロナ”を意識した防疫対策に変更していて、感染者ゼロではなく“重症者ゼロ”を目標に掲げています。【4月28日 TBS NEWS】
台湾当局によりますと、27日に確認された市中感染者数は1万1353人で過去最多となりました。1万人を超えるのは初めてです。
台湾では厳格な隔離などを行う“ゼロコロナ政策”が続いていましたが、経済への影響などを考慮し、今年に入って入境制限を緩和したほか、条件を満たせば自宅での隔離を認めるなど、“ウィズコロナ”を意識した防疫対策に変更していて、感染者ゼロではなく“重症者ゼロ”を目標に掲げています。【4月28日 TBS NEWS】
********************
【オーストラリア 旅行者の全面受け入れを2年ぶりに再開】
オーストラリアも同様の“ウィズコロナ”政策を進めています。
****パンミック終了?感染者増加でもコロナ規制をほぼ撤廃し、正常化するオーストラリア****
オーストラリアでは、新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴うパンデミック時に適用してきた「バイオセキュリティのための緊急パンデミック対策法」が、4月17日に失効した。(中略)
これに伴い、海外からの旅行者に課してきた「陰性」を証明する渡航前検査が不要となり、パンデミック下で入港を禁止してきたクルーズ船の寄港も可能となった。
オーストラリアの入国に際しては、海外からの渡航者に対するワクチンを2回以上接種した証明書の提出が必要なことを除けば、パンデミックに伴ってこれまで行ってきた様々な規制は、各州政府が独自に規定して残っているもの以外、ほぼ廃止されたといえる。
ところが今もオーストラリアは、連日 4万人前後の感染者を記録。ピーク時よりは減ったとはいえ、1日あたりの感染者数としては、パンデミックが始まって以来、過去最高規模であり、下のグラフ(略)でもわかるように、パンデミックを通じた感染者のほとんどが今年に入ってからとなっている。(中略)
しかし、世界に目を向ければ、オーストラリア同様に感染者が増加、もしくは上げ止まりとなっているのに、ワクチン接種状況を問うことなく、パンデミック以前のように誰でも自由に出入国が可能となっている国が増えているという。オーストラリアがこうした国々に追随して、すべての規制を廃止するのも間近なのかもしれない。(後略)
【4月27日 平野美紀氏 Newsweek】
**********************
【韓国 文在寅大統領「ついに国民が日常を取り戻せるようになった。感無量だ」】
4月17日ブログ“韓国 「ポストオミクロン対応計画」で通常生活を目指す コロナ禍の「終わらせ方」”でも取り上げたように、韓国も同様の流れにあり、4月18日から新型コロナの行動規制がほぼ撤廃され、25日には新型コロナウイルスの等級を最高段階の1級から、インフルエンザや麻疹、水疱瘡レベルの2級に引き下げています。
感染者数は3月中旬の62万人程度をピークに、緩和措置にもかかわらず急速に減少し、4月25日段階で8万人程度となっています。
その点では、文政権の狙いが当たった数字にもなっていますが、緩和を急過ぎ過ぎているとの批判もあります。
そこは「政権交代」時期ということで、今後感染増加などの弊害が出ても「それは新政権の対応が悪かった」と言えるので転換を急いでいる・・・という指摘もあるようです。
****コロナ正常化プロセスに入った韓国、日本は韓国からの旅行者を増やすべきか****
ウィズコロナ路線を鮮明にした退任間近の文政権、次期政権はどうする?
