テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ やさしい鬼 ~

2024-05-21 22:03:42 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ♫るる~♪きょうはァ~なんのひィ~♫」

「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!探偵の日です!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日5月21日は、1891年(明治24年)の5月21日に、

 探偵業の広告が日本で初めて新聞に載ったことを記念して、

 《探偵の日》!

 ならば、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 探偵小説の鬼 横溝正史 ――

 

 

 別冊太陽313号は、2024年4月に発行されました。

 『謎の骨格にロマンの衣を着せて』と副題が付されています。

 

 探偵、それも日本の名探偵、と聞いて

 おそらく、多くの方々が、

 明智小五郎さんか、

 それとも金田一耕助さんか、と

 思い悩むことでしょう。

 

 この御本では、表紙の写真からもお分かりですね、

 金田一耕助さんの”父”である

 横溝正史(よこみぞ・せいし)さんを大特集しています。

 

 そして、巻頭を飾る、

 作家・小林信彦さんの『横溝正史氏の回想』を読んでみれば――

 

「あはァ! そういうことォ?」

「ぐるるるる!」(←訳:なるほどね!)

 

 小林さんと対談した際、

 横溝さんがどんな恰好をして現れたかというと……

 刑事コロンボさん!

 次にお目にかかった時は、

 金田一耕助さん!

 

 つまり、表紙のこの、

 ちょっと崩した感じの着物とトンビ(和装用コート)姿は、

 ”探偵・金田一耕助に変装中の横溝さん”?

 

「すてきィでスよゥ!」

「がるるる!」(←訳:お茶目だ!)

 

 ということで、

 ”横溝さん=血族間の怨念ドロドロなミステリ専門の作家さん”

 と書かれたレッテルを景気よく引っ剥がしたら、

 あらためて襟を正し、本文へと進みましょう。

 

 そう、そこにいるのは、

 《本格物》の作家さん。

 

 美しくも禍々しい文庫本の装画や、

 映画の宣伝に使われた巧妙なヴィジュアルを

 ひとつひとつ取り除いてゆけば、

 やがて露わになるのは、

 ほのかにハードボイルドの香りが漂う

 本格ミステリ。

 

「だからァ、いまもォだいにんきィ!」

「ぐるるるるるる!」(←訳:古びてないんだ!)

 

 前述しました小林信彦さんを筆頭に、

 恩田陸さん、有栖川有栖さん、真山仁さん、

 はやみねかおるさん、柳家喬太郎さん、

 芦花公園さん、泉麻人さん、和嶋慎治さんによる

 『私の愛する横溝正史』。

 

 《人形佐七捕物帳》シリーズ、

 金田一さんが登場しない探偵モノ、

 代表作の紹介や解説、

 自筆原稿の写真図版、コラム、

 そして、

 石坂浩二さんへのインタビュー、

 終戦後の日記公開、

 年譜に主要作品リスト、と

 横溝さんのお仕事の数々を網羅する一冊は、

 ミステリ初心者さんはもちろん、

 大のミステリマニアさんにもおすすめですよ。

 

 探偵小説に魅せられたひとりの少年が

 日本のエンタ史に刻んだ足跡を、

 皆さま、ぜひ♪

  

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~ 切なさと美味しさに、ほろり ~

2024-05-20 22:03:49 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うむッ! おいついてェ~きましたでス!」

「がるる!ぐるがるるぐる!」(←訳:虎です!いや油断は禁物!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今年はもうダメかも……完全に脱落……する寸前で、どうにかこうにか

 大河ドラマ『光る君へ』の波に乗ることが出来ました(ホッ)。

 来週も視聴をガンバろう!と肝に銘じつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 間の悪いスフレ ――

 

 

 著者は近藤史恵(こんどう・ふみえ)さん、

 2023年9月に発行されました。

 『Le soufflé malvenu』と仏語題名が付されています。

 『タルト・タタンの夢』『ヴァン・ショーをあなたに』

 『マカロンはマカロン』に続く

 《ビストロ・パ・マル》シリーズの第4作ですよ。

 

「しぇふゥ~!」

「ぐるるるるがる!」(←訳:お久しぶりです!)

