テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

パイオニア、ここにあり。

2011-09-11 23:12:26 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日は9月11日……
 あの日から、六か月――半年が過ぎました……。

「こんにちわゥ、テディちゃでス!」
「ぐるる!がるぐるがる!」(←訳:虎です!もう6ヶ月!)

 震災、そして、つい先日の台風による災害……
 私たちが、こうべを深く垂れ、祈りを捧げなければならぬ日々は
 まだまだ続くようです……。
 被害に遭われた方々に、あらためて心より御見舞い申し上げますとともに、
 一日も早い復旧復興を、
 また、皆さま方の傷が癒える日の訪れを願っております。

 本日ご紹介いたしますのは、
 《癒やす》《治す》という行為に
 真正面から、全力をもって取り組んだ或る人物のものがたり、です。
 或いは《医療のパイオニア》と呼ぶべきそのひととは――
 さあ、こちらを、どうぞ!

  


 
              ―― 医の旅路はるか ――


 
 著者は服部忠弘さん、2011年6月に発行されました。
 副題に『曲直瀬道三とその師 田代三喜 篇』とあります。
 曲直瀬道三(まなせ・どうざん)、
 田代三喜(たしろ・さんき)、と聞いても、たぶん大概の方々は……

「えッとォ? だれェでスかァ??」
「ぐるがるがるるる~?」(←訳:知らない名前だなあ~?)

 といった反応をするのが、ごく普通でしょうね。
 ただ、一部の歴史マニアさんは、
 曲直瀬道三さんの名を、お聞き及びかもしれません。

 織田、豊臣、徳川――三人の天下人に仕えたお医者さん、であると。

「ほほゥ、どくたーでスかッ!」
「がるぐるぐるるるがるがるる!」(←訳:きっと偉いお医者さんなんだね!)

 偉い、というよりは、
 大したものだ、と感服感心してしまうお医者さんが、
 田代さんと曲直瀬さん、でした。

 織田信長さんたちの時代、それはつまり戦国時代、でもあるわけです。
 生き延びる、
 普通に生きる、
 そんなことが非常に難しかった時代に、
 田代さんは危険を顧みず大陸に渡り、
 明(みん)の最新医学知識を持ち帰りました。
 その知識を受け継ぎ、
 さらに発展させていったのが曲直瀬さん、なんです。

 室町時代後期の当時、
 お医者さんは『医師(くすし)』と呼ばれ、
 医療行為に携わっていました。
 でも、
 『お医者さんに診てもらえる』
 そんな贅沢ができるひとは、
 貴族さまか、余っ程のお金持ちに限られていたのです。

 田代医師、そして曲直瀬医師は、
 医療から“壁”を取り払おうとしました。

「おおッ、さんせいィッ!」
「がるる!」(←訳:良いね!)

 昔ながらの習わし通り、皇族様方を診察して、
 しかし、お武家さんたちも診察して、
 商人さんたち、
 さらには一般庶民さんたちも診察する――

 権力者に振り回されたり、
 戦禍から必死に逃れつつも、
 険しい坂道を登るようにして、
 近代につながる医術、医療を開拓してゆく医師さんたち。

 この御本は、小説つまりフィクションではありますけれど、
 文章の向こうに、
 病という災厄から人を救おうとした黎明期のドクターの輪郭が
 浮かび上がってくるかのようです。
 
「たよりになるゥ、おいしゃさんッ!」
「ぐるるがるるーがるぐるる!」(←訳:いてくれると、心強いよね!)

 あまり知られていない《医》の匠の年代記、
 日本史マニアさんは、ぜひ!
 震災の日、いのちを救おう!と尽力したすべての人々に想い馳せつつ……。
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする