テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

数えれば。また数えれば。……足りていますか?

2010-05-24 23:14:25 | ブックス
 雨粒の向こうに、いちまーい、にまーい……
 と細い声が聞こえるような気がする東京・多摩地方から、
 こんにちは、ネーさです。

「こんにちわァ、テディちゃでスッ!」
「がるーる!」(←訳:虎でーす!)
「ネーさッ、いちまいィにまいィ、ッてェ、なにィでスかッ?」

 あーら、テディちゃ、御存知ないの?
 それはね……いえ、下手な説明をするよりも、
 この御本を読んでいただきましょう!
 さあ、活字マニアの皆さまもご一緒に、こちらを、どうぞ~!


 
                 ―― 数えずの井戸 ――


 
 著者は京極夏彦さん、’10年1月に発行されました。
 井戸の端で、数えるもの……しかも著者は京極さん!とくれば、
 ええ、もうお分かりですね、
 あの怪談が、いま甦るー!!

「かッかいだんッ!! ひええええェ~ッ!」
「ぐるがるるるっ?」(←訳:恐い御話だねっ?)
「こッ、こここッ、こわいィ~!」

 日本の怪談多々あれど、
 最も有名な怪談の一つが『番町皿屋敷』。
 この古典を京極さんは
 人気シリーズ『巷説百物語』世界へ転生せしめました。

 番町(ばんちょう)の、とある旗本屋敷では、つい最近、
 当主さまが変わったばかり。
 先代・鉄山(てつざん)さんの後継者として
 屋敷の主、青山家の当主となったのは……
 播磨(はりま)さん、でした。

 播磨さん、なんだか不思議なお人柄です。
 剣の上手で、
 学問も修め、
 容貌も悪くはないのに、
 親戚たちが勧める縁談はみな断ってしまうし、
 旗本といっても無役に甘んじたまま、
 いっこう《欲》というものを感じさせぬ、その様子は
 ……お江戸の引きこもりさん?

「ううゥッ、なぞめいていてェ、こわいィ~!」
「ぐるるるぐる!」(←訳:)

 けれど、風さえも滞るような、
 その青山屋敷に。
 天空から降り落ちる雨粒のように、
 やって来たものがありました。

 その少女の名は、菊。
 
 菊さんの存在が、
 播磨さんの御屋敷の、そこかしこに
 罅(ひび)を、亀裂を呼び込みます。

 ひたひたと、音がするのは井戸の底……?
 昏い、漆黒のその奥底に潜んでいるのは、
 ぜんたい、どのような因果応報の物語であることか……?

「わううゥッ、おえどのォ、かいだんッ、こわいィ~!」
「ぐるるがるー!」(←訳:空気が怖いー!)

 電子書籍に関して何かと話題の京極さんですが、
 この御本では、凝りに凝った装丁やデザインを見せて下さいます!
 挿絵は、巷説シリーズにぴったり!の北斎さん!
 分厚~い、重た~い御本ですが、
 《紙》の書籍の素晴らしさを堪能できますよ!
 ミステリ好きさん、
 歴史好きさん、
 江戸モノが好きな御方には、特におすすめ~♪

「あうゥッ、おまもりをォ、にぎりしめてェ、よみましょゥッ!」
「ぐるーるがるるーる……」(←訳:風もないのに皿屋敷の柳が揺れるのは……)
「ひゃあァッ!
 ほんとにィ、ゆれてるゥッ!」(←後をも見ず、退散!!)

コメント
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