 

 《パ・マル(pas mal)》とはフランス語で、

 『悪くない』『まあまあだね』というような意味合いの、

 日常的によく使われる言葉です。

 

 この店名の通り、いえ、

 店名とはまったく反対に、

 下町の小さなフレンチ・レストラン《ビストロ・パ・マル》は

 何度もリピしたくなる

 すばらしく美味しいフランス料理をいただけるお店として、

 繁盛して、い、た、んです、けど……

 

 小さなレストランにも、

 コロナ禍の波が押し寄せてきました。

 

「あうううゥ~…!」

「がるるぐる……」(←訳:つらいよね……)

 

 規制の殆どが無くなった2024年現在から振り返れば、

 ”あの頃”の出来事は悪夢のようで、

 もはや記憶も薄れかかっていますが、

 飲食業界の方々の苦しみは

 どれほど深かったことでしょうか。

 

 《ビストロ・パ・マル》で

 サービス係として働く語り手の”ぼく“――

 高築智行(たかつき・ともゆき)さんも、

 大変なことになってしまった、と青ざめました。

 

 メディアでしきりに報道され、

 感染者が増え始めるのと同時に、

 お店に入る予約が減って、

 結婚式の二次会や送別会などもキャンセル、

 売り上げはこれまで見たことがないほど低くなり、

 緊急事態宣言……

 

 《ビストロ・パ・マル》も、

 大打撃を受け、大赤字となってしまったんです。

 

「ふゥ~…」

「ぐる~…」

 

 この危機に、オーナーさんは、

 テイクアウトを!と企画します。

 たとえテイクアウトをしても赤字になることは避けられない、

 それでも、少しでも赤字を減らせるならば。

 

 そこで、シェフの三船(みふね)さん、

 スーシェフ(=2番手のシェフ)の志村さんは、

 《パ・マル》の人気のメニューを盛り合わせた

 テイクアウト料理を作ってゆきます。

 

 『ミロントン』という、

 牛肉のトマト風味煮込みがおすすめで、

 『ポトフ』もいい出来で、

 ただ、テイクアウトとはいっても、

 フランス料理は原価がかかるので、

 お値段は、あまり安くできなくて。

 

「あァ~なるほどォ~」

「がるるぐるがるるる~」(←訳:輸入品とか使うとね~)

 

 その、一人分でもあまりお安くはないテイクアウト品を、

 或る日、ひとりの少年が買いに来たので、

 《パ・マル》スタッフ一同は驚きます。

 

 どう見ても、中学生?

 自分の夕食?

 誰かへのプレゼント?

 

 やや緊張した様子で、

 若鶏の赤ワイン煮込みとパテ・ド・カンパーニュを

 一人分ずつ買っていったのは……

 

 何か、ワケあり?

 

「だめでスだめでスゥ!」

「ぐるがる~!」(←訳:詮索禁止~!)

 

 料理を職業とするすべてのひとに、

 敬意をこめて。

 

 少年が抱くワケを想う

 『未来のプラトー・ド・フロマージュ』、

 ソムリエールの金子さんの観察眼が光る

 表題作品『魔の悪いスフレ』他、

 短編7作品から成る

 《パ・マル》の滋味あふれる物語を、

 ミステリ&美食好きな活字マニアの皆さま、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ バトルまたバトルの、伝奇物語 ~

2024-05-19 22:03:47 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 おおッ? はなびィ~たいかいィ??」

「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!今年初だよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 横田基地日米友好祭が昨日5月18日より開催されていて、

 今日19日は FIRE WORKS(花火大会ですね)も!

 世界の空に響くのが、兵器の轟音ではなく、

 こんな風に楽しめる花火の音であるようにと祈りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 黄泉のツガイ 7 ――

 

 

 著者は荒川弘(あらかわ・ひろむ)さん、

 2024年5月に発行されました。

 《マンガ大賞2024》で第2位!となった

 大人気の長編伝奇サスペンス作品最新巻ですよ♫

 

「まッてましたでスよゥ!」

「ぐるるるぅ!」(←訳:第7巻だぁ!)

 

 世界を支配するチカラ――

 ”解(かい)“と”封(ふう)“の能力を持つ双子の、

 アサちゃんと、ユルくん。

 

 双子がまだ幼かった頃、

 両親はアサちゃんを連れて出奔……

 ユルくんはひとり、

 山の中の東村に残され、

 寂しくも逞しく成長して、

 とびっきりの武闘派に?

 

「うんどうしんけいィ、ばッつぐんッ!」

「がるぐるがるる!」(←訳:弓矢なら任せて!)

 

 東村が謎の集団に襲われたのを機に、

 ユル君は山を下り、

 一般社会へと踏み入ります。

 

 って、何これ? 

 くるまっ? がそりんすたんどぉ? おにぎりぃ? 

 それに……ツガイ……?

 

「ようかいィ??」

「ぐるぅ?」(←訳:魔物ぉ?)

