(路肩爆弾の犠牲者でしょうか “flickr”より By milipeti)
イラクにおける民間警備会社の存在が、“戦争のアウトソーシング(外注)”“戦争の民間委託”として注目を集めています。
イラクにおいて民間警備会社が大規模に重要な役割を果たしていること自体は常識だったのでしょうが、それが論議の的になったのは今月16日のある事件によります。
・・・・・・・・・・・・・・・
バグダッド西部で16日、米民間警備会社ブラックウォーターの要員がからむ銃撃戦が起き、イラクの警察や病院関係者によると、少なくとも9人の民間人が死亡した。
この事件を受け、イラク内務省の報道官は17日、同社の業務認可を取り消したと述べた。
これに対し、同社の広報担当者は「銃撃したのは民間人でなく、武装勢力だった」と反論している。
一方、米国務省は事件の詳細について「調査中」としながらも民間人に犠牲が出たことは認め、ライス米国務長官が同日、マリキ・イラク首相に電話をかけて「遺憾の意」を伝えた。
米メディアによると、銃撃戦は、同社が護衛していた米外交官の車列の近くで、車に仕掛けられた爆弾が爆発した直後に起きた。【9月18日 読売】
・ ・・・・・・・・・・・・・
(産経の報道では死者8名、重軽傷者14名)
この記事では、“ライス国務長官が「遺憾の意」を伝えた”となっていますが、アメリカ側はブラックウォーター社の事業が継続できる方向での打開策を求めて、事態の沈静化にやっきになったようです。
イラク政府が同国内での同社の事業許可を取り消し同社の交代を求めていることについて、ブッシュ米大統領は19日懸念を表明、米・イラク両政府間で事態収拾に向け交渉を進めていることを明らかにしました。【9月20日 AFP】
19日、米国務省は、イラク駐在の米外交官らを警護している民間警備会社の活動を見直すため、米国、イラク両政府が合同委員会を設けると発表しました。【9月20日 読売】
大統領まで乗り出してこの問題の沈静化を図ろうとするのは、それだけアメリカのイラクでの戦闘に占める民間警備会社の存在が重要であり、もし1社でもイラク政府が取り消すことを許せば、今後も米国の活動を支える“命脈”を、イラク政府に握られる先例となりかねないからだそうです。 【9月19日 産経】
民間警備会社というとソフトなイメージですが、一昔前の“傭兵”もその業務範囲にはいります。
(会社側は“傭兵”という汚れたイメージは嫌っているようですが。)
しかし、現在の民間警備会社の業務は実際の戦闘参加だけでなく、施設・要人・輸送部隊の警備はもちろん、生活環境提供(兵士の宿舎設営、食事の提供サービス、ショッピングモールの運営)、輸送業務、兵器の整備(地元兵員の教育・訓練、兵器のメインテナンスなど)など幅広いものがあるそうです。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の“民間軍事会社”を見ていただくと、その業務内容や、背景、功罪など詳しく書かれています。
業務が幅広いということは、それだけ広範に戦闘行為を支えているということに他なりません。
イラクで米外交官の護衛などを請け負う“現代の傭兵”武装要員は4万8000人(イラクに駐留する米軍主導の多国籍軍の合計兵数を上回る数字です)ともいわれ、補給業務を加えれば駐留米軍(約16万人)を上回る18万人もの“社員”がイラクに展開しているそうです。
武装要員は軍用の自動小銃と拳銃で完全武装し、偵察任務も可能なヘリコプターや装甲車両も備えるなど、治安部隊と大差ない装備を持っています。
要員には軍隊経験者が多く、米軍の特殊部隊経験者が多く迎え入れられているそうです。
高給に加えて頻繁に与えられる派遣先の国外での休暇などその待遇は破格だそうで、米兵の年俸に近い3万ドル程度を“月給”として支給する企業もあるそうです。
イラクで警備業務を受託する民間企業は、「プライベート・セキュリティ・カンパニー(コントラクター)」(PSC)と呼ばれ、米、英系を中心に現在40社近くが業務に当たっています。【9月21日 産経】
ある動画ニュースで彼らの警備業務を紹介していました。
そのスタイルは大きく分けて2種類。
ひとつは“ハイ・プロファイル”な警護のやり方。
これは機関銃を設置した車両で周囲を威嚇しながら,四方に“がんを飛ばしながら”行うやり方です。
車両近くで携帯電話など扱う者がいたら、撃ち殺さんばかりに威嚇して止めさせます。
携帯電話は路肩爆弾とも呼ばれるIED(簡易手製爆弾)の起爆装置にもなるし、状況を仲間に通報しているかもしれないからです。
もうひとつは“ロー・プロファイル”な警護のやり方。
これは逆に、相手に全く気づかれないように、一般車両を装いながら要人などを空港に送ったりする業務方法です。
しかし、一旦相手の武装勢力に“おかしい”と察知されると直ちに攻撃を受けます。
年収は約2000万円。紹介された“社員”は「待遇も仕事内容も気に入っている」と語っていました。
(“flickr”より By rodneykeene)
このような“民間警備会社”の業務が拡大した背景には、軍隊の人件費高騰があると思われます。
アメリカは徴兵制をとっていましたが、ベトナム戦争で多くの若者を失い、また、反戦・徴兵拒否などが社会問題化しました。
その後は徴兵制を止めていますが、その結果、“プロの軍人”は高価なものになっています。
従って、どうしても効率運用を図る必要が生じ、それが民間委託・外注に繋がっていると思われます。
7月下旬以降に米陸軍の新兵募集に応じた若者に2万ドル(約230万円)の臨時ボーナスを支給しているとの記事も以前ありました。【8月27日 時事】
それだけコストをかけないと兵士を集められないのが実態のようです。
もうひとつ、民間委託が広がる理由は、いくら“民間人”がその業務で死んでも“戦死者”扱いにはならないこと、その結果、政府・軍は国民の批判を浴びずにすむという点があります。
これまでに推計1000人の民間軍事契約者がイラクで犠牲になっているそうです。
民間警備会社社員は軍隊のような軍規による統制もありません。また、イラク当局の訴追を免れる特権が与えられているうえ、米政府も明確な行動規範を作っていないため、「アンタッチャブル(誰も手をつけられない)」(ワシントン・ポスト紙)な存在になっていると言われています。【9月20日 読売】
アメリカが発表したイラク・アメリカの合同委員会は、このあたりを整備していこうというものです。
今回の事件は、アメリカ軍が民間警備会社に依存しながら戦闘を行っている実態を改めて明らかにしました。
(5年前、マレーシアのコタバル(イスラム原理主義政党が州政府を掌握)を観光したときの写真 伝統的な遊びをデモンストレーションする女性達)
最近、漫画でイスラム教を揶揄したとして、著者等の殺害を警告する声明がだされた事件が話題になっています。
イスラム教と“表現の自由”の問題としては、1989年にイギリスで発表された『悪魔の詩』(あくまのうた、原題:The Satanic Verses)が有名です。
