テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

アートかわら版(ルネサンス編?)。

2011-09-15 23:25:55 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、9月なのに、夏バテになっちゃっていませんか?
 私ネーさは、この夏もう何度目か分からない夏バテです!

「こんにちわゥ、テディちゃでスゥ!」
「がるる!がうるるるぐるぐる!」(←訳:虎です!みんなバテバテかも!)

 涼しい秋、芸術の秋を呼ぶために、
 本日の読書タイムは……芸術界の超大御所に登場願うことといたしましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  


 
            ―― ルネサンス画人伝 ――


 
 著者はジョルジョ・ヴァザーリさん、原著は1550年に、
 日本語訳版は第一版が1982年に、画像の新装版は2009年11月に発行されました。
 訳者は、平川佑弘さん、小谷年司さん、田中英道さん、
 “近代的な美術評論はここから始まった!”
 と申し上げても過言ではない、
 伝説の名著が、この御本ですー!

「むむッ! おもいィッ!」
「ぐるがる!」(←訳:分厚いっ!)

 ええ、この御本、 重量級、ですわね。
 でも、それも当然だと言えましょう。
 ジョルジョ・ヴァザーリさん(1511~1574)の著作
 『画家・彫刻家・建築家列伝』は
 しつこいようですが、ルネサンス期の芸術家さんを語る際には必須の、
 美術の教科書、美術史の基礎教本であって、
 16世紀の美術を評論する上では欠かせない書物です。
 この御本は、『画人伝』の題名通り、
 画家さんに関する評伝を集めたものなのですけれど……
 ホントに重たいです!
 内容も、きっと重量級、ヘヴィ級だわ! 

「かたこりそうゥッ!」
「ぐるがるるー!」(←訳:難しそうー!)

 私ネーさも、同じように考えました。
 現代最高の美術研究家さんたちも参考にするほどの、
 ヴァザーリさんの『列伝』、
 きっと難解なんだろうな~、と。

 ところが、です。
 ページを捲ってゆけば、
 
 ……あら?
 軽い?

 ヘヴィ級というよりも、
 軽やかなこのステップは、バンタム級?
 エッジをきかせた“分析パンチ”はライト級?
 
「ちょうのようにィ、まいッ、はちのようにィ、さすゥ!」
「ぐるぐるるるるがるるーる!」(←訳:上から目線評論でもないしー!)

 真面目、ではあるんですよ。
 ですが全体の雰囲気が、どこかPOPで、
 どこかスノビッシュ、なんですね。
 画家さんたちを論じるのに、
 身構えたり、緊張してはいないんです。

 いったい、それはなぜ?
 幾度か読み返してゆくうちに、
 ヴァザーリさんの『軽さ』のワケが、見えてきます。

 そう、ヴァザーリさんが論じたのは、
 人類史に残る天才レオナルドや、
 画聖ミケランジェロではなく、
 ほんのちょっと前、
 数年前まで元気でガンガン描きまくってた
 ご近所の絵描きおじさんたち、だったのでした。

 20世紀や21世紀の常識・概念から脱け出せない私たちとは違い、
 ヴァザーリさんは遠慮なく、
 ご近所の画家おじさんたちの噂話を拾い集めます。
 美術作品に対する当時の世評や反応も、
 律儀に記してゆくのです。

「ふむふむッ、こうきしんのォ、かたまりィ!」
「がるるぐるるがるるぐる!」(←訳:書かずにいられない噂話マニア!)

 ヴァザーリさん自身、画家であり、建築家でもありました。
 ですから、噂話にふけっていても、
 目線はむしろ優しく、
 同情と共感に満ちたものとなっています。

 レオナルド、
 ジョット、
 ボッティチェルリ、
 デラ・フランチェスカ、
 フィリッポ・リッピ、
 ジョルジョーネ、
 ラファエロ……

 彼らに向ける、気負いのない眼差し。

 500年近くも昔の、
 けれど不思議と色褪せない《アートな噂話》、
 アート好きさんは、ぜひ一読を!

「げいじゅつのォ、あきィ~♪」
「がるるるぐるがるぐるる!」(←訳:先取り気分で読んじゃおう!)
 
 
コメント (2)
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