 

 超常的なパワーと能力を持つ、

 ツガイ。

 一種の使い魔、のようにも見える彼らの援けを得て、

 ユルくんは捜索にかかります。

 

 両親は、どこにいるのか。

 

 いえ、村に置いてゆかれた恨みつらみに駆られて

 探し出そうとしているのではありません。

 父と母は、無事なのか。生きているのか。

 

「つまりィ、ふたりはァ~…」

「がるぐる!」(←訳:行方不明!)

 

 両親探しに専念したいユルくんですが、

 ”封”のチカラを有する彼を狙うモノたちは、

 いやーけっこう強くて。

 

 敵方のツガイに、

 いつもは剛胆にして強力無比な

 ユルくんのツガイも無力化されてしまいました。

 

 やっとのことで最悪の窮地を脱したものの、

 両親の居所の手掛かりは、未だ無く……。

 

「まずいィでス!」

「ぐるるるがる~!」(←訳:ピンチだよう~!)

 

 ユルくんが望むのは、ただ穏やかな日々。

 皆で笑って過ごせる、ごく普通の”日常”。

 そんな“日常”を現実のものにせんとする道の、

 なんと険しいことか。

 

 この7巻で読み手の目線をぐいぐいと惹きつけるのは、

 6巻までは”てっきり敵方”だと見えていた

 某キャラクターさんの活躍です。

 ”実は味方!”って、有難いけど、

 ちょっと怖くもなりますね。

 いま“味方”だと信じているあのヒトもこのヒトも、

 その本心は……?

 

 また、関ヶ原の戦いにチラっと言及したシーンもあり、

 物語は日本史の暗部に係わってくるのだろうかと、

 次巻への期待が高まりますよ。

 著者・荒川弘さんのファンの方々、

 コミック好きな活字マニアさんも、

 本屋さんのコミック新刊コーナーへ、

 ぜひ、急いでくださいね~♪

 

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~ 明治の森に、絹の華 ~

2024-05-18 22:02:34 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ごばんぎりィ、がんばれェ~!」

「がるる!ぐっるがる!」(←訳:虎です!ヒット祈願!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 映画『碁盤斬り』が昨日5月17日に公開されました。

 ヒットしますように~と本気で願いつつ、

 さあ、本日は読書……をサボって、

 ↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 受け継がれし明治のドレス ――

 

 

 東京・渋谷区の明治神宮ミュージアムにて、

 会期は2024年4月6日~6月30日(木曜休館)、

 『 Dresses of the Meiji Era ―― A treasured Legacy 』

 と英語題名が付されています。

 

 今年――令和6年は、

 昭憲皇太后憲皇太后百十年祭・霞会館創立百五十年記念の式年にあたり、

 明治神宮ミュージアムでは特別展が開催されています。

  

「れきしィのォ、しょうにんッ……!」

「ぐるるがる……!」(←訳:明治の空気……!)

 

 京都の大聖寺さんが所有する

 昭憲皇太后御大礼服は、

 大規模な修復プロジェクトが実施され、

 令和5年には永年保存に必要な基本修復が完了しました。

 

 修復完了後の公開は、

 東京ではこの展覧会が初となります。

  

 展覧会は、

 前期『昭憲皇太后の大礼服』(4/6~5/6)、

 後期『明治天皇と華族会館』(5/25~6/30)と、

 2つの会期に分けられ、

 大礼服、常礼服、十二単、

 ローブ・モンタント、ローブ・デコルテなど、

 美しい衣装の数々が展示されます。

  

 大礼服や十二単、

 それに華族夫人が纏ったドレスは、

 ほぼ絹を主材としていますが、

 シルクってどうしても経年劣化してしまうので、

 修復作業は本当に本当にたいへんなことだったと思います。

 プロジェクトに携わった全スタッフさんに

 心からの拍手を送りたい……!

 

「わんだふるゥ~なのでスゥ!」

「がるるるるぐる!」(←訳:お見事ですよう!)

 

 前期の展示が終了して、

 後期の展示は、来週の25日から。

 歴史好きな方々も、

 アート好きな方々も、

 ぜひ、お出掛けしてみてくださいね~♪

 

 

 

   では、ここで美味しいオマケ画像も、ぽーん!

   

   『明治』さんの

   《きのこの山とたけのこの里 宇治抹茶 西尾抹茶》を、

   いざ、食べ競べ!

   「こちらはァ、ほろにがッ!」

   「ぐっるるがるるる!」(←訳:こっちはまろやか!)