イスラム教を揶揄した内容のこの小説は、一部イスラム教徒の激しい反発を招きました。
当時のイランの最高指導者ホメイニ師によって、著者及び発行に関わった者などに対する死刑宣告がイスラム法の解釈であるファトワーとして宣告されました。
また、イランの財団より、ファトワーの実行者に対する高額の懸賞金(日本円に換算して数億円)も提示されました。
こうした流れのなか、日本語訳を出版した翻訳者が勤務先の筑波大学にて何者かに襲われ、喉を繰り返し切られて惨殺される事件、93年にはトルコ語翻訳者の集会が襲撃され37人が死亡する事件も起きました。
なお、ホメイニ師死去によりファトワーの撤回はできなくなりましたが、その後イラン政府は“今後一切関与せず、懸賞金も支持しない”との立場を表明しています。
【フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】
この騒動は、各地のイスラム主義運動・反欧米運動に少なからぬ影響を与えたとも聞きます。
今回の騒動は以下のようなものです。
・・・・・・・・・・・・・・・
【9月16日 AFP】国際テロ組織アルカイダを名乗るイラクのグループが15日、預言者ムハンマドを侮辱する風刺画を描いたスウェーデン人2人を殺害した者に対して懸賞金を支払うとの声明をインターネットを通じて発表した。
懸賞金がかけられたのは、漫画家のLasrs Vilk氏と漫画が掲載されたNerikes Allehanda紙の編集主任。それぞれ10万ドルと5万ドルの懸賞金がかけられた。
また声明では、謝罪が無いのであればスウェーデンの企業に対して圧力を加えると警告している。
問題となった風刺画は8月18日付の同紙に掲載されたもので、犬の胴体を持つ預言者ムハンマドの姿が描かれていた。同紙が本社を置くOerebroの街ではイスラム教徒による抗議活動が行われており、また表現の自由をめぐってスウェーデン国内では議論が交わされている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
同日の【読売】から補足すると、名乗りをあげたのはアルカイダなどが一方的に樹立を宣言した「イラク・イスラム国」の指導者だそうです・
「イラク・イスラム国」というと、今月13日イラクでアメリカに協力するかたちでアルカイダ討伐を行っていたスンニ派有力部族長を爆殺したと発表したのも同組織でした。
また、スウェーデン企業というと、携帯電話会社エリクソンや、自動車メーカーのボルボなどのようです。
渦中の漫画家は、「屈服してはいけない。わたしは年もとっているし、いつ死んでもかまわない」と語っているそうです。
また、スウェーデンのラインフェルト首相は、地元のイスラム教指導者らと会談後「冷静な対応と『熟考』を求める。暴力行為の呼びかけや、状況を悪化させるいかなる試みも許されない」と述べ、言論と表現の自由は守られなければならないと強調したと報じられています。
スウェーデン・メディアは15日、インターネットを通じて警告を非難する声明を発表。
発表紙の編集長は社説で「この国では、言論が原理主義者や政府により制限されることはない」と述べています。【9月17日 AFP】
表現の自由が守られるべきこと、殺害を求めるような言動が容認できないことは、そのとおりです。
ただ、正直なところ「どうしてこんな騒動を引き起こすのかな・・・」という苛立ちを感じます。
今イラクでもアフガニスタンでも、ややもするとイスラム対欧米的価値観の対立とも思われがちな紛争が火を吹き、大勢の市民がその被害を蒙っています。
欧米の兵士も犠牲を出しています。
また、世界各地でイスラム原理主義的な運動が強まり、その対応、テロの恐怖に苦慮しています。
今回の騒動は結局イスラムの人々を刺激し、より過激な方向へ向かわせるだけのものに思えます。
言論・表現の自由は大切ですが、本来それは抑圧されている人々を救済するためにこそ使われるべきものです。
社会風習や文化の違いに配慮して、いたずらに相手に不快感を与えないのが良識というものです。
今回のような表現は、単に自分たちの価値観をひけらかし、相手を貶めるだけの自己満足的な愚行にすぎず、デリケートな世界の情勢を無神経にかき回すような行為です。
「いつ死んでもかまわない」と英雄的な満足感に陶酔するのは勝手ですが、著者一人が死んで済む問題ではありません。
イスラムの国々は断食月のラマダンに入っています。
家族を失い、戦乱のなかでラマダンを向かえる難民もいれば、石油産出国の大富豪・王族もいます。
イスラム教では信者同士の助け合いを、貧者への施しが重要視されていますが、ラマダン期間中世界中のイスラム教徒が一斉に日中の断食を行なうことで、世界的規模でそのような宗教意識が高まるとされるています。
来週1週間ほど、ピラミッドなどの物見遊山でエジプトに出かけます。
エジプトでは社会問題省の指導でイスラム系慈善団体が結集し、貧しい家庭に対して食糧などを入れた「ラマダン・バッグ」を配っているそうです。(昨年の記載で、今年のことはわかりません。)
配布を受ける人は、700万人、全人口の約10%にのぼるそうです。
政府とは一線を画すムスリム同胞団などのイスラム組織も、独自の「ラマダン・パック」を困窮する人々に配布して、支持拡大に努めるのもこの時期だそうです。
(川上泰徳氏 朝日新聞アスパラクラブ“中東ウォッチ”より)
エジプトのラマダンでは、夜のランタンの灯りがきれいだそうです。
そんな暮らしぶりを感じることができれば・・・と楽しみにしています。
(ラマダンのエジプト ランタン屋さん 店番のおじいさんの後ろにずらっと並ぶのがランタン “flickr”より By Dmitry Gudkov)
ラマダンにあわせたのでしょうか。
こんなニュースも。
「ドバイで19日、アラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ラシド・マクトム副大統領(ドバイ首長、首相兼任)が子どものための新たなチャリティー計画「Dubai Cares」を立ち上げた。
同計画は、発展途上国の百万人の子どもたちに教育の機会を与えるための資金集めを目的としている。」【9月20日 AFP】
計画内容は全くわかりませんが、有り余る資金の使いみちとしては、喜ばしい限りです。
ついでに、ラマダンとは何の関連もないですが、イスラム関連のニュースがもう1本。
著名なイスラム法学者がアルカイダのビンラディン批判を行ったそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イスラム系ウェブサイト「イスラム・オンライン」はサウジアラビアのイスラム法学者、サルマン・ビンファハド・アウダ師が国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者にあてたとする公開書簡を掲載した。書簡は「我々イスラム法学者はウサマの行為を拒絶する」と同容疑者の言動を批判している。