韓国政府は4月25日、新型コロナウイルスの等級を最高段階の1級から、インフルエンザや麻疹、水疱瘡レベルの2級に引き下げた。ウィズコロナの「日常回復」を本格化させる動きで、これから4週間の移行期間に入る。
韓国の2級は、日本でいう「感染症法に基づく分類」の5類相当に該当する。日本でも引き下げが検討されているが、他国に倣う日本のこと、日本が実施するにはまだ時間を要することだろう。
日本よりも一足先に分類を引き下げた韓国は、新型コロナウイルスがエンデミック(風土化)に向かっていると判断した。
保険福祉部の權德喆(クォン・ドクチョル)長官は、4月15日のブリーフィングで、「オミクロン株の登場によって危険度は低くなった反面、小規模な流行は繰り返される可能性が高い」とし、「これを考慮すれば、より日常的な対応する形に防疫と医療対応を転換する必要がある」と、政府の方針転換について説明している。韓国政府はコロナとの共存を選んだということだ。
2級に引き下げられたことによって、韓国では今後、感染時の7日間隔離義務と医療機関への報告義務がなくなる。また、一般医療機関で受診することも可能となった。
インフルエンザ同様、かかりつけの医療機関で受診できるようになったことから、感染者の精神的負担は減少することになるだろう。と同時に、隔離義務がなくなったことから、生活費、有休休暇費、治療費の政府負担は原則終了となった。今後、感染者は個人の費用負担で完治させる必要がある。
コロナ前の日常を取り戻しつつある韓国だが……
日本でも大きく報じられているから既にご存じの方も多いと思うが、今回の等級引き下げよりも先に、韓国では4月18日からマスク着用を除くすべての防疫措置が解除された。
およそ2年もの間、飲食店の営業時間が短縮され、集会の人数制限が規制されてきた。ストレスの溜まる生活を強いられてきた国民、とりわけ若い世代は、自由を得ようと防疫措置解除後さっそく街に繰り出している。
完全回復とまではいかないが、ソウルの繁華街である江南(カンナム)の歩道は人であふれている。このまま順調にいけば、韓国は日本よりも先にコロナ禍以前の生活を取り戻すことになるだろう。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「ついに国民が日常を取り戻せるようになった。感無量だ」とコメントを出した。「新型コロナウイルス危機を乗り越えたのはK防疫などに取り組んだ文政権の成果だ」と言わんばかりだ。ほとんどの規制が緩和された現状を、文政権は最後の功績にしたいようである。
ただ、5月に新大統領に就任する尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏率いる次期政権は、「政府が5月末で隔離義務を完全解除すると決定したのは、性急すぎるアプローチだ」と、文政権の防疫措置緩和を批判している。そのため、新政権によるコロナ対策次第では、再び行動規制される日がやってくる可能性も否定できない。
文大統領はあと2週間ほどで退任するから、尹政権誕生後に規制緩和が仇となって国民に被害が生じたとしても、「当時は問題がなかった。悪化したのは尹政権の対応が悪いからだ」と責任転嫁すればいい。(後略)【4月26日 羽田 真代氏 JBpress】
***********************
人出が戻った繁華街ではタクシー不足が深刻化しているとか。
****韓国でタクシー争奪戦 帰宅難民続出で1時間待ちも…背景にコロナ禍【ネタプレ国際取材部】****
私がお伝えしたいのは「韓国のタクシー難民問題」です。
約2年ぶりに飲食店の営業時間など、新型コロナに関する規制がほぼ撤廃された韓国。街には多くの人が繰り出し、賑わいを見せています。
一方、長引いたコロナ禍でタクシー運転手が激減した結果、タクシーが足りず深夜の帰宅難民が続出しているんです。(中略)
韓国全国タクシー運送事業組合によると、2022年2月時点の法人タクシーのドライバー数は7万4754人で、コロナ禍前の2019年12月と比べると2万7000人以上減少しています。
約2年にわたって続いた、飲食店の営業時間や人数制限によってタクシーの利用客が減り、収入や待遇が良く需要が増えたデリバリー・宅配業界に人材が流れたとされています。このタクシー不足は首都ソウルで特に深刻で、1時間待ってもタクシーが捕まらず、数時間かけて徒歩で帰宅する人も少なくありません。
ソウル市は、タクシー運転手の営業時間制限を緩和するなどの対策に乗り出した他、深夜バスを増便するなどしていますが、交通手段の供給不足は依然として解消されていません。
韓国のタクシーは初乗り3800ウォン(約380円)と日本に比べ非常に安く、その分運転手の待遇もいいとは言えません。今回の問題を巡っても、運転手の待遇改善がなければ供給不足は解消できないとする声も挙がっています。人出の増加とともに、いずれタクシー業界にも人が戻ってくる可能性はありますが、相当の時間を要すことになると見られます。
コロナ禍前の生活を完全に取り戻すためには、規制緩和を一方的に進めるだけではなく、取り巻く環境整備も並行しておこなっていく必要があります。【4月28日 FNNプライムオンライン】
*******************
規制緩和を一方的に進めるだけではなく、取り巻く環境整備も並行しておこなっていく必要・・・・それも必要ですが、先ずは政府が明確な方針・戦略を示すことが前提になります。
日本の政治・社会はそういうリスクを伴う方向性を示すことに臆病というか非常に慎重です。
「これまで同様用心しましょう」と言っておけば、状況が悪化しても責任を問われない・・・という発想しかないようにも見えます。
そうした慎重姿勢の結果、犠牲が最小ですんだと主張するのでしょうが、転換の遅れにとなう「失われた機会」のコストは一顧だにされまんせん。