   

   ふうむ、苦みが心地良い宇治抹茶と、

   優しい後味の西尾抹茶、

   どちらも美味しゅうございます。

   気温高めの週末となりそうなので、

   チョコ菓子を冷やすように

   身体も適度にクールダウンして、

   皆さま、どうか穏やかな休日を♪

 

 

 

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~ 緑に 憩ふ ~

2024-05-17 22:03:27 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きおんッよしッ! しつどォもォ~よしッ!」

「がるる!ぐるるがるるぐる~!」(←訳:虎です!一年中これでいい~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 夏になってしまう前の、花と緑の季節……

 5月の”ちょうど良いお天気”がずっと続いてほしいと切望しつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 魔女たちのアフタヌーンティー ――

 

 

 著者は内山純(うちやま・じゅん)さん、

 2024年2月に発行されました。

 このところノンフィクションやアートブックスの御紹介が多かったので、

 久しぶりの小説だ!

 とワクワクしながら手に取ってみれば……あらっ?

 

 東京都庭園美術館?

 自然教育園?

 

「あはァ! しッてるでスゥ~!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:癒しの森だよね!)

 

 現在は東京都庭園美術館として知られる

 旧朝香宮邸――

 私たちが、東京で最も美しいミュージアムだと考えている

 あの建物の周辺が、物語の舞台になっています。

 

 JR目黒駅、地下鉄の駅からも近くて、

 いわゆる“高級住宅街”。

 主人公の、前屋敷真希(まえやしき・まき)さんは、

 大手不動産会社の営業員さんですから、

 のんびりお散歩……しているはずもなく。

 

 熱烈”物件探査中”です。

 

「がるるるゥ~ッ! ゆるさないィ!」

「がるるるぐるがるるるる!」(←訳:美術館に手を出さないで!)

 

 いえいえ、いくら前屋敷さんが熱烈熱血営業員さんだろうと、

 東京都が所有する美術館に手は出せません。

 けれど……一軒の住宅なら、どうでしょう?

 

 いま前屋敷さんの眼の前にそびえるのは、

 美術館にごく近い地番の、

 長~い塀と、

 武蔵野の森を想わせるような、豊かな緑。

 

 都心ではもはやあり得ないとさえ言える、

 広壮な《お屋敷》です。

 

 《お屋敷》の塀を眺める前屋敷さんの脳裏には、

 買い取ったこの土地が更地となり、

 高層マンションに変わってゆく未来図がありありと――

 

「ひいいいィ~ッ!」

「ぐるるがる~っ!」(←訳:それもダメ~っ!)

 

 ええ、そうなんですよねえ。

 鮮明な未来図とは反対に、

 前屋敷さんのアタックは上手くいきません。

 

 《お屋敷》の住人さんに会えない、

 手紙を送っても電話をしてもナシのつぶて、

 そもそも、門は完全に封鎖されていて、

 ここに住む者がいるのかどうかも

 分からなかった、んですけど。

 

 偶然にも、前屋敷さん、

 《お屋敷》潜入のチャンスを得ました!

 

「ぶゥーぶゥー!」

「がーるるる!」(←訳:ブーイング!)

 

 やった! 《お屋敷》に入り込むことが出来て、

 住人さんに会って話を……話を……したものの。

 

 なにか、違う。

 お家に招き入れてもらって、

 お茶会を、とアフタヌーンティーを御馳走になって、

 それなのに、

 不動産の話をぐいぐい進めるどころか、

 巧妙に操られている?

 イニシアティブを握られている?

 

「うきききッ♫」

「ぐるる~♫」

 

 前屋敷さんと、

 魔女と仇名される《お屋敷》の住人さんとの、

 交流が生み出すのは、嵐か、大渦か。

 前屋敷さんが描いた未来図は、

 はたして、実現するのか。

 

 ほんのりミステリアスかつエンタな、

 或る《お屋敷》をめぐる長編作品は

 バラの季節の読書タイムにうってつけですよ。

 庭園美術館好きな方々には特におすすめですので、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

  

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~ 恋文を探せ!の旅 ~

2024-05-16 22:04:41 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まッどまッくすとォ、ほくとのけんッ!」

「がるる!ぐるるるがるる~?」(←訳:虎です!どちらが先なの~?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 映画《マッドマックス》シリーズと漫画《北斗の拳》、

 どちらが先か?と調べたら、《マッドマックス》でした。

 最新作『マッドマックス フュリオサ』CMの異世界っぷりに驚愕しつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 恋文道中記 ――

 

 

 著者は野村胡堂(のむら・こどう)さん、

 2024年2月に発行されました。

 【銭形平次捕物控】と副題が付されています。

 

 前回記事では、名探偵ホームズさんの偉業につながる

 『シャーロック・ホームズの護身術 バリツ』

 を御紹介いたしました。

 そして、今回登場いただくのは、

 ”ホームズさんに影響を受けた日本の名探偵”のひとり、

 銭形平次(ぜにがた・へいじ)さん!