同師はサウジが国の根幹に据えるイスラム教スンニ派の一派ワッハーブ派の高名な法学者。反王室派としても知られ、米軍のサウジ駐留に反対してきた点ではビンラディン容疑者と一致していた。ビンラディン容疑者を批判した公開書簡について、専門家は「アルカイダの思想にとって大きな痛手だ」と論じている。
書簡は「兄弟ウサマよ」と呼びかける形式。「イラクやアフガニスタンのような国家の破壊から我々は何を得たのか」と問い、「内戦の悪夢はムスリム(イスラム教徒)にいかなる喜びももたらさない」とアルカイダによる暴力の妥当性に疑問を投げかけた。
さらに「殺人と暴力の文化を普及させた責任は誰に」「泣き叫ぶ母親や子供たちを残し、若者が戦地へ向かう責任は誰に」とたたみかけ、「アルカイダは刑務所が若いムスリムで満たされる原因だ」と断じている。【9月19日 毎日】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自爆テロに走るイスラムの若者に再考を促すものとなるなら、これも喜ばしいものかと思います。
しかし、インターネットなどで“西欧に踏みにじられる屈辱感”を煽るサイトなどによって、過激な行動に駆られる若者は後を絶たないとも言われています。
冒頭のような愚かしい“自由”が、そういった動きを加速させないことを願います。
(今回の僧侶の抗議活動に関してはAFPに格好の写真(シュエダゴンパゴダに向かってデモをする僧侶達)があるのですが、勝手に掲載できません。かわりに全く関係ない写真ですが、珍しい上の写真。
これは、撮影場所がバゴーになっているので、恐らく2001年ミャンマー各地で起こった反ムスリム暴動時のものではないでしょうか。僧侶達が手に棒を持って、モスクの破壊に向かうところです。
このときの暴動については、いくつかの暴力行為を扇動していたと見られる僧侶は、僧侶の格好をしたUSDA(軍政の御用大衆組織)か軍人だったとの報告もあるようです。
いずれにしても、血の気の多い坊さんも多いようです。
ミャンマーにおける仏教以外の信仰の自由、宗教対立については興味深いものがあります。
“flickr”より By andrewjudededo)
9月4日の当ブログ(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070904)でも取り上げたミャンマー情勢が僧侶の抗議デモによって緊迫しています。
石油関連製品の大幅値上げに始まった軍事政権への抗議活動はヤンゴンから地方へ拡大したものの、4日の時点では続報があまりなく、「収まったのかな・・・」という感じを受けていました。
しかし、現地では抗議が続いていたようで、特に5日パコックで行われた僧侶のデモ、それに対する治安当局の対応によって、国民の信頼をあつめる僧侶が全面に出る様相を呈してきています。
5日のパコックのデモには僧侶300人以上が参加。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
解散させようとした軍の威嚇発砲の弾が数人の僧侶に当たり、負傷者が出た。8月から始まった価格高騰に反発するデモに対し、軍が発砲したのは初めて。【9月6日 毎日】
軍政は一連のデモで初めて治安部隊を投入。空に向け威嚇発砲したほか、竹の棒で市民を殴打し、3人が負傷したとされる。兵士たちはさらに、10人の僧を連行し、電柱に縛り付けて竹の棒で打った。
【9月16日 IPS】
治安部隊の隊員を解放した後も、僧侶数十人が町に出て軍関係者が営業する店を襲撃した【9月7日 AFP】
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・
発砲で僧侶に負傷者がでたのかどうかは報道によって異なります。
治安当局者が6日朝、謝罪のために僧院を訪れましたが、怒った僧侶が当局者の車4台を燃やし、当局者約20人を僧院に閉じこめるという展開になりました。
市民1000人あまりが集まり、「僧侶を脅すとは何事か」と叫び騒然としたようですが、当局側が僧侶側に謝罪し、同日夜までに人質全員が解放されました。【9月6日 読売】
ミャンマーの仏教は上座部仏教ですので、素人考えで“個人の解脱が主眼で、社会運動などにはあまり活発ではないのでは・・・”と思っていたのですが、僧侶たちはもともと支配に対する抵抗の役割を長年にわたって果たしており、イギリス植民地時代には西洋の帝国主義に対して立ち上がったそうです。
また、最近では、1988年の民主化闘争の中で主要な役割を果たし、その時に拘束された僧がいまだに90人も刑務所の中にいるとのこと。【9月16日 IPS】
ミャンマーではごく普通に、「ちょっと10日ほど明日からお寺でお坊さんをやってきます。」というような庶民の生活と僧侶が極めて密着した関係にある社会ですから、僧侶達もある意味では世間の状況を熟知しているとも言えるかもしれません。
(今年正月旅行時の写真 マンダレー市街の様子 托鉢を終えたお坊さん達もバスでお寺へ帰ります。
托鉢のときは僧侶はバスに乗ってもお金は払わなくていいそうです。)
軍事政権はその後、デモを主導する民主化勢力への非難を強めています。
国営メディアを通じ、連日「有効な行動をとる」と警告。
ア・ウン・サン・スーチー率いる最大野党「国民民主連盟」(NLD)が権力に着くために騒動を利用していると非難、NLDメンバーの逮捕も相次いでいます。
最初のデモを主導して逮捕された元学生運動家らを国営テレビで「テロリスト」と非難、厳しい法的措置をとると宣言しました。
7日に裁判所が6人の労働運動家に禁固20~28年の判決を下しましたが、これも「反政府運動への見せしめ」とみられています。 【9月10日 朝日】
更に軍政当局が親軍政組織を動員し、抗議活動に対抗して、先日決定した新憲法基本原則を民主化への実績としてアピールする大規模集会を数日中に行う準備をしているとも報じられています。【9月15日 共同】
また、「国民民主連盟」(NLD)の本部や幹部宅などの電話約50回線を遮断しました。
NLDと海外メディアとの連絡を絶つことを狙ったものと言われています。【9月14日 毎日】
国際社会もミャンマーこの事態に反応しています。
アメリカは11日、拘束されたミャンマーの民主化勢力が激しく殴打されているとの報道を受けて、同国軍事政権に対し、拘束者への赤十字国際委員会のような国際機関の接触を認めるよう求めています。【9月12日 時事】
ブッシュ大統領夫人がこれまでもミャンマー情勢に深く関心を持って活動してきていますので、アメリカの反応も早いものがあります。
また、アルブール国連人権高等弁務官は13日、国連人権理事会の第6回会合で、ミャンマー軍事政権に対し、拘束したデモ参加者を直ちに解放するとともに、拘束者の人権を尊重するよう促しました。【9月14日 時事】
僧侶団体は、軍事政権に対し(1)僧侶への謝罪(2)物価値下げ(3)政治犯の釈放(4)民主化勢力との対話--の4項目を要求。
17日までに応じなければ抗議行動を行うと表明していました。【9月18日 毎日】
