今年も8月15日がやってきました。
こんにちは、ネーさです。
「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「ぐるる!」(←訳:虎です!)
思い起こせば一年前……
この特別な日に読むべき一冊として
北杜夫さんの『楡家の人びと』を御紹介いたしました。
では、今年は?
2010年のこの日のために選んだ一冊は……
こちらです!
―― 忙しい蜜月旅行 ――
著者はドロシー・L・セイヤーズさん、原著は1937年に発行されました。
原題は『BUSMAN’S HONEYMOON』、
貴族探偵ピーター・ウィムジー卿のシリーズとしては
最後の長編小説になる作品です。
「きぞくたんていィさんッ!」
「ぐるるがるーる?」(←訳:何故これが特別な一冊なの?)
ミシテリマニアさん以外には
あまり知られていないことだと思われますが、
実はピーター卿、
深刻な戦争後遺症を抱えているんです。
第十五代デンヴァー伯爵の次男、
ピーター・デス・ブレドン氏こと
ウィムジー卿――
オックスフォード大学を優秀な成績で卒業したピーター卿は、
折から勃発した世界大戦に出征しました。
「えッとォ、それはァ~」
「ぐるるがる?」(←訳:第一次世界大戦?)
ええ、そうです。
20世紀に起こった世界大戦の、
欧州が主戦場となった悲惨な戦乱でした。
戦車をはじめとする殺戮兵器・機械兵器の登場、
怖ろしい毒ガスが実用化され、
大型の爆弾が人間に対して仕掛けられる……
1918年、
ピーター卿は爆弾に吹き飛ばされ、
土砂の中に埋められました。
助け出されはしたものの、
そののち約2年間に渡り、
ひどい神経症が彼を悩ませることとなりました。
……2年?
たった2年で、ピーター卿の苦しみは本当に癒えたのでしょうか?
「うむゥ~…」
「ぐるるがるぐる~…」(←訳:忘れられないことも~…)
「あるのでスよゥ~…」
最後の長編作品となったこの御本『忙しい蜜月旅行』では、
他のピーター卿推理譚とはやや異なる、
哀調が隠されています。
念願の結婚式!
花嫁さんを連れて、とっておきのワインも持って、
楽しきハネムーン!のはずが……
ピーター卿、またまたしても事件に遭遇してしまいました。
捜査のはてに、
彼を待ち受けるものは――
ピーター卿、
そして我らがJ・H・ワトソン博士、
またセル袴の裾をひるがえして走る金田一さんも、
戦争に苦しめられた探偵さんでした。
どうか、と願わずにはおれません。
戦争で、苦しむひと、悲しむひとが、
もうこれ以上増えませんように。
世界を損なうばかり、
傷つけるばかりの無意味な戦いは、
お話の中だけで充分です。
どうか、もう、新たな戦争がどこにも、起きませんように。
「せかいじゅうにィ!」
「がるがるぐうるる!!」(←訳:NO MORE WAR!!)
こんにちは、ネーさです。
「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「ぐるる!」(←訳:虎です!)
思い起こせば一年前……
この特別な日に読むべき一冊として
北杜夫さんの『楡家の人びと』を御紹介いたしました。
では、今年は?
2010年のこの日のために選んだ一冊は……
こちらです!
―― 忙しい蜜月旅行 ――
著者はドロシー・L・セイヤーズさん、原著は1937年に発行されました。
原題は『BUSMAN’S HONEYMOON』、
貴族探偵ピーター・ウィムジー卿のシリーズとしては
最後の長編小説になる作品です。
「きぞくたんていィさんッ!」
「ぐるるがるーる?」(←訳:何故これが特別な一冊なの?)
ミシテリマニアさん以外には
あまり知られていないことだと思われますが、
実はピーター卿、
深刻な戦争後遺症を抱えているんです。
第十五代デンヴァー伯爵の次男、
ピーター・デス・ブレドン氏こと
ウィムジー卿――
オックスフォード大学を優秀な成績で卒業したピーター卿は、
折から勃発した世界大戦に出征しました。
「えッとォ、それはァ~」
「ぐるるがる?」(←訳:第一次世界大戦?)
ええ、そうです。
20世紀に起こった世界大戦の、
欧州が主戦場となった悲惨な戦乱でした。
戦車をはじめとする殺戮兵器・機械兵器の登場、
怖ろしい毒ガスが実用化され、
大型の爆弾が人間に対して仕掛けられる……
1918年、
ピーター卿は爆弾に吹き飛ばされ、
土砂の中に埋められました。
助け出されはしたものの、
そののち約2年間に渡り、
ひどい神経症が彼を悩ませることとなりました。
……2年?
たった2年で、ピーター卿の苦しみは本当に癒えたのでしょうか?
「うむゥ~…」
「ぐるるがるぐる~…」(←訳:忘れられないことも~…)
「あるのでスよゥ~…」
最後の長編作品となったこの御本『忙しい蜜月旅行』では、
他のピーター卿推理譚とはやや異なる、
哀調が隠されています。
念願の結婚式!
花嫁さんを連れて、とっておきのワインも持って、
楽しきハネムーン!のはずが……
ピーター卿、またまたしても事件に遭遇してしまいました。
捜査のはてに、
彼を待ち受けるものは――
ピーター卿、
そして我らがJ・H・ワトソン博士、
またセル袴の裾をひるがえして走る金田一さんも、
戦争に苦しめられた探偵さんでした。
どうか、と願わずにはおれません。
戦争で、苦しむひと、悲しむひとが、
もうこれ以上増えませんように。
世界を損なうばかり、
傷つけるばかりの無意味な戦いは、
お話の中だけで充分です。
どうか、もう、新たな戦争がどこにも、起きませんように。
「せかいじゅうにィ!」
「がるがるぐうるる!!」(←訳:NO MORE WAR!!)