 

「おかねはァ、たいせつにィ!」

「ぐるるるがるるぅぐる!」(←訳:ホントは投げちゃダメ!)

 

 ええ、御安心ください、

 平次さん、決してお金を粗末に扱ったりはしませんから。

 むしろ、平次さんの顔を暗くさせるのは、

 犯罪者をみすみす逃してしまう、ということの方で。

 

 どれほど評判高い十手持ちであろうと、

 管轄区域を越えての犯罪捜査は許されません。

 

 現にいま、品川の海のほとりで、

 平次さんは歯噛みしています。

 ここから先は、

 関八州(かんはっしゅう)と呼ばれる部局の縄張りで、

 自分たち”八丁堀”の者は手出しできない。

 

 眼の前を、或る事件の容疑者がテクテク歩いてゆこうと、

 平次さん、見ていることしか出来ないんです。

 

 ところが、そこへ。

 

「おやぶゥ~んッ!」

「ぐっる~がる!」(←訳:待って~親分!)

 

 ああくたびれた、お茶が呑みてぇと、

 ドタバタな足取りで現れたのは、

 平次さんのもとで働く八五郎さんでした。

 

 八五郎さんが言うには、

 容疑者たちをどこまでも追いかけろ!

 と特別な指図が出たそうで。

 

 つまり、平次さんは担当エリアを越境して、

 追跡捜査をしてもいいぞ!と。

 

「おォ~やッたでス!」

「がるるぅ!」(←訳:朗報だぁ!)

 

 越境捜査も許されてしまうくらいの、

 重大な事件とは……

 

 盗まれた恋文。

 

「……あッ?」

「ぐるる!」(←訳:あわわ!)

 

 はい、著者・胡堂さんのニヤリ顔が目に浮かびますね。

 

 貴人の筆になる、

 公になるのは少々よろしくないお手紙三通が

 外部へ持ち出されてしまった……

 

 もしもお手紙が某所に届けられたなら、

 大規模なお家騒動が起こるのは明らかである、

 行動するのだシャーロック!と、

 マイクロフト・ホームズさんならいかにも言いそうだわ。

 

 平次さんにとっては、

 ”嫌な仕事“ではありますが、

 お家騒動が現実のものになったら、

 確かに、大勢が生命を落とすことになる……。

 

「それならァ、さッさとォ~」

「がるるぐるるるるぅるるぅる!」(←訳:お仕事済ませちゃいましょう!)

 

 ”盗まれた手紙”をめぐる

 さまざまな思惑と、

 平次さんたちの追跡旅行の、決着は?

 

 今日5月16日は、

 松尾芭蕉さんが『奥の細道』の旅に出立した日であることから

 《旅の日》に制定されています。

 手紙を追う旅を描いた表題作品『恋文道中記』、

 八五郎さん大パニック?な『八五郎受難』

 の2作品を収録した平次親分の探偵譚を、

 皆さま、ぜひ~♪

 

 

 

 

 

 付記 : 《北斗の拳》のコンセプトは、

  『マッドマックスの世界にブルース・リーさんが現われたら?』

  だという説を聞いた記憶があります。

  なぁるほど、ですね。  

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~ その日、ライヘンバッハの滝で ~

2024-05-15 22:04:56 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うりゃッ! たいけつゥ、なのでスゥ~ッ!」

「がるる!ぐるがっるぅ!」(←訳:虎です!勝負あったぁ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 かの有名な、ライヘンバッハの滝の上で繰り広げられた

 世紀の死闘とは? そこにひそむ謎とは……?

 さあ、本日の読書タイムは、

 全シャーロキアンの耳目を集めるこちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

      ―― シャーロック・ホームズの護身術 バリツ ――

 

 

 著者はエドワード・W・バートン=ライトさん、

 監修は新美智士(にいみ・さとし)さん、

 翻訳は田内志文(たうち・しもん)さん、

 2024年3月に発行されました。

 英語題名は『RARITSU : Sherlock Holmes' The Art of Self-Defence』、

 『英国紳士がたしなむ幻の武術』と日本語副題が付されています。

 

「ばりつゥ~…!」

「ぐるがるるる……!」(←訳:存在したんだ……!)

 

 シャーロック・ホームズさんの物語を

 一度でも読んだことがあるのなら、御記憶でしょうか。

 

 アーサー・コナン・ドイル卿著

 『空き家の冒険』の中で、

 ワトスン博士は驚愕のあまり気を失います。

 

 目の前に、我が友ホームズが!

 犯罪界のナポレオンことモリアティ教授と、

 スイスのライヘンバッハの滝の淵で戦い、

 深い滝壺に落下して

 亡くなったと思っていたホームズが!!