また、回答がなければ、軍人や親軍政組織からのお布施を拒否すると宣言したそうです。 【9月16日 朝日】
“お布施の拒否”と言うのは信仰の篤い人にはこたえるかも。
僧侶側からすると、寄付者の救済を拒否することにもなって相当に厳しい意味があります。
軍事政権は、僧侶らの動きを抑えるため僧院への監視を強化。一部の地域では、政府系の仏教組織を通じて夜間の外出禁止を命じる手紙を送っています。 【9月16日 朝日】
こうした情勢のなかで、マンダレー管区のチョウパダウンで17日、僧侶約400人がデモ行進を行ったことが報じられました。【9月18日(火)00:06 時事】
政権側からの回答がなかったため、僧侶達の行動が各地で始まったようです。
ヤンゴンでは午後1時前から、400人余りの僧侶が約2時間にわたり市街地を歩いた。市民らも後に続き、デモ隊は一時、600人近くにまで増えた。【9月18日 朝日】
ヤンゴン近郊のバゴーでも僧侶約800人がデモを実施した。【9月18日 読売】
西部シットウェでも僧侶のデモがあり、軍が催涙ガス弾を発砲。僧侶数人を拘束した。【9月18日 毎日】
ヤンゴンの北80キロのPeguでは、数百人の僧侶が地元の仏塔に向けて穏やかにデモ行進を実施。マンダレー近郊の2都市でも、300人の僧侶が抗議活動に参加したという。
ヤンゴン北のAunglanでは、約90人の僧侶が2時間にわたりデモ行進を行った。【9月19日 AFP】
軍事政権に対する国民の不満を背景に僧侶たちの要求は政治性を強めてきており、両者間の緊張が高まっているとも報じられています。【9月18日 毎日】
国民から敬われている、また、軍も対応に苦慮する僧侶の政府批判が本格化してきたことで、今後市民の抗議行動がさらに拡大する可能性が出てきました。
(エストラダ前大統領 身から出た錆とは言え、前大統領のこんな写真が出回るのはお気の毒な感じはします。
“flickr”より By goldfiem )
フィリピンでは、汚職で拘束されていたエストラダ前大統領に終身刑の判決が出ました。
・・・・・・・・・・・・・・・
フィリピンのジョセフ・エストラダ前大統領(70)が在任中に不正蓄財を行ったとして横領などの罪に問われていた裁判で、公務員犯罪特別裁判所は12日、前大統領に対し終身刑判決を言い渡した。一方、偽証罪については無罪となった。
同判決をうけ、前大統領の弁護団は直ちに控訴した。
前大統領は賄賂や公金横領などで数千万ドルを不正に蓄財したとして逮捕、起訴された。しかし前大統領は、逮捕は前大統領の支持基盤である庶民の支持を切り崩す狙いでグロリア・アロヨ大統領やフィリピンで圧倒的な影響力を持つカトリック教会が仕掛けた政治的な陰謀に基づくものだとして、一貫して無罪を主張してきた。
判決に先立ちエストラダ前大統領は11日、国外退去を条件に無罪とするとしたアロヨ大統領からの司法取引の申し入れを2回とも拒否したことを明らかにした。
公判期間中も豪華宿舎に勾留されていた前大統領は、他の罪状についての公判期間中も在宅起訴が認められている。【9月12日 AFP】
・・・・・・・・・・・・・・・・
「強きをくじき、弱きを助ける」といった役どころの元アクションスターのエストラダ前大統領は、「エラップ」の愛称で大衆に親しまれていました。
“男友達”という意味の言葉を逆さ読みにした言葉とか。
兄弟の多くが医者・法律家になるような中流(フィリピンの平均からすれば比較的裕福な)家庭に生まれ、大学を中退し役者になり成功しました。
30歳で政界に転身、マニラ首都圏のサンファン町長を20年弱つとめます。
その後、87年に上院議員に当選、91年には在比米軍基地の存続反対の先頭に立ったそうです。
92年には副大統領に当選と政界の階段を上ります。
犯罪撲滅、「貧しい人のための政治」を掲げるエストラダ大統領に人々は銀幕スター時代の颯爽としたイメージを重ね、特に貧しい人々の(ということは国民の大半ということですが)圧倒的な支持を得ました。
そして98年にはついに大統領に登りつめました。
大統領就任後は、貧困対策などの実績をあげることなく、愛人問題、取り巻きの株不正取引疑惑、違法とばくの上納金など、スキャンダルばかりが話題になりました。
国民の批判が高まり、早くも2000年の年末には弾劾裁判所が設置されました。
弾劾裁判はTV中継され国民の高い関心を集めました。
国民の心証は“クロ”だったようですが、裁判の構成員を大統領支持派が多く占めたことから、無罪の可能性も出てきました。
これに激高した民衆が大統領辞任を求め、エドサ大聖堂(かつてマルコス大統領を追放したエドサ革命を記念して建てられた大聖堂)前に集まり、 “エドサ革命”(ピープル・パワー)の再現を思わせる事態となりました。
当時副大統領だったアロヨ現大統領(彼女の父親もかつての大統領)やラモス元大統領もこの民衆運動の先頭に立ったそうです。
ここに至り国軍・警察幹部もエストラダを見限り、辞任支持を明らかにし始めます。
エストラダ前大統領は、大統領選挙の繰上げ実施等を提案しましたが、動きだした流れを止めることはできません。
連日の抗議集会のうねりのなか、2001年1月20日エストラダは大統領府を去り、アロヨ副大統領が“政権空白”を理由に大統領就任を宣誓、最高裁長官もこれを承認しました。
この一連の民衆運動を“民主主義実現を願う民意の表れ”と見るか、“刺激に飢えた大衆の餌食になった”と見るか、“反対勢力の扇動に引きずり下ろされた”と見るか、見方はいろいろでしょうが、まあエストラダ前大統領が議論するほどたいした実績もあげていませんので・・・。
その後の公金横領・賄賂に関する裁判については、冒頭記事にあるようにエストラダ前大統領は“陰謀”を主張しています。
確かに、エスタブリッシュメント勢力からすれば、民衆支持でのし上がった前大統領は目障りであり、また、攻撃の材料にはことかかない存在だったのかも。
“政治とカネ”に関する意識・感覚があまりにアバウトだったようにも思えます。
(他の政治家が身奇麗だと言う訳ではありませんが。)
アロヨ大統領は正規の手続きではなく、前述のような“どさくさ”のなかで大統領の座につきましたが、今回の終身刑判決は当時の政権交代を正当化するものとはなります。
しかし一方で、前大統領の人気は貧困者などを中心にまだ根強いものがあるため、“エストラダ支持、反アロヨ”の運動が起こる危険を警戒しているそうです。
マニラ市内では警察の厳重な警戒がしかれたとか。
(エストラダ前大統領の支持者達 “”より By john_javellana)
アロヨ大統領が危惧するのは、彼女の側にも国民の批判をまねく“疑惑”があるからです。
前回2004年の大統領選で、アロヨ大統領自身が中央選管幹部に携帯電話で連絡し、票の不正操作を図ったのではないかとの疑惑があるそうです。
5月の中間選で上院の過半数を確保した野党勢力は有利な情勢を生かし、疑惑に関する新たな審議を要求。再び大統領弾劾を申請する機会をうかがっているとか。【9月12日 毎日】
