健闘の祝宴♪…かも。

　テディちゃ、またいただきものをしちゃいましたよ。
　『クリーム大福』ですって！

「ふァいッ！　おいしィでスねッ、ネーさッ！　はむはむッ♪」

　お月見団子を連想させる和のおやつ、ですね。
　ふんわりやわらかい大福お餅の中には、カスタードクリーム！
　このクリームが、バニラビーンズ入りの本格派なんです。
　美味しいわよね～。

「ふァいッ！　んまんまッ、はむッ、はむッ♪」

　そういえばね、箱根駅伝予選会の結果が発表されたんですよ。
　予選通過第一位は、城西大学さん！

「ふァいッ！　はむむ～ッ♪」

　二位には東京農大さん、三位には上武大さん、
　さらに、日本体育大さん、拓殖大さん、神奈川大さん、東海大さん、
　専修大さん、明治大さん、大東文化大さん、国士舘大さん、
　順天堂大さん、青山学院大さんと続きます。

　皆さま、箱根への切符獲得、おめでとうございますー！

「ふァ～いッ！　はむむむッ♪」

　……テディちゃ、全然聞いていませんね？

「ふァいッ！　はむはむッ♪」

　むっ！

「……むゥ？」　

西口公園繁盛記。

「あァ～、かわいそゥでスゥ……」

　おやや？　ずいぶん同情的　ですね、テディちゃ。

「だッてェ、ネーさ、
　こんかいィもォ、まことおにいさんッ、おォいそがしィ、なのでス！」

　ふうむむ。忙しいことはいいことだと言う人もいますが、
　マコトくんが忙しいのは困ったことですね。
　何故にそれほど忙しいのか、ちょっと事情を探ってみましょう。
　はい、本日ご紹介いたします、この物語へ、こっそり聞き耳！



　　　　　　　　　　――　非正規レジスタンス　――


　
　著者は石田衣良さん、’０８年７月に発行されました。
　副題に『池袋ウエストゲートパークⅧ』とありますように、
　ＩＷＧＰシリーズの第八作目です。

「まことおに～さ～んッ、おげんきィでスかァ～」

　風邪も引かず、でも寝不足気味なマコトくん、
　今日もスニーカーの靴底をすり減らし、
　健気にトラブルシュート中です。
　ええ、一銭にもならないこのシゴトですが、今回は……ああ、怖ろしい！
　失敗する訳には行かないんです、絶対に。

「ほぺッ？　どしてッ？」

　依頼主は……『おふくろ』。
　そうです。マコトくんの、お母さんです。
　お母さんに頼まれたトラブルの始末を……もしも、しくじったら……。

「ひィィッ！　それはァ、こわいィでスゥッ！！」

　自分の不運を呪いつつ、マコトくん、調査にかかりました。
　警戒などしていないのでしょう、
　目標の人物は簡単に見つけ出せちゃいましたよ。
　シンジという、まあチンピラみたいなヤツなんですが。

「きッとォ、わるものォでス！」

　マコトくんのお母さんも、そう思っていたのでした。
　シングルマザーのユイちゃんを食い物にする、悪いやつだ、と。
　お母さんの予想は……外れていなかったようです。
　長年の友人であるサルくんに確認して貰ったところ、
　あの男の素性は……やっぱり。
　
　シンジの正体をきっちり暴いてみせて、
　お仕事はめでたくも無事に完了、とは、行きません。
　お母さんは、マコトくんの一歩先をゆく解決法を、
　苦しむユイちゃんに教えます。
　マコトくんすら思いつかなかった、
　いえ、マコトくんの記憶の奥に淡く刻まれていたのかもしれない、
　或る解決法とは――

　《キング》タカシくんは登場しませんが
　涙を誘う冒頭作『千川フォールアウト・マザー』、
　ハードボイルド色強い『池袋クリンナップス』、
　キャラが冴える『定年ブルドッグ』、
　表題作『非正規レジスタンス』の四編が収録されています。
　ＢＧＭは、バッハ、モーツァルト、ショスタコービッチ。

「ふァ～、こてんッ、こてんッ」（←なぜか転んでみせたりしてます）

　常に新作が待ち遠しい、ＩＷＧＰシリーズ、
　ミステリ好きさんに、
　王道エンタな物語が好きな御方に、
　また、泣けちゃうお話を探している御方にも！
　お奨めです♪

「まことおに～さ～んッ、
　たまにはァ、おんせんとかでェ、ゆッくり～してねッ？！」

　……無理、でしょうね、テディちゃ。

「えェ～ッ？　なんでなんでッ」

　何故って、ほら、新しい依頼人さんが、西一番街の果物屋さんへ……。

「とほほゥ……」