 

 それへ、ホームズさんの方は、

 ワトスン博士を介抱しながら、

 当たり前のように答えたのでした。

 

  《 ぼくは日本の格闘術であるバリツを少々かじっていて、

  何度もそれに救われたことがあってね 》

 

「うむゥ! たすかッてェ、よかッたでス!」

「がっるぐるるる!」(←訳:ホッとしました!)

 

 ええ、はい、その通りです。

 ホームズさんを咄嗟の危機から救った

 格闘術・バリツ――

 

 って、何?

 武術が訛って、バリツ?

 柔術のような、体術の一種?

 

「わきゃりませんッ!」

「ぐるるるるがる~」(←訳:謎なんだよねえ~)

 

 コナン・ドイル卿が、単語を書き間違えた?

 出版社か印刷所でのミスプリントか?

 そんな名の闘法は、日本にはないぞ?

 

 と、多くの人が首を傾げた

 《バリツ問題》の答え、かもしれなのが、

 エドワード・ウィリアム・バートン=ライトさん(1860~1951)

 によって編み出された

 『バーティツ(Bartitsu)』です。

 

「かわしてェ、ねじるゥ!」

「がるるぐる!」(←訳:素手で流す!)

「ていッ!」

「ぐるがる!」(←訳:悪漢撃退!)

 

 この御本では、

 護身術『バーティツ』の実技の解説、

 技をかけているところを撮影した写真が紹介されています。

 

 写真を拝見したところでは、

 基本は柔術で、

 武器として用いている杖の使い方は、

 槍術(そうじゅつ)、それも短槍を使う槍術か、

 棒術をアレンジしたもの……?

 

 ただ、時系列の問題が残っているんですよね。

 

 『バーティツ』の記事が

 『ピアソンズ・マガジン』誌に載ったのは1899年、

 バートン=ライトさんが

 ロンドンに『バーティツ』の道場を開いたのは1900年。

 しかし、

 道場はふるわず、1902年には殆ど機能しなくなって、

 1903年には閉鎖されました。

 

 モリアティ教授と闘った『最後の事件』は1893年に、

 『空き家の冒険』は1903年に発表されています。

 

 『バーティツ』は『バリツ』なのか。

 だとしたら、ドイルさんは、ホームズさんは、

 いつどこで『バリツ』と遭遇したのか。

 

「ふわァ~…すてきィでスねェ~…」

「がるるるるる!」(←訳:答えのない謎!)

 

 監修者・新美さんと、

 翻訳者・田内さんによって炙り出される

 謎の武術バリツと、《バーティツ》。

 

 シャーロキアンの皆さまは必読!な一冊です。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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~ 主人公は、誰だ? ~

2024-05-14 22:04:47 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 せかいじゅうゥからァ~はぴィばァ~すでいィ!」

「がるる!ぐるがるるるるぐる!」(←訳:虎です!いや宇宙中からだよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日5月14日は、ジョージ・ルーカスさんのお誕生日!

 おめでとうございますの拍手を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― ローマ帝国の誕生 ――

 

 

 著者は宮嵜麻子(みやざき・あさこ)さん、

 2024年2月に発行されました。

 

 ええ、パルパティーン皇帝が統べる銀河帝国……ではありませんが、

 STAR WARS 世界に於ける『帝国』のモデルになったに違いない、

 もしくは、

 制作時にルーカスさんたちが参考にしたこと間違いなしの、

 本物の『帝国』の歴史700年を

 一冊にギュウ~っと圧縮した快作です。

 

「きょだいなァ、ていこくゥ!」

「ぐるるるがるるっるるる!」(←訳:始まりは小さかったのに!)

 

 地中海に、長靴型に伸びるイタリア半島。

 その半島の、ちょうど中程あたり、

 川がながれ、なだらかに丘がつらなる土地に、

 小さな国家が誕生したのは、

 紀元前753年のことでした。

 

 それは実際にとても小さな国で、

 パラティヌスの丘を囲った壁の一辺は

 およそ400メートル前後であったといいますから、

 国立スタジアム1個分くらい?

 

「ふわわァ~…!」

「がるるるぐるる!」(←訳:ホントに小さい!)

 

 コロッセオならぬスタジアム1個分のミニ国家は、

 当初、王が治める王政であったのが、

 前509年、王は追放され、

 国家は新たなフェーズ――

 共和制へと突入します。

 

 元老院をトップとする政治体制は、

 意外にも高い機能を発揮し、

 小さな国家《ローマ》は

 版図を外へ外へと拡大してゆきました。

 地中海の東西南北を領し、

 新興国を滅ぼし、呑み込んで、

 国は、もはや超巨大サイズ。

 

「おッ、おもいィ~ッ!」

「ぐるるる~!」(←訳:息苦しい~!)