この野党勢力を束ねるのがエストラダ前大統領で、まだ政治的に力を失った訳ではないようです。
アロヨ大統領にすると、やがて自分の身に民衆運動の矛先が向けられるかもしれない・・・そういう状況のようです。
エストラダ前大統領の人気を示すニュースとしてはこんなものも。
「マニラ首都圏の刑務所の受刑者100人余りが「私が(エストラダ前大統領の)刑期の一部を引き受けます」と申し出る手紙を書いた。多くが、前大統領時代に死刑判決を減刑された受刑者。法的に認められるはずはないが「せめて支援の気持ちを伝えたい」と考えついたという。」【9月17日 朝日】
なにか“やらせ”くさい感じもしますが・・・。
エストラダ前大統領自身は極秘に録音されたメッセージをラジオに流したそうです。
「私はすでに6年4か月と17日間も勾留下に置かれている」「しかし、私のために祈り、支援と愛情をささげてくれるフィリピン国民のおかげで、苦難を乗り越えてきた。国民の赦しはすでに下っているのだ。私自身の身の自由はもはや重要なことではない」と述べ、フィリピン国民の情に訴えたそうです。【9月12日 AFP】
“国民の赦しはすでに下っている”とはどこから来るのか?ともつっこみたくなりますが、今後アロヨ大統領との政治取引で、“恩赦”というのは十分にありえることでしょう。
(大統領就任後初めて軍の閲兵を行うアロヨ大統領 名家のお嬢さん 小柄でかわいらしい感じではありますが・・・
“flickr”より By Patrick Liu )
なお、エストラダ前大統領が掲げた犯罪撲滅は未だ進んでいないようで、「フィリピン最高裁が、職務上、命の危険にさらされる全国の判事や職員に「公用銃」を持たせる検討を始めた。最高裁によると98年以降、殺された判事や職員は14人にのぼっており、安全策を求める声が高まっていた。」【9月15日 朝日】なんて記事もありました。
個人的にも、どうもフィリピン、特にマニラ近郊は治安がよくないイメージ(銃犯罪というより、詐欺の類が多いような)があって、まだ行ったことがありません。偏見かもしれませんが。
(写真はバングラデシュの洪水被災家族 2007.8.3 “flickr”より by santosh.kr10 )
インド北東部、バングラデシュ、ネパールの南アジアで、6月以来の豪雨によりここ数十年で最大規模の洪水が発生、甚大な被害が発生したことを8月9日の当ブログで取り上げました。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070809
今“発生した”と過去形で書いたように、私の意識の中では“過去の出来事”になっていました。
しかし、被害は今なお拡大しているようです。
新たな死者も出続けています。
バングラデシュでは、北部の被害状況は今後改善するとみこまれているものの、同国中部と南部の浸水地域はさらに拡大する可能性があると言われています。【9月16日 AFP】
これまでの死者の累計はビハール州、アッサム州などのインド北東部で2200人以上、バングラデシュでは1042人に上っています。
バングラデシュでは豪雨で増水した川が堤防を破堤し、国土の3分の1が浸水。
農業省発表では、洪水による農作物の被害は少なくとも2億9000万ドル(約330億円)に上っているそうです。
都市基盤や住宅の被害については未だ判明していないとのこと。
バングラデシュ政府は1億5000万ドル(約173億円)の支援を求めています。【9月17日 AFP】
農作物の被害・農地の損壊によって、今後の厳しい食糧不足が懸念されています。
家族を失い、家を失い、農地を失った被災者の苦しみは今始まったばかりです。
そしてその終わりは見えません。
(インド・ビハール州 2007.7.24 周囲を覆いつくす水の中で飲み水を求めてポンプ式の井戸に向かう男性 なんとも皮肉な光景です。
“flickr”より By biharnewspix )
(イラク・アンバル州 2007.4.23 イラク・米英軍等が共同で展開する市民への医療支援で治療される両親を待つイラク少女
“flickr”より By R.Brown )
爆弾テロは日常茶飯事のイラクですが、先日気懸かりな事件がありました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【親米・反アルカイダの部族長爆殺 イラク】
イラク西部アンバル州ラマディで13日、イスラム教スンニ派の有力部族長アブドルサッタール・アブリシャ氏の車列付近で路肩にあった爆弾が爆発。ロイター通信によると、同氏と護衛2人の計3人が死亡した。
アブリシャ氏は昨年、同州の他の部族リーダーらとともに「アンバル救済評議会」を結成。駐留米軍とも協力しながら、国際テロ組織アルカイダ系スンニ派過激派の掃討にあたった。今月3日に同州を電撃訪問したブッシュ米大統領とも会談したばかりだった。
イラク駐留米軍のペトレイアス司令官は10日の米議会証言で、同州の部族がアルカイダとの関係を断つことで治安が大幅に改善したことを「成果」とし、モデルに挙げていた。
しかし、アルカイダ系過激派が、米側が頼みとする部族長らへの攻勢を強め始めたことで、治安が再び悪化し、今後本格化する駐留米軍の撤退に影を落とす可能性がある。 【9月13日 朝日】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アブリシャ氏は、2006年9月にアンバル州の25の部族で結成された組織「アンバル救済評議会」の指導者で、私設民兵組織を創設し、地元警察へ人員を提供するなど、アルカイダの掃討に尽力していたそうです。
ブッシュ米大統領は13日、今後のイラク政策についてテレビ演説し、来年夏までにイラク駐留米軍を約3万人削減し、増派前の約13万人規模に戻す、との方針を表明しています。
その際、首都バグダッドともにアンバル州を例に挙げ、「わずか1年前、両都市は武装勢力の支配下にあった。それが今では学校や市場も再開され、市民に普通の生活が戻っている」と指摘し、3万人の増派による成果を強調しています。
そのアンバル州の治安回復に影響があった人物の死でした。
この事件に関しては、アルカイダ系の「イラク・イスラム国」が14日、ネット上に犯行声明を出しています。
声明では、アブリシャ氏を「ブッシュ率いる十字軍の犬」と呼び、「「イラク・イスラム国家」に属するあなた方の兄弟が、背教者アブドルサッタール・アブリシャを暗殺した」と述べられています。【9月15日 AFP】
(殺される2週間前に現地を視察するブッシュ大統領と会見するアブリシャ氏 “flickr”より By teddyone )
アンバル州と並び、ブッシュ大統領があげた治安回復都市バグダッドでは、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バグダッドにあるシーア派地域サドルシティーで8日、警察署への攻撃に失敗した自爆テロ犯が爆破物を積載した車両を飲食店脇で爆破し、少なくとも15人が死亡する事件が発生した。
