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(工場進出が進む内モンゴル自治区烏海の様子 “flckr”より By Uschools.com )
最近数日目にした中国関連のニュース。
最初は山東省新泰で今月17日に発生し、作業員181人の生存が絶望視されている炭鉱2か所の浸水事故について。
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【8月23日 AFP】 中国政府、「炭鉱浸水は自然災害」と発表
李学挙民政相は記者会見で、専門家による分析の結果、炭鉱の浸水は安全基準の不備によるものではなく、むしろ自然災害によるものだったとの見解を示した。さらに、同国には自然災害による死者・負傷者への補償制度がないと強調した上で、遺族には政府および炭鉱会社から見舞金が支払われるかもしれないと語った。
これに対し、管理体制のずさんさを指摘している被害者遺族らは怒りをあらわにした。
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事故は大雨による洪水で近くを流れる川の堤防が決壊し、鉄砲水が発生。炭鉱の古い立て坑から、地下坑内に大量の水が流れ込んだことで発生しました。
「救出作業の状況について十分な説明がなされない」と、事故発生当初から被害者家族の強い批判があり、家族と関係者との小競り合いも伝えられていました。
川の水位が警戒線を越えたとき、会社は鉱夫の保護措置をとるべきだったのでは・・・等々、詳しい事情がわからないのでなんとも言いようがないですが、181人の遺体が発見されたわけでもないこの段階で早々と「自然災害です。(国には責任はありません。)」と言う感覚は、日本的には馴染めないものがあります。
もっとも、日本でも災害、公害、薬害で公的責任をなかなか認めず長期の裁判になる事例は多々ある訳で、ひとり中国の問題でもないでしょうが。
また、トラブルが発生したとき、国民が当局を批判する、その様子がまがりなりにも報道されるというのは、一昔前の「政府・党の決定が絶対で“竹のカーテン”に隠されて何も見えなかった状態」からすれば、それなりの変化はあるように思います。
なお、中国の炭鉱は世界中で最も危険性が高い業界となっています。
中国政府筋の報道によると、去年4746人が炭鉱爆発事故、浸水事故と他の事故で死亡し、毎日平均13人の鉱夫が死亡しています。
こういう事態が是正されずにまかりとおることが、人命に対する感覚の違いに思われます。
次は女性の権利・地位に関するニュース。
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【8月22日 毎日】 嫁不足深刻 適齢期男性は女性より1800万人多く
中国共産党機関紙「人民日報」は22日、中国では現在、20~45歳の結婚適齢期の男性が女性より1800万人多く、2020年にはこの差が3000万人に拡大すると報じた。
嫁不足は既に深刻化しており、誘拐などの犯罪への警戒が高まっている。
中国政府は出生計画において「厳しい情勢と任務に直面している」として、不均衡を是正するため「女児愛護行動」キャンペーンを展開したり、胎児の性別を理由にした中絶を禁止している。
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中国農村では男尊女卑の考えが根強く、男子の跡取りを求めることから、一人っ子政策の影響もあって“女子とわかると中絶する、または、生まれたあと捨てる”等の問題が生じています。
その結果、05年の出生比率は女児を100とすると男児は118.88といびつになっており、この差は農村部では更に大きな数字になっています。
江蘇省連雲港においては、女児100人に対し男児163.5人という結果が出たそうです。
上記ニュースにもあるように、結果として生じた嫁不足のため、女性を無理やり誘拐してくるというような犯罪行為も地方では多く見られるそうです。
産み分けを目的とした中絶は現在においても違法ですが、現行法上は処罰の具体的な内容が規定されていません。
中国国務院は、妊娠初期に女児と判明した時点で中絶を行った親や医師を処罰する新しい法律の制定を検討していると伝えられています。【8月26日 AFP】
このような風潮が女性の権利・地位を厳しいものにしていることは想像にかたくないところですが、その表れのニュース。
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【8月25日 共同】 3割で家庭内暴力 女性団体への訴え増加
中国の家庭の約30%に家庭内暴力があると推定されることが、女性団体、中華全国婦女連合の調査で分かった。中国紙、法制日報が25日までに伝えた。同連合への家庭内暴力の訴えも毎年70%増加、過去2年間で5万件に達している。公安省は事態を重視、これまで家族間トラブルや傷害事件などとしてその都度対応してきた家庭内暴力について、独立した事件項目として処理することを検討し始めた。
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故毛沢東主席の有名な言葉に「婦女半辺天」(天の半分は女性が支える)というものがありますが、単に女性を生産現場に駆り出すための言葉だったのでしょうか。
もちろん、日本にもDV男が大勢いることは言うまでもないことです。
続いては環境汚染のニュース。