 

 著者・宮嵜さんは、

 小さな国家《ローマ》が、

 地中海世界を支配するに到るまでを

 テンポよく描写してゆきます。

 

 しかし、

 第1章から第9章までの、9つの章から成る本文中で、

 《皇帝》が登場するのは

 最終章たる第9章『ローマ皇帝の出現』でのみ。

 

 つまり、この御本に”主人公”がいるとしたら、

 それは冠を戴いた皇帝ではなく、

 《ローマ》と呼ばれた国に生まれた

 政治家や官僚、将軍や兵士たち、でしょうか。

 

「ひとりィひとりィがァ~」

「がるるるるぐるがる!」(←訳:巨大国家の構成要素!)

 

 長い序奏を経て、

 ついに、皇帝の器たるカエサルさんが

 政治の頂点に立った!と思う間もなく、訪れた悲劇。

 そして、

 カエサルさんの秘蔵っ子アウグストゥスさんに

 帝冠は輝くも。

 

 ようやく誕生した《ローマ帝国》は、

 ”群”ではなく”個”が支配する国は、

 どこへ、どう向かおうというのか……?

 

「だれもォ、しらないィ~?」

「ぐるがるぐるるるる?」(←訳:皇帝にも分からない?)

 

 カエサルさんが早世しなかったら、

 《ローマ》はどんな形に完成したのだろう?

 彼は、《ローマ》という国の未来に

 どんなプランを用意していたのか――

 

 歴史好きな活字マニアさんの

 好奇心と想像力を掻き立てる新書作品です。

 ノンフィクション好きな方々、

 もちろんSTAR WARS マニア諸氏も、

 ぜひ、一読を~♪

 

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~ 《星月夜》を、読む ~

2024-05-13 22:03:18 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうもォ、あきらめずにィ~!」

「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!夜空観測です!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 もう磁気嵐は終わって、オーロラは出ないのかなぁ……

 見てみたいなぁオーロラ……

 と野望に駆られて今日も天を仰いだ後は、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― ゴッホが見た星月夜 ――

 

 

 著者はジャン=ピエール・ルミネさん、

 日本語版監修は石坂千春さん、

 原著は2023年に、画像の日本語版は2024年2月に発行されました。

 仏語原題は『LES NUITS ÉTOILÉES DE VINCENT VAN GOGH』、

 『天文学者が解き明かす名画に残された謎』と

 日本語副題が付されています。

 

 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホさん(1853~1890)。

 

 向日葵の画家さん、というよりも、

 最も魅力的な夜空を描いた画家さん、

 と呼びたくなるゴッホさんが、

 今回の低緯度オーロラのニュースを知ったら、

 即座にスケッチブックを抱えて

 戸外へと走り出たことでしょう。

 

 『夜のカフェテラス』(1888年)

 『ローヌ川の星月夜』(1888年)

 『星月夜』(1889年)

 

 といった“星の夜空”を描いたゴッホさんの作品は、

 ただごとでない美しさを湛えています。

 

「あざやかなァ、あおいろッ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:キラめく星々!)

 

 ゴッホさんは、それらの作品をどう描いたのか――

 現実の、空に輝く星月たちを描き取ったのか。

 気分のままに、キャンバスに絵の具を置いていったのか。

 

 つまり、

 ゴッホさんの『星月夜』は、

 リアルなのか、

 フィクションなのか?

 

 その考察と実証に取り組んだのが、

 著者のルミネさんです。

 

 ルミネさんは、

 マルセイユ天体物理学研究所に所属する天体物理学者であり、

 フランス国立科学研究センター研究名誉部長さん、なんです。

 専門は、ブラックホールおよび宇宙論、ですって。

 

「てんたいィぶつりがくゥ?」

「がるるるる!」(←訳:本職さんだ!)

 

 そう、天体物理学者さんが調査に乗り出すくらいです、

 ゴッホさんはデタラメに、勝手気ままに

 星月夜を描いたのではありませんでした。

 

 妹のウィル・ヤコバさんへの手紙では

 『星空を描きたくてたまらない』

 と文章にしたことも、

 弟・テオさん宛に

 『星月夜』のスケッチ画を添えた手紙や、

 デッサン10枚を送ったこともありました。

 また、雑誌『天文学』の熱心な読者でもあったのです。

 

「にゅうねんなァじゅんびィ、したのでスゥ!」

「ぐるるるるがるぐるる!」(←訳:デタラメなはずないよ!)