事件現場となったサドルシティーは、シーア派の反米指導者ムクタダ・サドル師が拠点とする地域。
スンニ派の武装勢力は、たびたびサドルシティーを攻撃対象にしており、今回の爆破事件は、サドル師の命令により6か月間にわたって武装活動を停止している同師派の民兵組織マフディ軍に対する挑発行為とみられている。【9月9日 AFP】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
活動停止を宣言したマフディ軍、バグダッドの治安が懸念される事件でした。
そのマフディ軍を率いるサドル師は、15日、シーア派政党中心の統一会派「統一イラク同盟(UIA)」からの離脱を表明しました。
今後は、すでにUIAを離脱している同じくシーア派のファディーラ党との連携を計画していると言われています。【9月16日 AFP】
この時期にUIC離脱に踏み切った背景には、サドル師派の強い反対にもかかわらず、米ブッシュ政権が実現を強く求める石油法案などの「親米政策」をマリキ政権が推し進めていることや、同派民兵組織マフディ軍とSIICのバドル軍との確執が限界に達したことなどがあるとみられるとのことです。【9月16日 朝日】
サドル師派とシーア派有力勢力のファディーラ党とは、イラク唯一の石油積み出し港でありイラク経済の生命線ともいえる地域であるバスラで、石油の利権をめぐり近年対立が深刻化しているという報道も以前ありましたが・・・。
サドル師派は既にマリキ首相率いる連立政権から閣僚を引き揚げていましたが、今回与党UIAからも離脱したことで議会運営が更に困難となり、マリキ政権の危機は一層深刻となったとも報じられています。【9月16日 時事】
マリキ政権は、37閣僚のうち、サドル師派、スンニ派、世俗派アラウィ元首相派の計17閣僚が離脱かボイコットで不在という異常事態に陥っています。
イラク武装勢力各派は単に宗派対立というだけでなく、石油利権や対米姿勢などをめぐって“自分達以外はすべて敵”というような対立を続けており、今後の治安維持がブッシュ大統領の期待するように進むのか懸念されます。
“局面の打開”のためには混乱のもとになったブッシュ大統領が退陣して、現実的にこの地域への影響力があるイランも取り込んだイラク支援の国際的枠組みの再構築に取り組むことが必要では。
イラン空爆など言及していては、イラクもイランも収拾しないと思うのですが。
(アクバル州ファルージャ 2007.8.9 作戦中の米軍海兵隊員とイラク子供達 “flickr”より By zerohour1971 )
(チベット亡命政府が置かれるインドのダラムサラ 今年3月中国チベット自治区のラサで起こった警官隊との衝突で行方不明になった14名のための徹夜の行をおこなうラマ教の僧侶
“”より By Sirensongs )
中国からは、最近連続して退役軍人の暴動が報じられています。
香港の人権団体「中国人権民主化運動ニュースセンター」は11日、中国内モンゴル自治区包頭などの職業訓練学校3校で、入学したばかりの退役軍人計2000人が今月3日に同時に騒乱を起こし、警官隊との衝突で計20人が負傷、5人が身柄を拘束された、と伝えた。
3校の退役軍人の間で連絡を取り合ったとみられる。
騒乱は包頭のほか、湖北省武漢と陝西省宝鶏にある鉄道関連の職業訓練学校で発生。退役軍人らは8月末に入学したが、寮の部屋に電気コンセントがないことなどに不満を募らせ、教室や食堂の設備を壊したほか、学校の車に放火するなどしたという。【9月11日 読売】
中国黒竜江省チチハル市の鉄道職業訓練学校で13日夜から14日未明にかけ、退役軍人の学生約1000人が警官隊と衝突し、10人が負傷、5人が拘束された。3日にも内モンゴル自治区の包頭など3都市の訓練学校で退役軍人による騒乱があったばかりで、いずれも待遇への不満が原因とみられている。香港の中国人権民主化運動情報センターが14日明らかにした。
チチハル市鉄道学校で学ぶ退役軍人らは教室や宿舎で物を壊すなどして暴れた末、鉄道駅へ向かおうとして警官隊ともみ合った。その際2人が死亡したとのうわさが流れ、衝突が激化した。【9月14日 時事】
近代化の進む中国ですが、人民解放軍も従来の“人海戦術”的な軍隊から近代的装備への変革を行っているところでしょう。
そのような改革は、別の面で見れば大リストラであり、大量の退役軍人が発生していることが推測されます。
中国経済は急速に伸びてはいますが、解放軍同様近代化の過程にあって大量の余剰人員をリストラする必要に迫られている国営企業など、退役軍人を吸収できずにいることも想像に難くありません。
必要とされる者と、その枠外に置かれた大量の人員、それらは退役軍人であったり農村からの流入者であったりする訳ですが、その摩擦が起こしたものが冒頭で紹介されている騒動でしょう。
特に、退役軍人の場合は、“これまで国家のために頑張ってきた”という自負心があるでしょうから、“なのに、この待遇はなんだ!”という憤りにつながりやすいこともあるかと思います。
先日、TVで中国の土地収用に関して当局に抵抗する人々を半年ほど追ったドキュメンタリーを観ました。
ショッピングセンターのような大規模再開発を決定した地方当局が住民の土地使用権を一方的に破棄し、不十分な補償のもとで強制的に立ち退きを迫る実態、それに抵抗して共同して県を裁判に訴える住民、その訴訟を実行する北京の弁護士事務所、県当局に癒着した地方裁判所の判断、それとはまた異なる上級審の判断等々・・・非常に興味深い番組でした。
中国では経済の発展に伴って、このような土地をめぐるトラブルが急増しており、10月からは一定に私有財産・使用権の保護を定めた物権法が施行されるそうです。
番組で取り上げた県当局の強権的な対応も、この法律施行前に目処をつけようとする対応のようです。
党・政府の地方組織の腐敗・硬直・“意識の遅れ”などは、このような土地をめぐるトラブルだけでなく、様々な分野で散見されるところです。
今の日本の価値基準からすれば、到底容認できないことも多いかと思います。
恐らく、先ほどのドキュメンタリーにしても、「(県当局は)なんて理不尽なことをするんだ。やはり中国では人権が全く無視されている。」という感想が多かったのではと想像します。
それは確かにそうなのですが、ただ考えてみると、中国は清朝末期の列強支配、日本の侵略、革命の内戦とその国土は常に戦場となっていました。
革命後も毛沢東の大躍進政策の失敗で1000万人とも2000万人とも言われる餓死者を出し、更に文化大革命でも内戦状態のような混乱のなかで数百万人とも言われる犠牲者を出しています。
十数億の国民がなんとか“食える”ようになったのはつい最近のことです。
そんな社会ですから、現状を日本や欧米の価値基準に照らせば改めるべきと思えることは多々目につきます。
しかし、つい先ごろまで食うや食わずの生活をしていた社会に多くを要求しても無理なところがあるでしょう。
改めるべきものいくらかは、これからの社会の成熟に伴って解決していくものもあるでしょう。
