(ガザ地区南部のラファで、輸出用に栽培されたカーネーションを食べるヒツジたち 【4月26日 AFP】http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2940951/10641365)
イスラエル軍は28日、パレスチナ自治区ガザ南部の空爆しました。
武装勢力イスラム聖戦の軍事訓練施設などを対象とした攻撃で、前日のガザからイスラエル南部へのロケット弾の着弾に対する報復とされています。
昨年11月の停戦合意以降、2度目のガザ空爆であり、イスラエル・パレスチナ関係は再び悪化が懸念されています。【4月29日 朝日より】
****ガザ空爆、武装勢力殺害=停戦後初めて―イスラエル軍*****
イスラエル軍は30日、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ北部を空爆し、武装勢力のメンバー1人を殺害した。イスラエル放送が伝えた。
同軍は、このメンバーが17日の南部エイラートへのロケット弾攻撃に関与したと主張している。2012年11月のハマスとイスラエルの軍事衝突の停戦合意以降、空爆による暗殺作戦は初めて。
停戦合意には「暗殺を含む敵対的な行動の停止」が含まれているが、ネタニヤフ首相は28日、「ロケット弾攻撃には報復する」と警告していた。停戦が完全に崩壊する可能性もある。【4月30日 時事】
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一進一退を繰り返し、なかなか進展しないパレスチナ問題ですが、下記の短い記事にもそうした情勢が反映されています。
*****輸出できない花、今年も家畜の餌に パレスチナ・ガザ地区****
パレスチナ自治区ガザ地区では今年も、輸出用に栽培された花が家畜の餌にされている。
ガザ地区では欧州市場向けの花の栽培が盛んだが、イスラム原理主義組織ハマスが同地区の実権を掌握して以来、イスラエルが禁輸措置を敷いているため、輸出できないのだ。【4月26日 AFP】
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“輸出できないとわかっている花をなぜ栽培するのだろうか?”と不思議に思ったのですが、“昨年10月に、イスラエルはガザ地区から、欧州向けの花やスパイスの輸出禁止を解除した。花卉農家やミント、バジル農家は、現金収入が得られると期待した。しかし、ガザ地区からロケット弾がイスラエルに撃ち込まれたことにより、イスラエル政府は再び4月8日に禁輸制裁をガザ地区に課した。”【4月29日 La Golondrina http://blog.goo.ne.jp/piita97/e/f8dd3e89465d7b9c91dd235c7cffb44e】といった事情があるようです。
関係改善で栽培に踏み切っても、すぐに関係悪化で輸出できなくなくなるということです。
気の滅入るのような話ばかりですが、少し将来に期待できる?ような話題も。
****パレスチナ・ガザ地区:「敵」の言葉学ぶ子供たち****
パレスチナ自治区ガザ地区の一部の学校で、イスラエルの言語であるヘブライ語の授業が行われている。ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスが昨年秋から始めた「試験的プログラム」だが、規模を拡大する方針だという。
「敵の考え方を知り、ガザを守るため」と教諭らは教えるが、生徒たちは授業を楽しみ、「将来の夢」さえ抱いている。
ガザ市内にあるハサン・サラマ校。「なぜ私たちはヘブライ語を学ぶのでしょう」。9年生(日本の中学3年に相当)のクラスで教諭がヘブライ語で問いかけると、女子生徒たちが声をそろえてヘブライ語で答えた。「敵を知り、私たちの国を敵から守るためです。イスラエルは私たちの土地を占領しても、私たち(人間)を占領することはできない」
ガザ地区は1967年の第3次中東戦争でイスラエルに占領され、ヘブライ語教育が義務付けられた。だが93年のパレスチナ暫定自治宣言(オスロ合意)で大半がパレスチナ自治区の管理下となり、公立校でのヘブライ語授業は廃止された。
ただ、当時は100万人以上の住民が日帰りでイスラエルで働き、多くがヘブライ語を話した。しかしイスラエルによる07年のガザ封鎖措置以降、ガザを一度も出たことのない市民が増え、ヘブライ語を話す人は現在、約5万人にまで減少しているという。
ハマスのアンナジャー国際広報部長によると、ヘブライ語授業は、現在ガザにある公立校400校のうち、16校の9年生全員と10年生の一部希望者に試験的に実施している。「必要性と需要を考えて、フランス語からヘブライ語への移行を試みている」という。
投石などを理由に、生徒がイスラエル治安当局に逮捕されることも多く、「権利を主張する必要がある」。ガザではイスラエルのテレビなども受信可能で、「彼らが我々との戦争をどう報じているかを知ることも重要だ」と話す。教育省の授業プログラム部門を統括するアナハラ代表は、「生徒の関心が強いので、対象の学校や学年の拡大を検討中だ」と話した。【4月30日 毎日】
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「敵を知り、私たちの国を敵から守るため」とか、逮捕時の権利主張のためとか、厳しい現実を反映した措置のようですが、少なくとも“敵対する相手のことは一切否定する”といった頑なな姿勢からは1歩抜け出しています。
また、イスラエルに包囲された形のガザ地区にとっては、ヘブライ語はイスラエルとの関係が改善すれば経済活動において必要となる知識でしょう。
そうした「期待」も込められているのではないでしょうか。