 

 青を背景に光を放つ

 月、金星、アルデバラン、

 みずがめ座、うお座、おひつじ座、

 東西南北、地平線、

 建物や河岸の形、教会の塔の位置。

 

 さまざまなデータから明らかになってゆくのは、

 驚異的な観察力……!

 

「ごッほさんッ、もしかしてッ?」

「がるぐる??」(←訳:写実主義??)

 

 ゴッホさんが画布に投じた、

 消えることのない輝き。

 

 ゴッホさんの作品図版だけではなく、

 スケッチ、弟テオさんへの手紙、

 写真、正座や天体の配置図など、

 関連資料も数多く収録されています。

 アート好きな活字マニアさん、

 天文好きな方々も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね♪

 

 

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~ 月が綺麗は、何処から? =

2024-05-12 22:03:26 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むむむゥ! みてみたいィ~ッ!」

「がるる!ぐるがるぐる~!」(←訳:虎です!北の空の極光~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 8日以降に発生した太陽フレアの影響で、

 日本の空にも低緯度オーロラが……!

 ここ関東圏でも観測できぬものかと夜空を見上げながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 中野のお父さんと五つの謎 ――

 

 

 著者は北村薫(きたむら・かおる)さん、

 2024年2月に発行されました。

 《中野のお父さん》シリーズ第4作です。

 

「おとうさァ~んッ!」

「ぐるるるるるがるる!」(←訳:お久しぶりの怪講釈!)

 

 田川美希(たがわ・みき)さんは、

 大学時代、バスケットボールに青春を捧げたのち、

 文宝(ぶんぽう)出版に就職、

 現在は雑誌『小説文宝』編集部に勤務する

 体育系編集者さんです。

 

 毎月の締め切りに合わせ、

 会社と作家さんのもとを忙しく往復して、

 編集作業をして……という日々は、

 新型肺炎の流行によって

 変更を余儀なくされました。

 

 打ち合わせは、リモート。

 必要が無ければ、出社せずとも可。

 作家の先生たちと直接会うこともなくなり、

 ソフトボールも自粛中。

 

「ええッ! そふとぼォーるもッ?」

「がるるぅ!」(←訳:そんなぁ!)

 

 ええ、作家先生と出版社員さんたちが、

 カキーン(打った)!

 ビュオン(投げた)!

 と懇親を深めるソフトボール大会は、

 残念ながら、無期限休戦になっています。

 

 そのせいでしょうか、

 同僚の結婚式に招かれて、

 作家の先生や他社の編集者さんと久々に会ったりすると、

 もう話がはずんではずんで。

 

「やぱりィ、たいせつゥなのでス!」

「ぐるがるるるぐる!」(←訳:顔を合わせて対話!)

 

 メールやリモートの、

 堅苦しく、ぎこちないやりとりで

 どこか疎遠になりかけていても、

 会って言葉を交わせば、戻ってきます。

 以前の活気が。

 笑いや、話す喜びも。

 

 そして、おめでたい結婚式の直後であったためか、

 話題にのぼって盛り上がったのが、

 

 《 I LOVE YOU 》

 

 この文章を、どう日本語に訳すか。

 

「ふゥ~むゥ……」

「がるぐるる……」(←訳:難問だねえ……)

 

 夏目漱石さんは《 I LOVE YOU 》を

 『月が綺麗ですね』

 と訳した、というのは

 出版界ではよく知られる伝説です。

 

 直訳すれば味も素っ気もなくなってしまう《 I LOVE YOU 》を、

 なるほど、漱石さんはそう訳するのかと、

 感心したくなりますが。

 

 この『 I LOVE YOU =月が綺麗ですね』伝説に

 きちんとした根拠はあるのか?

 ホントにタダの伝説で、

 根拠ゼロのフィクションなのか?

 漱石さんの訳文ではないとしたら、

 言い出したのは、いったい誰?

 

 美希さんの疑問に答えを出してくれるのは、

 いつものように。

 

「おとうさァんッ!」

「ぐるがるぅ!」(←訳:出番ですぅ!)

 

 中野に住む美希さんのおとうさんは、

 もとは高校の国語教師さんであった

 文学マニア氏。

 

 お父さんが提出する

 《 I LOVE YOU 》の想いとは、

 『月が綺麗ですね』に籠められた心とは……?

 

「しぶいィでスゥ、おとうさんッ!」

「がるるるるぐっるるる!」(←訳:美希さんもカッコイイ!)

 

 文芸の海に浮かぶ

 5つの謎の島を

 ひょいひょいっと遊び渡ってゆくような、

 連作短編5篇から成るシリーズ最新作は、

 文学ミステリ好きな活字マニアさんに

 激おすすめですよ。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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