また、あるものは“共産主義国家”“赤い資本主義”という制度問題に関係する価値観の違いかもしれません。
いずれにしても、そういった歴史的背景・制度的差異を踏まえて現状を評価する必要があるように感じています。
(上海 高層ビルとスラム 途上国ではどこでも目にする光景ではありますが・・・
“flickr”より By rcullmann )
さきほどのドキュメンタリーについては、県当局の強権的な対応はある意味、かつての中国のイメージに重なるものに思え、「まあ、こんなものだろうな・・・」とさほど驚きませんでした。
むしろ意外に思えたのは、県当局を訴えるという行為が結構広範に許されており、上級審では住民サイドの判決も出るような状況にあること、そしてこのようなドキュメンタリー番組の作成が国内で許可されていることでした。
紅衛兵が肩で風を切ってのし歩いていた時代、三角帽子をかぶせられて人々が満座のなかで自己批判を迫られる光景・・・そんなかつての中国のイメージを思うと、「中国も変わったな・・・」という思いがします。変わっていない膨大な部分があるのでしょうが。
来年8月からは“公正な競争を促進する”独占禁止法も施行されるとか。
もっとも、欧米産業団体は歓迎しながらも、外国企業による中国企業の買収・合併に「国家安全保障」審査を義務付ける条項について適用方法が明確でないほか、一部国内産業の保護に重きが置かれているとして、懸念を示しているといわれていますが。【8月31日 ロイター】
今月行われた日米豪首脳会談、インド洋で行われた日本も参加した大規模な軍事演習「Operation Malabar」などに中国は“中国包囲網”の警戒をつのらせていると報じられています。【9月9日 毎日】
日本国内でも「自由と繁栄の弧」構想とかもあるようです。
海を挟んで一衣帯水の地政学的な関係、負の側面も含めて千年、二千年の間の文化・政治・軍事の関係などを考えると、アメリカなど他の国々と日本では、中国に対する対応はおのずと異なってくるのではという気がしています。
安全保障をはじめ、経済・文化など、中国に“良きパートナー”となってもらわないと困るのは日本です。
そのためのアプローチを考えるべきかと思います。
昨日、インドからちょっと変わったニュースが。
・ ・・・・・・・・・
インドとスリランカを隔てる遠浅の海で行われている水路建設をめぐり、ヒンズー教の保守層が浅瀬に点在する砂州は神の化身であるラーマ王の創造物「アダムの橋」だと主張し、工事に反対している。
インド政府は12日、ラーマが実在した証拠はないとの見解を表明、保守派の猛反発を買った。【9月13日 時事】
・ ・・・・・・・・・・
地図左上隅がインドのタミル・ナードゥ州、楕円で囲まれた砂州が“アダムの橋”と呼ばれる地域です。
東南アジア共通文化の代表が古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」。
インド、スリランカ、タイ、インドネシアなどの国々で、絵画、彫刻、建築、演劇、映画、ドラマ、音楽、舞踏などの題材とされていますので、これら地域の旅行中必ず何らかの形で接する機会があります。
ランカ島(現在のスリランカ)に住む魔王にさらわれたシータ姫を救い出すため、英雄ラーマ王子が猿軍の王らとともにランカ島へと橋を作り、魔王を滅ぼすことに成功、シータ姫を連れて故国へ戻ってめでたく王位に就く、しかし、ラーマ王はシータ姫の貞操を疑い・・・という物語です。
そのランカ島に渡るために作った“アダムの橋”がこの地域に残る砂州だと言うわけです。
(写真は文章と何の関連もありませんが、スリランカ関連の写真を見ていて気に入ったので。お姉さんと弟でしょうか。 少しブレているのが残念。
“flickr”より By jadhu )
インド政府の“ラーマが実在した証拠はないとの見解”も部外者にはユーモラスですが、立場によっては許されざる暴言になるのでしょう。
この砂州が“アダムの橋”かどうか、ここをラーマ王が猿のハヌマン等と共に渡ってスリランカに攻め入ったかどうかは定かではありませんが、インド側のタミル・ナードゥ州に多く居住するタミル人がスリランカへも移住して多く暮していることは事実です。
スリランカで多数派を占めるシンハラ人(仏教)に対し、少数派に置かれた北部・東部に多く居住するタミル人(ヒンドゥー)は、スリランカのタミル人居住地域とインドのタミル・ナードゥ州を併合した“統一タミル人国家”を主張して運動を起こしました。
この運動の過程で、過激化したタミル人青年達で組織されたのが“タミル・イーラム解放のトラ”(LTTE)です。
LTTEとスリランカ政府の泥沼の紛争、LTTEの自爆テロ戦術・少年兵問題などは、6月24日の当ブログでも取り上げたところです。
・ ・・・・・・・・・・・
スリランカ国防省によると、政府軍は2日までに、北西部マンナール県にある反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」支配地で住民解放を名目に、LTTEの掃討作戦を開始した。作戦に伴い、住民ら計15人が死亡した。政府軍は7月に東部一帯を制圧しLTTE部隊を駆逐。10月までに北部一帯のLTTE軍事拠点に対する壊滅作戦を始めるとの観測が流れていたが、今回の作戦はその前哨戦とみられている。【9月2日 共同】
・・・・・・・・・・・・・
2002年の停戦合意が2006年7月崩壊して、戦闘が再開していました。
政府軍がトリンコマリーなど東部を押えて、これから北部(“アダムの橋”の付け根のマンナールやジャフナなど)の戦線が主になるようです。
もっとも“スリランカ海軍は10日夜、同国南東部沿岸沖で反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の武器密輸船3隻を撃沈した。”【9月11日 時事】といった記事もありますので、東部が完全に政府軍のコントロール下にあるとも言えないようです。
そんな戦闘が続くスリランカからこんなニュースも。
・ ・・・・・・・・・・・・
ペット犬の提供呼び掛け=治安回復へ奇策―スリランカ
内戦が続くスリランカの警察当局は、治安の回復に向け、国民にペットの犬の提供を呼び掛ける広告を新聞に掲載した。
ジャーマン・シェパードやラブラドル・レトリーバー、ロットワイラー、ダルメシアン、コッカースパニエル、ドーベルマン・ピンシェルなら大歓迎という。
広告は「あなたのペットを英雄にしませんか。テロを阻止し、スリランカを変革するのに役立ててください」と訴えている。
対象となるのは、生後6カ月から2歳までの犬で、血統書付きに限られる。
提供された犬は、爆弾や地雷、麻薬の探知や、犯人逮捕の訓練を施される。警察への提供期間は最大8年で、その後は元の所有者に戻される。その際に、「退職金」が支払われるかどうかは不明。【9月13日 AFP】
・ ・・・・・・・・・・・・・
血統書付きでないとダメみたいですが、雑種の野犬は使えないのでしょうか?