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【8月27日 ロイター】 中国の主要河川における水汚染、依然高い水準
中国の主要河川である淮河と遼河では、14年間にわたる水質改善努力にもかかわらず、依然として水の大部分が人体への接触や飲用に適さず、人口13億人の6分の1に相当する人が危険にさらされていることが分かった。地元メディアが27日に伝えた。
今回の調査報告を行った全国人民代表大会資源・環境保護委員会の毛如柏主任委員は、「廃棄物の上限規制を遵守している工場でも、川を救うためには排出量が多すぎる」と主張。
中国の水汚染に対する規制が緩いとの見方を示した。
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北京オリピックを控えて環境問題にはこのところ中国政府も敏感になってきているようで、こんなニュースも。
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【8月26日 AFP】 環境改善のため200億円拠出へ
中国国営チャイナ・デーリー紙は25日、Zhang Hongli副財政相の話として、数十年にわたる経済成長で悪化した環境の改善を図るため、同国政府が13億3000万元(約204億6000万円)以上の資金を投じると報じた。
同紙によれば、資金の大半は、汚染物質の排出削減・監視のほか、新たな排出権取引制度のために使用されるという。
排出権取引によって、汚染物質の排出量が許容値を超える企業は、排出量が許容値未満の企業から排出権を買い取り、許容値を超えた部分の汚染物質を排出することが可能となる。
活況な中国経済は、環境を大きく犠牲にすることで達成されたもので、現在同国内の水路の最大70%が汚染され、大都市の大気環境は世界でも最悪レベルという状態になっている。
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広い中国に対して200億あまりではまだまだ不足でしょうが、改善へ向けての一歩ではあると思います。
排出権取引制度など、軌道に乗れば京都議定書など国際規制の枠組み参加への道筋も見えてくるのではないでしょか。
日本が協力する余地のある分野かと思います。
最近の中国批判に対する苛立ちでしょうか、こんなニュースも。
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【8月26日 産経】 中国各紙、外資100社を批判
中国共産党機関紙、人民日報など中国各紙は25日までに、北京の環境NGO(民間活動団体)「公衆環境研究センター」が公表した「環境汚染企業ブラックリスト」をもとに、外資系企業が汚染物質を垂れ流しており、道徳心が欠如しているなどとする批判記事を掲載した。同リストの「汚染企業」には、日系も含む外資系企業100社が列挙されている。
24日付の人民日報は、「多国籍企業の環境責任はどこに行った」と題し、「これら企業は、自国では環境基準を守っているのに、中国に進出したとたん、環境基準を守る能力があるのに(故意に)守らず、二重基準だ」などと批判した。
上海紙の解放日報も同じく、「中国の環境保護水準が低いのは認める。国内企業の環境意識も低い。しかし、多国籍企業が、環境基準を守らない理由にはならない」などと非難、他紙も「中国は世界の工場のゴミ処理場ではない」と批判している。
日系では、「花王」「吉野家」、「松下」「日清」系列などの企業が明記されている。
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中国の苛立ちが背景にあっての記事であり、日系企業関係者の「問題があっても、数値の問題で(中国企業に比べると)小さな問題ではないか」との反論もあります。
ただ、民間企業のモラルという点で一定に耳を傾むけるべき批判かと思います。
コムスンにしろ、ミートホープにしろ、白い恋人にしろ、“民間活力”“民間の知恵と工夫”ということの反面はこういうことです。
野放しではなく、社会規範に従わせる枠組み・方策が必要でしょう。
国民の生命の尊重、女性などの基本的人権、環境汚染・・・まだまだ中国がこれから克服していくべき課題は多いように思われます。
しかし、その改善に向けての自助努力が全くなされていない訳でもなく、旧態依然の非公開社会でもなくなってきています。
隣国日本としては、進んでもらいたい方向へ中国が進めるような協力をしていく対応が必要かと思います。
日本にとって中国は無視できる相手ではありません。
下のような画像も。
2002年7月11日のものだそうですが、北京など中国東部を厚く覆う“aerosol concentrations”が黄海を越えて日本方向にたなびいています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/1d/f783421012cb10ea6f4967da77f42428.jpg)
(2002年7月11日 “flickr”より By pingnews.com )
Image courtesy the SeaWiFS Project, NASA/Goddard Space Flight Center, and ORBIMAGE
ID: GL-2002-001716
Credit: NASA Goddard Space Flight Center (NASA-GSFC)