お寺の境内で、暑さのなか暇そうにグッタリ寝ている犬を多く見かけたような気がします。
シンハラ人とタミル人の間の不信感、恐怖、憎悪は絶望的なほど大きなものがありますが、さりとて今後LTTEを制圧したにしても、暴力の連鎖を絶ち、テロを根絶するには長い時間をかけた“融和”しか途はありません。
相手に譲る度量、相手の立場に思いをいたす想像力、公的・私的な問題の原因を“民族の違い”にすりかえない良識などが求められると思うのですが・・・。
(北部タミル人居住区の中心都市ジャフナの孤児院。戦いの影が強くなり閉鎖されたそうです。“flickr”より By jadhu )
(今年釣りに興じるプーチン大統領の肉体美がロシア国内で評判になったそうです。彼のカリスマの一端でしょう。
“flickr”より By AccuraCast )
昨日は安倍首相辞任のニュースに釘付けになってしまいました。
政策的には、小泉前首相がぶち壊した中国・韓国との関係、特に日中関係を(自分の靖国等信条を制御して)修復したこと以外には、国内・国外いずれでもあまり共感するところはありません。
「無責任」「総理としての資質」云々はみなさんがおっしゃるとおりでしょう。
ただ、個人的には、自分自身がいままで壁にぶつかったとき1度ならず“投げ出して”生きてきたためでしょうが、今回の件を責める気持ちにはなれません。
恐らく、心のキャパシティを超えた状況で、周りの全てのことが自分には到底出来ないような高い壁に見える・・・そんな状態だったのではないでしょうか。
常々、「どうして首相なんて厳しいストレスにさらされる仕事をやりたがるのだろうか?」と不思議でならず、リクルート事件で袋叩きにあう竹下元首相や、“オットセイ”だなんだと言われる森元首相などが、それでも毎日職務を続けるさまを見て、その尋常ならざる神経に驚嘆していました。
安倍首相にはそのような“尋常ならざる”神経、鈍感力がなかったということでしょう。
痛ましいかぎりです。
“リーダーは同情されるようではダメだ!”・・・まあ、確かにそうですが・・・。
さて、昨日はもう1件、首相辞任のニュースがありました。
・・・・・・・・・・・・・・・
ロシアのプーチン大統領は12日、フラトコフ首相の辞任願いを受けて、内閣総辞職の大統領令に署名した。その後、後任の首相候補に連邦財務監督局のビクトル・ズブコフ局長(65)を指名し、下院に提案した。プーチン大統領のサンクトペテルブルク市勤務時代の部下だが、ほぼ無名の存在。大方の予想を覆す人事の真意を巡り、憶測が飛び交っている。
ロシアでは12月の下院選、来年3月の大統領選に向けて、プーチン大統領の後継候補が近く首相に指名されるとの見方が強まっていた。
12日付のロシア紙ベドモスチは大統領府筋の話として、大統領最側近のイワノフ第1副首相が近く首相に指名されるとの観測を伝えていた。【9月12日 朝日】
・ ・・・・・・・・・・・・・・
ロシアの憲法では大統領の三選は禁じられていますので、プーチン大統領は今期限りとなります。
今の彼の国内での人気、議会での勢力からすれば、この規定を変更することも可能ではありますが、現実にはそのような無理はしないだろうということで、後継者が注目されていました。
後継者候補としては、記事にもあるイワノフ第1副首相(プーチン同様KGB出身で、KGBなど治安当局や軍の出身者を中心とする「シロヴィキ」と呼ばれるグループの代表格)のほか、同じく第一副首相のメドヴェージェフ(巨大ガス企業ガスプロムの会長を経験、改革派系経済エリートの利益を代表するとも言われる)がしばしば挙げられるようです。
そんななかで今回“無名の”ズブコフが首相に抜擢され、いろんな憶測を呼んでいるとのことです。
フラトコフ現首相もほぼ無名の状態からのプーチンの抜擢だったようですが、ズブコフにしてもフラトコフにしても、政治的な野心がなくプーチンにひたすら忠実という点では似たような存在です。
そこで今後の予想ですが、ロシアのことなど全く知りませんので“初めて見る競馬の馬券を名前・馬番の好き嫌いで買う”ような気楽さで書き流してみます。
ビギナーズラックがあるかも。
抜擢されたズブコフについて“来年5月に退陣するプーチン大統領の最有力後継候補となるとみられる。”【読売】といった報道もありましたが、どうでしょうか?
年末・年初の下院選・大統領選挙を取り仕切る“選挙管理内閣”という性格ではないでしょうか?
しかし、それだけなら現在のフラトコフ首相を敢えて辞めさせる必要もないような気もします。
よく言われているように、まだプーチン大統領は54歳。
おそらく、しばらく院政をしきながら“休養”した後、現職に復帰するつもりでしょう。
“強いロシア”を復活させたプーチンを支持する多くの国民もそれを歓迎するでしょう。
そういう今後を考えると、あまり“本格的な政権”が出来ることは望んでいないし、自分の言うとおりに動いてくれる人物でいいとプーチンは考えているのでは。
言い換えれば、“自分の言うことさえ聞いていれば間違いはない”と自信を持っているのでは。
そこで結論。
今回首相を辞任してフリーとなったフラトコフ(首相の経験・実績もあり、国民の人気もなかなか高いとか。何より政治的野心がなくプーチンに忠実)を後継者に指名して、暫定的に1期勤めさせる。
その後、次の次でプーチン再登場・・・ということでは?
それでイワノフやメドヴェージェフが了承するか?
了承しなけば彼らの首を切る。(むしろその展開を望んでいる・・・「ご苦労さん 君達の役目は終わった」)
いい加減な戯言はそれぐらいにして、プーチン大統領が着々と彼を中心とする中央集権体制を作り上げていることは間違いありません。
ロシア全土を七つの管区に分け、それぞれに大統領全権代表を派遣して、モスクワからにらみをきかせる体制を築きあげました。
地方知事が自動的に上院議員になる制度を廃止するなど、地方の権限を弱める政策を打ち出しました。
オセチアの学校占拠事件の直後には、共和国大統領、州知事など89の首長の直接選挙廃止して大統領の任命制にするという改革案を打ち出しました。
チェチェン関係の続発するテロをむしろ好機として、権力基盤を強化してきたその手腕は卓抜したものがあります。
プーチンの強権的匂いは個人的には好きになれないですが(何より陰険を絵に描いたような風貌が・・・)、新興財閥の跋扈、地方政府の腐敗といった民主化の混乱を収めるためには必要な手腕だったのでしょう。
大統領選挙の前に行われる下院選挙は磐石の構え。
好調な経済成長や社会的安定を背景に目立った争点はなく、「統一ロシア」と「公正なロシア」の2与党による議会支配が一層進む公算が大きいとされています。
「統一ロシア」は下院議席の3分の2を握る巨大与党。
明確な綱領や政策は持たず、プーチン政権と一体視されている“プーチン党”です。
地方自治体の知事らを同党の集票マシンとして動員しており、圧倒的な組織力で圧勝が確実視されるとか。
更に用意周到で、1党支配の批判をかわすため、昨年3党を合同して「公正なロシア」を結成。
「統一ロシア」に対する不満票を吸収する“官製野党”のようです。
第2党になることを狙っているとか。
こうした官製2大政党によって、プーチン政権は計7~8割の議席を支配できるとの観測も出ているそうです。
また、昨年の選挙法改正で小選挙区を廃止したことで、プーチン政権を鋭く批判してきた改革派野党ヤブロコなど小政党は淘汰(とうた)される公算が大きく、議会の翼賛体制化は完成の域に近づくとみられています。【9月2日 時事】
ここまで徹底すると、やはり“プーチン帝国”と揶揄したくもなりますが、「それがどうした。強いものが勝つんだ。」と言われるだけでしょう。
(今年4月行われたデモを制圧する警官隊。 ロシアの強権体質を表すものとしてマスメディアで批判されています。
そうした見方を「ステレオタイプな偏見だ。デモ自体が無許可で行われたもので、かつ、乱暴されるような演技・演出等が施されたものだ。マスメディアを使った反プーチン勢力の策略だ」との意見もあります。
“flickr”より By vitto blog )
さて、安倍総理の後任は?
プーチンの後継者とは違って、多少は事情が見えるだけに、「あの馬の性格が嫌いだ」とか「あの馬は遅いよ!カメだよ!」とかいろいろあって、気楽に馬券が買えません。
そこでパス。